【住宅政策:数不足・世帯当たり人数減・財政負担】消費税10%増税に伴い、大田区がなすべきこと

一方、財政需要は建設・土木分野だけにとどまりません。

大田区は、この間、財政悪化の要因を高齢化と生活保護世帯の増加としていますが、大田区としてこれらの財政悪化要因に対してどのような対策を講じてきたでしょうか。
大田区の生活保護対策は、「不正受給」と「自立支援」が中心ですが、そもそも「生活保護にならない」ことが重要で、税金で生活を支えられる立場と税金を支 払っていただく立場とでは180度異なります。人権的配慮からは当然のこと、財政的視点からみても生活保護対策は区民全体の利益です。

生活保護にならないためにまず重要なのは、「住まい」と「就労」の確保です。特に、地価の高い都市部23区の場合、住居費が支払えなくなることが生活保護になるきっかけであることも少なくありません。

しかし、住宅マスタープランに記されているように平成20 年時点で、区内の約3万6 千戸が賃貸住宅への転用が可能な空き家住宅ですが、その後もマンション建設は進み、空家住宅は年々増えています。

住宅の量的供給はすでに十二分で、こうした背景を反映する形で、国や都の住宅政策は、既に公営住宅の新規建設を行わない量から質への転換を行っています。

数では十分な大田区の住宅ですが、現状における大田区の住宅政策の課題は、低収入で住むことのできる住居、高齢者や障がい者に対応したバリアフリー住戸の確保であり、そのための保証人の問題でしょう。

しかし、現時点での大田区の住宅政策と言えば、平成23年度末時点で区営住宅1,313戸とシルバービア388戸などに限られています。30倍を超える応募状況などから1400人前後の区民が区営住宅入居を希望していると推測できます。

  大田区民の課税所得額は減る一方で、安価な住宅ニーズはますます高まっています。区営住宅対象と言われる年間所得400万円以下の区民は約3万人という住 宅課の試算がありますが、このままの状況で消費税増税になれば、これらの家庭の経済的負担が増し区営住宅の区民ニーズはさらに大きくならないでしょうか。

新たに供給される最低居住面積水準未満世帯が年々減少してきましたが、国が平成15年に最低居住面積水準を引き上げたところ、上向きに転じました。このことは、市場原理だけにまかせても良質な住戸を提供することはできないが、政策により誘導できることを示しています。

大田区に数多くの空き家がある状況を踏まえれば、借り上げ住宅制度等に変えることで、民間ストックの質の向上も誘導することができるのです。

区営住宅の維持管理費の1/2が国や東京都から補助されますが、築後20年間に限られそれ以降は100%大田区負担です。今や、全体の4割に当たる築20年を過ぎた区営住宅の維持管理は、100%大田区が負担しています。

 更に、区営住宅が老朽化し、築20年を超えれば維持管理費の100%を大田区が負担しなければなりませんが、だからと言って建て替えることになれば更に費用負担は大きく、いずれにしても大田区として費用負担は増すばかりです。

大田区の区営住宅1313戸を評価すれば、「平成18年から平成23年に、42億かけて建設維持し、住宅戸数を83戸増やしながら入居者数は177人も減らした」ということになりますし、1戸当たり入居者数も2.3人から2.0人に減っています。

にも関わらず、大田区では、長期的な区営住宅の維持管理についての財政負担の試算さえしておらず、自ら主体的に大田区における住宅政策の在り方を考えていません。

大田区全体でも、世帯数は増えながら一世帯当たりの人数は減っているため圧倒的に数の足りない区営住宅を漫然と維持することは、一部の困窮者だけに限定した政策に他ならず区営住宅事業が破たんしていることは明らかです。

区営住宅で行える住宅支援には限界があり、指摘した大田区の公共施設整備の状況から考えても、民間ストックの空き家状況をみても、莫大な費用負担をして建て替えるより、借り上げや家賃補助とする方が有効です。


現在の国の住宅政策が民間の住宅ストックへの転換になっているのなら、事業の目的も補助金投入先も民間の賃貸住宅の質の向上へと転換していくべきで、その ためには、一定基準を備えた優良住宅を借りた低所得者・障がい者・高齢者に対して家賃補助を行うなどの政策転換が必要です。


大田区議会としても意見書を発していくべきと考えますが、大田区としても国に対し、現場から問題を説明し理解を求める時期に来ていると考えます。