現在、パブリックコメント募集が行われている羽田空港跡地第一ゾーンの説明会に参加しました。

【1】説明を受けてはっきりしたのは⇒跡地で大規模な「都市基盤整備」を行う ということ。

【2】一方で、よくわからなかったのは⇒大田区と日本にどのような「経済効果」があるのか

【3】説明すらされなかった「区民のメリット」 は、結局、質問しても何が区民のメリットかわかりませんでした。

パブリックコメントが行われるということは、区民生活に大きな影響を及ぼすということです。

説明会をうけてはっきりした区民生活への影響といえば、「都市基盤整備」の費用負担だけです。
あいまいな経済効果や説明すらされなかった区民へメリットだけで、巨額の財政負担と特区の規制緩和の拠点ともなるこの跡地開発は始まってしまうのでしょうか。

大田区役所二階の会議室3つをつなげて作った会場をうめつくした参加者のほとんどは、企業の社員ではないかとみられる方たちばかりでした。

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羽田空港跡地の整備素案についてパブリックコメントが行われています。

パブリックコメントが行われるということは、区民生活に大きな影響を及ぼすということです

詳細は大田区HP⇒
羽田空港跡地第1ゾーン整備方針(素案)の意見公募


募集期間 
平成27年6月1日(月曜日)から平成27年6月15日(月曜日)まで
閲覧資料

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素案で何を言っているかといえば、

羽田空港跡地第一ゾーンで、

①大田区と日本全体の経済成長のために

②官民連携
③世界と地域をつなぐ
新産業創造・発信拠点~HANEDAゲートウエイ~」

をつくる。

基本方針や、プロジェクトがしめされていますが、誰がこれらのプロジェクトを推進し、どのような経済成長を見込んでいるのかは記されていません。

ここのところ、行政が、「プロジェクトを立ち上げ」「官民連携」で経済政策を行うことに違和感を覚えます。

福祉の分野では、自助、共助、自己責任を耳にする機会が増えましたが、一方の経済分野は、官民連携まっさかりです。

行政が、自由経済の活動に関与することで、誰に、どんなメリットが有るでしょうか。

福祉や教育、医療の分野で、官は非効率で、公務員のサービスは良くないから「民営化」しよう!と言いながら、経済分野は、それに逆行した形で、この羽田空港の跡地開発のように、「民の分野に官が関与を広げて」います。

しかし、これを方針策定の位置づけからみると、別の側面が見えてきます。

羽田空港の再拡張事業、国際化、特区構想、企業立地促進基本計画から日本全体の経済成長に寄与するまちづくりをすると言っているからです。

アベノミクスや国家戦略特区とつなぎ合わせて考えるなら、「行政権力を経済利用する」いわゆる「規制緩和による利益誘導の構図」が見えてきます。

これは、官民連携とは、「官の行政権限の分野に民が入り込んできている」という表現がより近いかもしれません。

実際、下記のアンダーライン部分のように、民間事業者の意向をふまえながら事業は行われていくと言っているわけです。

福祉や教育や医療で、私たちの意向をふまえて執行するという表現があるでしょうか。

【民間事業者の意向と区民のメリットは一致するか】

自民党国会議員が医療の規制緩和において発言していた規制緩和と医療や福祉は「トレードオフ」という言葉が耳から離れません。
*トレードオフ 一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという 状態・関係

そもそも、大田区のみならず、日本全体の経済成長に資するとはどういう意味でしょうか。

今回の跡地活用方針では、神奈川口構想とも密接に関り、医療特区構想の色合いが強まりました。
大田区がこれまで、莫大な費用をかけて調査し、進めようとしてきた特区のかたちがここにきて大幅に変わり、コンベンションセンターはまったく消えてしまっています。

前後して、労災病院と大田区が医工連携協定書を締結するなど、医療特区の色合いを強めています。
そして、今回の整備方針には、「研究開発ラボ」という言葉が入りました。

たぶん、国家戦略特区区域会議などの影響もあるのではないでしょうか。

一緒に国家戦略特区の問題に取り組んでいる立教大学の郭洋春先生によれば、韓国では、仁川空港などの近くに富裕層のための医療を提供する病院等施設のある医療特区が広がっているそうです。

医療特区は、医薬品や医療機器の事業者には売上が伸びるためメリットになるかもしれませんが、日本の医療保険制度に与える影響については、まったく取り上げられていません。

【投資が増えて?】

これが、規制緩和と医療はトレードオフの関係にあると指摘した自民党国会議員の言葉が気になります。

アベノミクスは投資を呼び込むための経済政策です。
経済成長とは、という質問に対し、GDP増、中小企業の発展と言葉を並べましたが、大田区のGDPが増えても区民の所得や中小企業の発展につながるかどうかはみえません。

分配からみたGDP=賃金+地代+配当+租税

投資を呼び込む経済政策は、投資家利益(配当)を拡大させますが、雇用や賃金増加につながる保証はどこにもありません。

一連の法人関係の減税や、個人投資家の税制優遇により、投資が増えても、大田区や日本の税収を押し上げる試算も、区民のメリットも示されていません。

国家戦略特区法の審議の際に、呼び込まれた投資利益が、日本に再投資されるかと内閣府の担当職員に聞いたことがありますが、その保障は無いと言っていました。

素案、19ページに、事業スキームとして箱モノ建設、管理・運営、資金調達をどうするかのシミュレーションが行われています。

「官民連携」が前提になっていますが、土地と建物の所有は官で固定資産税をまぬがれ、建設、維持管理、資金調達の「利益」を民が得るというしくみのようです。

(*)参考
定期借地権方式は、現在、大森駅前のLUZという民間建物がほぼ同じしくみで行っています。この場合、地代をどの程度に設定するかが問題になりますが、当時、大田の職員は固定資産税並みと言っていました。仮にそれで行われているなら、土地の調達費用なしに、事業投資できることになります。

どこにも書いていなかったので質問したところ、

大田区は、この素案が

①空港利用者7000万人が大田区を通化するのでなく大田区に来てもらえる。
②中小企業のまちとして知ってもらえる
③区民に楽しんでもらえるゲートウエイを作る
④国内外に発信し、大田区のブランド性を向上させる

から、区民のメリットになる、

と言いました。

理念は分かりましたが、これらのために「区民が負担する税金」と「失う公共サービス」を天秤にかけた時、区民は、この事業を望むでしょうか。

保育園も特別養護老人ホームも足りず、子育て、介護、障がい、教育、など住民生活に不十分なサービスを放置してでも行うべき事業でしょうか。

財政規模については、ふれられもしなかったことも合わせて報告しておきます。