蒲田五丁目マルエツ隣の鍵型の土地と大田区土地開発公社の役割

蒲田五丁目マルエツ隣の鍵型の土地に関る売買について、いくつかの論点を挙げました。
価格や経緯はとともに指摘した、土地開発公社に関る部分は、土地開発公社が何であるかがわからないと、論点が今一つぼやけてしまうかもしれません。

蒲田五丁目マルエツ隣の鍵型の土地に関る売買と土地開発公社の役割についてレポートします。


 

区民の財産を使って、区民のみなさんのために使うと買った土地をわずか5年で、民間事業者にたのまれ売ってしまう。
このことだけでも、たとえ区民の税負担が無かったとしても、きちんとした理由が知りたくなるところです。

しかも、買った価格、所有している間の費用(土壌汚染対策費用、利息、維持管理・売買に関る職員のコスト等々)売ろうとする価格も含め、区民負担はどう だったのか、鍵型の土地の評価は低いわけですが、隣地と合筆となれば、土地の価値もあがると思われますが、そうした評価がどうなるのか、も気になります。

大田区は、その間、駐輪場として区民のために使ってきた、利用料も徴収できた、というかもしれませんが、駐輪場にする際に、「駐輪場」という公共用施設と して活用するなら、公社所有ではなく、大田区が買い戻すべきと議会でしてきましたが、買い戻しはしていませんので、他の大田区土地開発公社の塩漬けの土地 同様、あくまで、遊休資産の活用の範囲を超えないと判断すべきでしょう。

しかし、一方で、

使うか使わないかもわからない蒲田五丁目のマルエツ隣の鍵型の土地を何故、区民の財産を使い、買うことができたのか。

という視点が、この土地取引には一番重要です。

ちょっと難しくなりますが、大田区は、最初にこの土地を「大田区土地開発公社」に買わせています。

「大田区土地開発公社」とは、バブル期の土地の乱高下に対応するために作った100%大田区の出資団体。

「公有地の拡大の推進に関る法律」第三章 を根拠に、自治体が買う土地を、自治体に代わりに議決無しに買うことのできるしくみです。

この土地開発公社については、土地の乱高下もなく、その役割は終えたと解散する自治体も出てきているなか、私は、大田区において不適当な資産購入の隠れ蓑になっているのではないかと指摘し続けています。

過去のレポートから⇒
【高コストで不透明さの要因となる土地開発公社】/大田区の公有財産(=土地)の有効活用の課題

http://blog.goo.ne.jp/nasrie/e/f61fe72b6515191770601215fb56d48a

大田区では、年間、債務保証限度額(確か今は50億)まで、議決なしに大田区(=まあ区長の判断ですね)の独断(=議会の議決無く)で土地を購入できるというもの。

ただし、その目的は、大田区土地開発公社の定款

http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/machizukuri/tochi_kaihatsukousha/teikan.files/koushateikan.pdf

公用・公共用、自然環境保護、史跡名勝・天然記念物保護・航空機騒音防止と厳しく限定されています。

もちろん、蒲田五丁目の土地を土地開発公社が取得した際に、大田区は、議会に、公共目的(公用⇒区役所・出張所など区の事務を行う施設、公共用⇒公園・道路・文化センターなど区民が共同で利用できる施設)と説明していたわけです。
蒲田のグランドデザインのためにという説明もあり、蒲田駅周辺の開発のタネ地という位置づけも説明ではにおわせていました。
「蒲田グランドデザイン」さえ、始まらない現時点で売却は早急な判断ではないでしょうか。

これが、購入後、わずか、5年も経たない間に、民間事業者が売ってくれと行ったからと売却することが可能かということが問題になるわけです。

たとえば、大田区が、民間事業者が売ってくれと言ったので、転売のために、大田区土地開発公社に買わせる理由は、通るでしょうか。

これを認めてしまうと、大田区は不動産会社になってしまいかねません。

区民の資産である「潤沢」な資金力と行政権力を背景に、持ち込まれた土地をとりあえず買い、民間事業者の要望で売却などということがあってはならないと思います。