大田区は伊豆高原学園の改築及び管理運営ついて、民間資金を活用した*PFI事業 :wiki、:内閣府 を採用するため、本定例会において、法律に基づく議決を求めています。

*PFI=公共が直接施設を整備せずに民間の資金・経営能力・技術を活用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法。メリットとして低廉かつ良質な公共サービス提供。リスクの最適配分。税負担の平準化など。

議案上程にあたり、大田区の民間活用における
①リスク分担の在り方
②民間活用における長期契約についての方針
③それらにおける技術的部分などについて質疑しました。

日本における「小さな政府」に端を発した「民営化」「民間委託」等「民間活力の導入」は、必ずしも「小さな政府」とは直結せず、逆に行政権限を肥大化させているというのが、私の考えです。
そうした視点で、今回の議案も、そして議案質疑も読み取っていきたいと考えています。

*再質疑、および答弁は、正確を期するため議事録確認後にご報告します。

 


 

第79号議案「大田区伊豆高原学園改築・運営等の事業契約について」と第80号議案「大田区伊豆高原学園の指定管理者の指定について」質疑します。

第 79号議案は、大田区伊豆高原学園の改築と運営について、PFIのBTO方式により、改築し、その後15年にわたり管理・運営させる契約を「伊豆高原学園 PFI株式会社」と締結するため、民間資金等の活用による公共施設等の整備の促進に関する法律いわゆるPFI法第9条及び施行令に基づき議決するための議案 (20ページ参照)です。

また、第80号議案は、そのPFIにより改築した事業主体「伊豆高原学園PFI株式会社」にその後の15年間、管理・運営させるために、指定管理者に指定をするための議案 (21ページ参照)です。

PFI事業契約の議決の趣旨は、PFI事業に係る将来の財政負担等を議会においてチェックすることであると言われています。

PFI 事業の導入メリットと言われている「事業者がとることができるリスクを事業者にとらせること」が反対に、「リスクのみを公共が負うことになる」というデメ リッになるとの指摘もあり、財政負担の可視化により、議会が、適正な負担であることを知りうるようにすることは重要です。

事 業者にとって煩雑な手続きがデメリットになっているPFI事業は、チェックする議会にとっても、複雑で、提示される資料は、膨大ですが、それを活用して、 適正なサービスが、適正な価格で15年間という長期にわたり提供され続けるかを判断するのは容易なことではありません。

特に今回の2つの議決は、

① 伊豆高原学園を改築し15年間運営するためのPFI事業契約を議決する

② そのPFI事業者を指定管理者として15年間指定する

という2つの行為を、同時に行おうとしています。

 

大田区は、施設建設と管理運営は一体であるほうが、効果的であるとしているからです。

 

しかし、PFI事業のBTO方式を採用することで、事業者は、建設に対する投資リスクを、区に売り渡す平成27年には投資費用を全額回収できるうえ、15年という長期にわたり、売り上げを確保できるという、民間では考えられない、有利な契約を締結できる可能性があります。

【官と民の違いとは】

私は、サービス提供における、民と官の違いは、

① 「雇用の継続性、あるいは、不安定性が無いこと」

② 「売上が保証されていること」

③ 「権限を持っていること」

 

の3つであると考えています。

 

この3つが官の良質なサービスを維持してきた半面、官の硬直性もまたこの3つの要素があることにより生じています。


硬直化した官では提供し得ないサービスを民が提供できるからこそ、官から民への流れが生まれてきていると考えます。

この、民の良質なサービス提供を可能にしているのは、売り上げの保証も、雇用の保証も無い民間が、事業継続を目的に、競争に勝つため、他のサービスより質の高いサービスを提供しようとする力が働くからです。

【伊豆高原学園PFI(BTO方式)における民間活力導入メリットとは】

ところが、この事業は、売り上げが、長期間、安定的に確保されるスキームで、どこにサービスをよくするインセンティブが働くのでしょうか?しかも、官が持つ、施設の利用許可権限まで民間事業者に付与される指定管理者制度を採用しています。

このスキームは、ある意味、ミニ区役所を作り上げたともいえる形で、執行されることになるわけです。

15年間より良いサービスの質が確保される仕組みや、事業者指定を取り消す場合の仕組みが重要ですが、それらは、委員会の議論にゆだねることにして次のことについてうかがいます。

質疑①官民リスク分担の在り方について

今回 のスキームは建設とサービス提供を一体化したことにより、良質なサービス提供を可能にしたとも言えますが、一方で、官の持つ安定性からくる硬直化が不安視 されるところです。事業の相手は大田区のため投資リスクはほぼないと言え、完成後引き渡しですから短期に利益が確定します。

その上、15年間の管理・運営を指定管理者により指定しようとしているわけです。

間もなくオープンする大田区総合体育館は、大田区が建設し、民間事業者が指定管理者として指定されました。

この事業個別の問題ではなく、大田区として民間事業者の力をどのように活用していくかという大きな問題であると考えます。

一般に言われている、PFI事業のメリットである、官と民のリスクの分担の在り方についてどのような前提でこの議案を提出していますか。それは、この事業だけなのでしょうか。大田区として官民のリスク分担はどうあるべきかという検討はなされているのでしょうか。

 

質疑②指定管理者制度における指定取り消しとPFI契約の関係について

指定 管理者制度は、行政処分のため、区が必要と認めればいつでも指定を取り消すことができます。今回は、PFIの契約に指定管理の指定が要件としてうたわれて いますが、地方自治法上は、たとえ大田区が15年の長期指定をしたとしても指定取り消しは可能です。仮に施設建設・引き渡し後に指定取り消しになった場合 に、PFIの契約は大田区にどのような影響を」与えますか。他の事業者を指定管理者に指定することは可能な契約ですか?

BTO契約を締結すれば、必ずしも指定管理者の指定は必要ありませんが、一体化することについてのメリットデメリットなど詳細な説明は委員会審議において、なされますか?

質疑③指定期間について

指定管理者の議決が契約の要件となっていますが、指定管理者の指定期間は15年間でなければならないのでしょうか。議案の修正により、指定期間を短くすることは可能ですか。

質疑④民の安定継続的サービス提供と契約・指定期間についての大田区の方針

長期の指定期間であることにより、安定継続的で良質なサービスが求められるのは、こうした箱もの施設ではなく、保育園や特別養護老人ホーム、障がい者施設のはずですが、大田区において、区からは、これまで一度もそうした問題意識を聞いたことはありません。

ホテルサービスにおける優位性ばかりが強調されていますが、この施設はあくまで教育委員会の施設で、校外施設サービスの提供者は、あくまで学校です。

な ぜ、人とのかかわりがより密で大きな影響を与える福祉施設では最長でも5年の長期契約や指定管理しか行ってきておらず、しかもその指定管理もやめ民間譲渡 という話が出ている時にもかかわらず、それらと大きく逆行矛盾する、15年の長期契約、指定管理をこの校外施設から行うのですか。

このような大田区の民間活用方針について、これまで議会に示されていますか。示されていないのでれば、今回の議案審議において事前に提示されるのでしょうか。