民泊条例がまちをスラム化させる都市計画からの理由

民泊は賃貸借契約ですから、賃貸住宅の新たな形と見ると別の世界が見えてきます。

たとえば大田区には、生活環境の向上のための開発指導要綱というのがあります。目的は、

区内における無秩序な開発行為を防止し、良好な生活環境の向上を図るとともに、当該事業の施行に関連する公共・公益施設等の整備に関し応分の負担と協力を求め、もって安全で快適な街づくりの推進に寄与するものとする。
一定以上の規模や数の集合住宅に対し、

①ごみ・リサイクル置き場②駐輪場③駐車場④ワンルームだけでなくファミリー型の設置⑤管理人⑥自治会や町会への加入

などを義務付けるなどして、生活環境を守っています。

たとえば、民泊だと、25平米以上であれば、何人でも泊められます。
40戸のワンルームマンション全てが仮に、民泊で使われるようになると、40人が住んでいたマンションに、一部屋2人なら倍の80人、4人で泊まれば160人が「住む」マンションに変わってしまいます。

ごみやリサイクルの置き場の面積は足りるでしょうか?

たとえば、簡易宿所として使われれば、実質「住まい」ですから、自転車を置く人もいるかもしれません。
マンション建設の時に、ファミリー型だと受託個数の20%以上、ワンルームだと5%以上の駐輪場を義務付けています。

ワンルームが民泊になり、簡易宿所として使われれば、一部屋に一人ではなく複数人住むことになりますから、周辺に放置自転車が増えるかもしれません。

しかも、これまで、マンションなどはまた貸しができませんでしたが、
民泊はマンションのまた貸しが前提です。
借りるのは、民泊経営者。
民泊経営者は、宿泊者にまた貸しします。

マンション管理組合は、宿泊者に対して、どこまで住環境を守る「お願い」ができるでしょうか。

すでに、デベロッパーの中には、民泊禁止マンションを売ると言いはじめているところがあります。

ここを心配しているのでしょう。

ごみの量が増える、駐輪台数が増える、使う水の量が増えれば下水の量も増える、、、、。人口が一極に集中的に増えれば地域住環境に影響するのは当然です。
民泊は、これまで、開発指導要綱やまちづくり条例で守ってきた大田区の都市計画の抜け道を与えることになり、維持してきたまちなみを悪化させる要因になるでしょう。

一方で、まちづくり条例で規制しながら、民泊条例でそれをなし崩しにしてまちをスラム化させる心配があるのです。</p