東日本大震災に伴う倒壊建物で、アスベスト飛散による被害が広がることを心配したアスベストセンターは、いち早く現地におもむき、マスクをつけるよう呼び掛けてきた。

被災地だけでなく、全国に広がっているずさんなアスベスト除去工事について、アスベストセンターが環境省の検討委員会で報告したことがきっかけとなり、今年6月、大気汚染防止法の改正が行われる。

クボタショックと言われたアスベスト問題への関心の高まりも、製造販売などが禁止されたことでアスベストの問題は、終わっているという印象ではないだろうか。

しかし、過去に、使用されたアスベストは、建材として建物に残っていて、改修、解体に伴うずさんな工事による飛散は後をたたない。

アスベストの問題は、放射能の問題と非常によく似ている。

①目に見えない
②被害(影響)がすぐに表れない
③因果関係が証明しにくい
④対策にお金がかかるうえ、経済活動における責任のため、企業が十分な責任をとりたがらない。
⑤行政が法令で規制すれば効果的だが、日本の場合、効果的な「規制」を行政がなかなかとらない。

つい先日も名古屋市地下鉄でアスベスト飛散事故が起きている。

原因究明めぐり異常な工事委託が浮上
名古屋市地下鉄アスベスト飛散事故で続く混乱  井部正之(ジャーナリスト)

http://diamond.jp/articles/-/48616

阪神淡路大震災の際に、倒壊した建物によるアスベスト被害についても、専門家から指摘されてきたが、東日本大震災でまた同じことが繰り返されそうだ。

東日本大震災に伴い、建物倒壊や解体に伴うアスベスト飛散の問題が、被災地のみならず、全国に広がっていることを、環境審議会においてアスベストセンターが明らかにした。

これがきっかけとなり、6月には大気汚染防止法が改正される見込みだ。
残念ながら、現時点での、今回の改正大気汚染防止法案では、十分とは言えないようだ。

私は、アスベストセンターとともに、十分な解体・改修・除去工事に伴うアスベスト対策と国や自治体での法令での対応による改善、住民とのリスクコミュニケーションについて取り組んできた。

今回の大気汚染防止法が改正されたとしても、最終的には、自治体でどのように運用されるのかが、一番重要になってくる。

企業は、投資回収の短期化も伴い、コスト削減に躍起であり、単なる企業の「良心」に期待できる時代はとうに過ぎ去っている。

住民も、目に見えれば、聞こえれば指摘できるものの、パネルや幕で覆われた解体現場の中で行われていることの適否までチェックすることは不可能だ。

アベノミクスによる経済政策、国土強靭化、オリンピック、国家戦略特区は、アスベストの飛散につながる可能性の高いものばかりだ。

こういう時代だからこその、自治体での丁寧な取り組みが求められる。

私たちの子どもや孫がアスベスト被害にあわないために。