国家戦略特区が経済を最優先して様々な規制を取り払おうとしているとお伝えしている。この「経済最優先」は、どこまで国民の合意を得ているのだろうか。

しかも、経済優先と言うと私たちは、景気が良くなることだから、

①雇用が増え⇒

②賃金が増え⇒

③税収が増え⇒

④国民生活に還元される

と言う循環を思い描き「賛成!」となるわけだが、どうも違っていると感じている。

問題はあるものの非正規を常態化させないためにできた「改正労働契約法」。これを一部を切り崩す位置づけにある 「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案
」も審議中だし、外国人労働者の入国審査要件、在留資格要件の緩和も、シルバー人材センターの仕組みを「労働」に組み込もうとする動きも結果的に企業コストを下げる。

しかも、消費税はいとも簡単に上げるが、法人税増税の検討は無いどころか更に下げようとしている。

これらは、たぶん、理屈では、国際競争力を高めないと企業が生き残れないということなのだろうが、非正規を増やし、賃金を下げ、法人税を減税すれば、内部留保が高まり、株主配当が増える。

政府の経済政策により国民が期待する、安定した雇用と国民生活に還元されるはずの社会保障には程遠いのではないか。

ところで、この「経済最優先」のための政策には、雇用の流動化や法人関係税の減税だけではない。

いま、国会では、学校教育法の改正案
が審議されている。

法改正の趣旨は下記のように立派だが、中身をみると、「経済最優先」とはどういうことなのかがみえてくる。

【趣旨】

大学運営における学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革を促進するため、副学長・教授会等の職や組織の規定を見直すとともに、国立大学法人の学長選考の透明化等を図るための措置を講ずる。

法改正で結果としておきるのは

①教授会の権限が縮小され、学長の権限が大きくなる

②経営協議会の過半数を外部委員となるため、学校運営から「学校経営」に変わる。

国の総予算は既に経済財政諮問会議にゆだねられている。

国家戦略特区による規制緩和の権限は、国家戦略特区諮問会議と区域会議に与えたことになっている。

農業の現場では、選挙で選ばれた農業委員会が廃止され別の組織が提案されようとしている。

議会制民主主義のしくみが、非営利分野をなんとか守ってきていたわけだが、「最優先される経済」がその意思決定権を奪おうとしている。

国立大学が独立行政法人にかわり、経営が重視されるようになったことと企業のスポンサー講座が増えたこととは無縁ではないだろう。政府の研究費も削減されてきているらなおのことだ。

東京大学構内で高層建築が進み、民間研究機関が入るなど大学が目に見えて変わってきているが、そのうえ、学校経営そのものに更なる経営的視点が入るとなれば、教育産業と化す。

アカデミズムはどう守られるのだろうか。

景気が良くならなければ、生活できないんだから何バカなこと言っているのか。

そう思うのもわかるが、意思決定権を「経済」にゆだねることの怖さに気付かなければ大変なことになる。

もう遅いのかもしれない。

が、遅すぎるということは無いだろう。何においても。