やっぱりそうきた、横田空域返還で世論を鎮静化?羽田空港の新飛行ルート案:燃料費節約の経済問題を外交にすり替え

羽田空港飛行ルート変更問題は、最後、【横田空域返還】にすり替えて来るだろうと予測していたら案の定、昨日の夕刊に横田空域一部返還にからめて掲載された。岩波の月刊誌「世界」にも「経済問題を外交にすり替えるな」と書いておいたし、マスコミ担当にも発言してきたが、記事は国の論調に終始している。どういうことか、過去の大田区の事例からみてみたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017011002000242.html?ref=rank
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これまでも、横田の空域は何度かにわたり、少しづつ「返還」されてきている。

首都の制空権を他国が持っている状況を考えれば、「返還」は好ましいことだが、これが外交問題としてきちんと扱われてきていないことに違和感を覚える。

平成20年9月から横田の空域変更に伴い、羽田空港離陸便の飛び方が変わった。
平成18年、平成20年7月と二回にわたり委員会報告されていたにも関わらず、大田区議会で議論に持ち込むことができていない。
平成20年7月に私は羽田空港対策特別委員会にいたにも関わらず、だ。

私は、前回の失敗を繰り返したくないという気持ちでいっぱいだ。
飛び始めたら、前回の空域の変更どころの騒ぎではすまない。認めた区長は辞職ものだと思う。何が起こるか知りえている議員の責任も大きい。

だから、今回の、横田空域返還も、アメリカから私たちの空が取り戻せてよかったね、にしたくない。
なぜなら、私たちの空は、アメリカから日本国民に取り戻せたのではなく、航空業界に移転したとみるべきだから。

矢部浩司さんは、さらに、米軍から航空業界へと明確に指摘している。
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たとえば、平成14年11月28日の大田区の羽田空港対策特別委員会の議事録には、以下のようなやりとりがある。

当時の共産党議員の、「羽田空域の過密の問題は、アメリカ軍に占有されているからで、26万回離発着するには、当時の運輸省は、空港の能力が向上しても空の過密のため増便に対処できずと、こういう見解を示して、平成4年に米軍横田基地の空域を一部返還させた。離発着の間隔が過密。安全の問題と空域の過密が問題。どのような見解か」という質問に、

大田区は、
「空域の問題ですが、空域の問題をこの場で議論するというのではなくて、これは国土交通省がみずからの判断と責任で処理する問題であるというふうに考えております」
と答弁している。

横田の空域問題が、外務省や内閣総理大臣が、アメリカと交渉して、という外交レベルの話になっていなくて、国交省がみずからの判断と責任で処理すると大田区は答弁している。

今回の横田空域一部返還も、飛行ルート変更がらみでの報道だから、あながち誤った見方ではないと思う。

羽田空港の飛行ルートを国が変えようとしている問題は、色々、言っているけれど、
・都心上空を飛ばしたい
・燃料費の節約
の二つが目的なのだと私はみている。

たとえば、さかのぼって大田区の羽田空港対策特別委員会の議事録をさがすと、次のような議事録がある。
横田空域の一部返還は、飛行時間短縮と燃料費節約から報告されている。

*議事録では区域と表記されている部分があるが、空域の誤りではないかと思われる。
*また、平成18年委は返還と言っていたが、平成20年の議事録では削減と変わっていることにも注目したい。

平成18年(2006年11月14日)今からちょうど10年前。

◎まちづくり課長 横田区域(空域?)の返還でございますけれども、前に報告をさせていただいたのは一部運用で、とりあえず現在の横田区域(空域?)の一部を飛べるという話をさせていただきました。今回は、2008年9月までに空域の一部を日本側に変換する、いわゆる飛んでもいい空間がふえますよということでございます。現状の空域ですと、かなり壁のようにそそり立っているわけでございますけれども、今回返還されたことによりまして、階段状の壁となったと。いわゆる飛行機が東京湾上空で一気に高度を稼いで横田区域(空域?)を越えていたものが、徐々に上昇して、滑らかな上昇の中でその空域を越せるようになった ということでございます。これによってのメリットでございますけれども、北部九州の方面で飛行時間が3分短縮、あるいは関西・沖縄方面では1分の短縮、それから西日本から羽田への到着については2分程度の短縮となり、時間・燃料及び経費が節約されるということでございます。この返還の経緯でございますけれども、やはり羽田空港が2009年の再拡張工事完成によりまして、交通容量がふえることから、国土交通省はいわゆる空域の返還を求めていたものに、米軍側が応えたという中身でございます。

