形骸化した「大田区職員定数条例」と大田区がなすべきこと

「大田区職員定数条例」は自治法の定めに従い、毎年、その人数がかわるたびに」改正されています。
この条例は大田区に働く正規の公務員の数を規定する条例で、この職員定数を以て、大田区の経営効率化を計る指標のひとつになっています。
しかし、現在条例で定めている「職員定数」は、どのような意味を持っているでしょうか。

形骸化した職員定数と私が言う理由も含め「大田区職員定数条例」に反対した理由を報告します。

 

この条例は、大田区行政を執行する職員のいたずらな

増減を避け制限をかけている重みのある条例です。

ところが、定数条例で定めた定数は、職員数そのものでは

ありません。「臨時」「非常勤」「研修」「派遣」「休職」などは

定数に含めていません。

現在の大田区行政は、以前のように大半が正規の公務員である職員

だけで支えられているのではありませんし、外部への研修、派遣も

増えています。一方で、定数にならない非常勤職員も増えてきて

います。

団塊世代の職員が多いことは知られていますが、60歳で定年退職した

これらの方たちが、再任用職員として勤務されていますが定数には

入っていません。

東京都は既に定数化されていると聞いていますが、大田区ではまだです。

一方で、民間委託や指定管理者制度導入が進み、膨大な事業がこの間

外部化されてきました。

保育園、学校給食、図書館、プール、障害者施設、男女平等推進センター

等々。これまで大田区職員が行ってきた様々な分野を民間事業者に雇われる

方たちが担うようになってきています。

しかし、大田区行政において、これら外部化されている事業において

どれだけの人が働いているのか。金額においても、また、人員ベースでも

雇用の総体が見えなくなってきています。

こうした現状を見れば、定数条例上の職員数が、大田区で働く人の数の

実態とはかけ離れた数字であることがわかります。

大田区は、職員定数が下がっていることを区報などで示し行政改革が

進んでいるかのような広報を行っていますが、事業が外部化されている

のですから、職員数が減るのは当然です。

事業者から人件費相当分を提示させ、積極的に区の経営指標として

活用していくべきです。議案質疑の際に、指標さえ示せないと答弁して

いますが、委託の物件費や指定管理料などから区が見積もった

人件費相当分を算入することは可能です。

一方で、大田区は、民営化や民間委託など、区の事業を外部化するに

あたり、雇用創出をそのメリットの一つとして掲げてきましたが、

その効果は、示されたことがありません。しかし、外部化した人員を

把握していなければ何人の雇用創出につながったかその効果を明らかに

することもできないのです。

大田区職員の定数管理にとどまらない人材の有効活用は、大田未来プランの

目標のひとつです。また、職員にかぎらず、外部化された勤務者の雇用の

定着や能力向上も区政における課題のひとつになっています。しかし、

現行の職員定数管理だけを行っていたのでは、人材の有効活用はできません。

職員定数条例の改正案が上程されるにあたり、条例設置の本旨に立ち返り、

外部化された事業のボリュームと人員配置数および人件費総体を示してこそ

条例改正にも意義が有ります。

議案上程時に求めた資料提示も無く、形骸化した定数条例改正には反対します。

 

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