【もはや特区と呼べない特区】

首都の制度改正を特区で行う国があるだろうかという疑問はさておき、国家戦略特区で指定された主な地域のGDPをたし合わせたところ、全国の約4割になった。

これを特区と呼べるだろうか。

東京都が特区に指定されれば、全国への波及効果も大きく、単なる自治体内にとどまらない影響を与える。

法律を改正したのと変わらない。

にも関わらず、法改正せず、「特区」で行うのは、なぜか。

【何をするのか国民から見えにくい国家戦略特区】

一つは、中身が見えにくいことにある。

見えにくいことは、情報公開の視点から言えば、「良くないこと」だけれど、あえて見にくくしているのが国家戦略特区だと感じる。

労働契約法の改正も、国家戦略特区法の附則に盛り込み、大半の国民が気づかないうちに既成事実化した。

現在、国会で審議されているようだが、議論の中身は、全く伝わってこない。
附則に盛り込まれているから、決めればよいと言う程度なのか。

仮に、これが、労働契約法の改正だったら、議員だっておいそれと賛成できなかったのだろうが、国家戦略特区法なら、何に賛成したのか見えにくい。

これは、有期雇用の無期転換申込み権(18条)に特例を設けよういうもの。

しかも、附則に盛り込まれた労働契約法の措置を、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」という特措法で行っているのだから、更に見えない。

専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案
(平成26年3月7日提出)

【国民の意見を聞かず進む規制緩和】

しかも、手続きが極めて簡素化された。

規制緩和を推進したい人たちだけの意思決定システムを作ったからだ。国民の声を聞く場面は制度化されていない。

国家戦略特区諮問会議と国家戦略特区区域会議が、区域指定し、規制緩和の中身を決める。ここには、国会の関与も、官僚の関与も無い。

あとは、必要な手続きを粛々と行うだけ、後戻りする機会を持たない仕組みだ。

仮に、国民が、規制緩和で、大量に失業し、賃金が大幅に下がったとして、今のシステムで、軌道修正できるだろうか。

【マクロ的に大きなインパクトを持つ国家戦略特区:GDPの3割!】

国家戦略特区を提案した竹中平蔵氏は、「経済政策ウォッチング」で、「今回の6地域のうち、東京圏と関西圏が広域ということもあり、日本国内総生産(GDP)の3分の1をカバーすることになる」と言っている。

「マクロ的にも大きなインパクトを持つ」と言っているのだ。

少しだから、地方分権だから、税財政措置はとらないからとスタートした特区による規制緩和だが、大きなインパクトと減税、財政支援を伴い、中央集権的、 ”脱”議会制民主主義的に行われようとしている。

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*特区のGDPへの影響は3割、4割?半分?

大都市圏としては、国際ビジネスを推進する東京圏(東京都神奈川県、千葉県成田市)と医療イノベーションを進める関西圏(大阪府兵庫県京都府)が指定された。

というので、 赤字のGDPを足してみたのだが・・・。

198.7兆円=東京圏120.9兆円(東京都91.1兆円+神奈川県29.8兆円)+関西圏64.1兆円(大阪府36.4兆円+兵庫県18.3兆円+京都市9.4兆円)

日本のGDP495.6兆円に対して、特区内総生産は185.0兆円で約4割弱になるし、沖縄県福岡市新潟市(3.7兆円+6.6兆円+3.4兆円)=18.7兆円を加えるとで4割を超える。

ここに、埼玉県20.1兆円、千葉県19.0兆円のGDPを加えると238.2兆円で、約5割になる。

日本の首都の制度改正を、特区で行うことの矛盾をまず感じなければならないところで、GDPの数字以上に経済への影響が大きいのは言うまでも無いと思うのだが。

内閣府経済社会総合研究所 平成22年県民経済生産より

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/pdf/gaiyou1.pdf

福岡市内総生産
http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/6414/1/suii22.pdf

新潟市内総生産
http://www.city.niigata.lg.jp/shisei/toukei/00_02shimin_keizai/h22.files/02keizaikeisan.pdf