◆委員 全面返還にはならないのでしょうか。

◎まちづくり課長 横田区域なのですけれども、これまで7回削減をされてきまして、今回はおおむね2割程度の削減ということで、全面的返還にはなっていないわけでございますから、当然横田から米軍がいなくならない限り、それは難しいのかなというふうには思います。

なぜか、大田区上空を飛ぶようになるにも関わらず、ここの部分の議論が大田区議会で行われなかった。
当時、私は、議員1期目。羽田空港対策特別委員会にいなかったこともあるが、空域の一部返還が議会で議論になったという記憶がない。

その後、平成20年9月25日の変更直前20年7月に次のような委員会報告がある。
この時、私も羽田空港対策特別委員会の委員だったのだが、過去の経緯を調べることもせず、問題の大きさに気づくことができなかった。
当時、国際チャーター便を飛ばし始める理屈が、やはりオリンピック。
オリンピックと枕詞をつければ、何でも通る大義のようになっているが、当時の空域一部返還で大田区上空を飛ぶことになって、区民が驚き、多くの電話が大田区にかかってきたり、陳情が出されたりということになる。

私は、前回の失敗を繰り返したくないという気持ちでいっぱいだ。
飛び始めたら、前回の空域の変更どころの騒ぎではすまない。認めた区長は辞職ものだと思う。何が起こるか知りえている議員の責任も大きい。

平成20年7月16日

続きまして、資料番号9でございます。横田空域の一部削減に伴う羽田空港出発経路の設定についてという資料でございます。ごらんいただきたいと思います。
国土交通省は、7月1日に米軍の横田基地の区域(空域?)削減に伴いまして、羽田空港から西方面に向かう出発機について、現在よりも効率的な運行を可能にする新しい飛行経路を設定すると発表しました。お手元にお配りしたのは、そのときの資料でございます。
これまで、横田基地があって、民間航空機がその空域を通過する際、高さ等についての制限があったのですが、今年9月から、そういった制限が緩和されると。これに伴いまして、飛行経路の一部が変更になるというものでございます。
2としまして、行き先・方面、それぞれありますが、平均しますと、約3分の短縮になる ということでございまして、9月25日から実施をするということでございます。
おめくりいただきますと、北風時におけます上の図は現時点での経路でございます。下は新しく9月から想定される経路でございます。羽田空港から飛び立ちまして、現在は右側に旋回をして、東京湾をぐーっと旋回しまして、北陸方面・大阪方面と、大きく二つに分かれている わけでございます。ちょうど中ほど、上から下にかけて、赤い線で横田空域境界線という線がありますが、この線に至るまでに一定程度の高度を確保して西に向かわなければいけないと、こういう状況になっていたわけでございます。
それが、下の部分でございますが、この横田空域の境界線の位置は変わりはないのですけれども、羽田空港から離陸をしまして右側に旋回をしながら北陸方面、それから福岡、広島、三陸、ソウル方面、九州方面、大阪方面と、大きく四つのルートに分かれて離陸をしていく経路になっていくというものでございます。
この図面で行きますと、例えば福岡・広島方面でございますが、羽田空港を離陸しまして、右側に旋回します。東京湾をぐるっと回りまして、川崎の埋立地のところに黄色く丸くなっている部分がありますが、この時点で高度は約6,500フィート以上を確保されていく というものでございます。
また、この大師橋の付近の矢印で4,000フィート程度となっておりますのは、いわゆる左旋回で、破線で書かれている部分でございますが、その経路における大師橋付近においては4,000フィートということでございます。
めくっていただきますと、今度は南風時の状態を示すものでございます。上の部分は現行の経路、それから下の部分は9月以降の新しい飛行経路でございます。ここに高度等が書いてありますが、読み方としては、先ほど申し上げたようなことでございます。
もう1枚めくっていただきますと、現行空域と削減後の制限空域ということで、上の方はこれは平面図でございます。下の方は3Dであらわしたものでございまして、それぞれこの右側になぞった線が、先ほどの図面の赤い、いわゆる横田空域の境界線ということでございます。
それから、最後に、参考資料をおつけしてございます。北京オリンピック、8月8日から開催されますが、それに際しまして、国際旅客チャーター便の割り当て の一覧表というものを参考資料でおつけしてございます。これは、今朝、国土交通省からファックスで送られた資料でございまして、ご案内を申し上げます。羽田空港と北京の間でのチャーター便としまして、ANAとJALと、こういった構成で現在予定しているという中身でございます。
ただ、北京側との調整がまだされていないということでございますので、あくまでも予定ということでございます。今朝、こういった情報が寄せられましたので、皆様に予定という前提ではございますが、お知らせをと思いまして、参考におつけしたものでございます。