東京都が国に対し、国家戦略特区法案に、税財政、金融措置を盛り込むよう緊急要望しました。これにより、法人事業税100%減免、固定資産税100%減免、開発に対する利子補給100%と言った優遇策が恒久的になる可能性があります。


東京都が、国家戦略特区関連法案について、下記のような緊急要望を提出しました。

http://nasu.seikatsusha.me/files/2013/10/20nag800.pdf

【東京都が国家戦略特区関連法案に望む税財政等優遇措置とは】

内容は、

国では、「国家戦略特区」を進めている。
東京都も世界の資本と人材を呼び込もうと「アジアヘッドクオーター特区」からバージョンアップして、「国家戦略特区」を活用することにした。

ところが、臨時国会提出の準備が進められているこの「国家戦略特区関連法案」は、規制緩和だけで、免税などの措置が取られていないため、法人事業税や固定資産税の全額免除や、利子補給制度のある「アジアヘッドクオーター特区」より後退している。

だから、税制、財政、金融等の措置を盛り込んでほしい。

しかも、これまでは、国際ビジネス環境や外国人のためだからと統括事業(二つ以上の国の法人が行う事業)に限って優遇うしてきたけれど、限定しないで、税制、財政、金融の優遇をしてほしい。

つまり、東京都が申請しているエリア

の企業が、上記のような外国人のためのビジネスをするなら、法人事業税も固定資産税もただにしたり、開発する際の利子を全額補給を可能にする制度を作ってください。東京都に入る固定資産税も、法人事業税も入らなくていいし、利子補給もいとわない、と言っているのです。

さすが、オリンピック招致のプレゼンで、財政力をアピールした東京都です。

【根拠の見えない経済効果と税収への影響】

政府や行政が行う経済政策とは、単に企業の収益に貢献することだけでなく、国民の義務である勤労を政策で確保し、納税につなげ、健康で文化的な最低限度の生活を保障することにあるととらえています。

東京都は、地方に比べ、一足遅れ、今後ますます高齢化が進みます。高齢化や労働人口の減少に伴う税収の減少や、社会保障ニーズの増加の問題は、8月に公表 された社会保障制度改革国民会議の最終報告書にも示されていて、既に、医療費負担や介護保険の給付抑制などが現実になりそうです。

こうした状況下において、東京都は今後の都政運営をどう描いているのでしょうか。法人税、固定資産税の免税や利子補給以上の税収アップは果たして望めるのでしょうか。

残念ながら、東京都は、アジアヘッドクオーター特区の経済効果の算出根拠を公開しないどころか、経済効果に伴う税収の試算さえ行っていません。

来年からの消費税増税8%が決まりました。10%になった時東京都の増収分は、2200億円と東京都は試算しています。社会保障の拡充と言われた消費税増税ですが、上げられた消費税もこうした、企業の減税の穴埋めに使われるのでしょうか。

私は、アジアヘッドクオーター特区の提案を大田区議会で見つめてきましたが、提案当時から、プレTPPと位置づけ警戒してきました。
国家戦略特区についても、TPPの下準備とか既成事実化と言ってきましたが、全国展開が視野に入っています。

【東京都だけでなく日本全体に関る問題】

東京都の法人事業税、固定資産税減免、しかも100%という提案は、税負担の公平性や、持続可能な財政や社会保障制度の観点から見れば、単なる経済政策という位置づけだけで決められない問題です。

しかし、国家戦略特区が、全国展開を前提に作られている制度であることを考えれば、更に問題は深刻です。

この国家戦略特区により、飛躍的に外国企業が誘致できても、外国企業からの税金は入らないし、そうでない企業からも税金は入らなくて、利子補給もするから負担も増えます。
それでも、それ以外の「何か」いわゆる相乗効果で、減免分を埋め合わせても余りあるほどに税収が増えるというシナリオなのでしょうか。

ぜひ、そのあたりのスキームを拝見したいものですが、東京都が経済効果や税収についてあいまなように、内閣府も国際戦略特区における施設整備に関る投資総額等を総体として把握していないということでした。

【地方税減免がもたらす影響】

法人事業税と固定資産税という自治体の財源が減れば、基礎的自治体の子育てや介護、障害と言った社会保障に関る分野にまわる税金が減ります。

国と地方の財政の仕組みから言えば、「必要な額」に対し、「税収」が足りなくなれば、差額は国が「交付金」として補助されることになっています。
しかし、国家戦略特区の議論では、既に、自治体独自の判断で行う減免による不足は、「好き」でやっていることだから交付金対応しなくていいのではないかという議論になっています。

日本で唯一の不交付団体から提案された、日本全体の福祉を更に後退させる可能性のあるこの提案について、国は、何を論拠に示し、どうに判断するでしょうか。

平成25年10月16日
内 閣 総 理 大 臣
安 倍 晋 三 殿
東 京 都 知 事
猪 瀬 直 樹
国家戦略特区関連法案に関する都の緊急要望
安倍政権は、新たな成長戦略である日本再興戦略において、日本や都市の立
地競争力を高め、ロンドンやニューヨークに匹敵する国際ビジネスの環境や外
国人にとって暮らしやすい生活環境を整備するため、国家戦略特区の取組を進
めている。
東京都は、国家戦略特区制度を活用して、ロンドンやニューヨークに匹敵す
るビジネス環境や外国人にとって暮らしやすい生活環境を整備し、東京に世界
の資本・人材を呼び込むべく、これまで進めてきたアジアヘッドクォーター特
区の取組を抜本的にバージョンアップする提案を行ったところである。
現在、臨時国会への提出に向けて国が検討を進めている国家戦略特区関連法
案は、規制緩和措置を講じることのみが目的となっており、世界で一番ビジネ
スがしやすい国際都市とするために不可欠な税制上の特例措置等が全く規定
されていないなど、日本再興戦略が目指す国際的な環境整備を進めるための施
策としては十分でなく、現行の総合特区制度より後退している。
今後、我が国の将来に大きく影響を及ぼす本法案について、実効性のある取
組を進めるよう、都は、下記の2点について、国に強く求めるものである。

1 国際的なビジネス環境等を整備するためには、税制上の見直しが必要不可
欠であり、国家戦略特区の取組として、岩盤規制に対する規制緩和措置だけ
でなく、税制、金融、財政等の特例措置を含めた総合的な取組となるよう法
整備を進めること。
2 税制措置と規制緩和は、それぞれが企業活動を促進するツールとして有効
に機能するものであることから、税制措置の対象を規制緩和措置適用企業の
みに限るといった、効果が限定的な制度構築を行わないこと。