継続審議になった「特区民泊のガイドライン変更を求める陳情」その後:住民側のガイドライン見直しに関わる要望事項など

近隣に特区民泊が認定されたものの、特区民泊が周辺住民の住環境に与える影響について心配した住民が「特区民泊のガイドラインを見直してほしい」という陳情を出しました。健康福祉委員会では、自民党・公明党が珍しく陳情者の声を聞くべきと積極的に発言しましたが、結果は継続審議になりました。継続審議というのは、通常は動かないのですが、大田区が珍しく迅速に動き、昨年末、陳情者に連絡があり、住民の要望を聞く場が持たれたそうです。

1月4日に開催された新春の集いで、区長は、国際化だグローバル化だ特区民泊がドラマに取り上げられた云々と延々「自慢」なさっていましたが、大田区民はいま困っています。

大田区民の声に真摯に耳を傾け、旅館業法という規制を安易に緩和してしまった大田区は、その責任を取るべきだと思います。

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陳情に対し、私は、採択の立場から、以下のような討論を行っています。
また、特区民泊そのものについて、第四回定例会で取り上げていますので合わせてお読みください。

28第73「特区民泊から周辺住民の安全・住環境を守るための運用やガイドラインの見直しへの陳情」

に採択の立場から討論します。

増える外国人の観光客の受け皿として、日本で初めて、特区制度を使った規制緩和により整備されてきた特区民泊ですが、運用が始まるにつれ、その不備や欠陥がみえてきています。

そもそも、規制をなくし、旅館業法の適用を逃れるしくみが町の中に存在することには大きな問題があります。

ホテルより基準の緩い施設が、ホテルを縦らえる場所ならどこでも建設可能という基準にまず問題があります。

しかも、民泊と言って、ホテルを連想させ、また外国人旅行客を強調してきましたが、大田区はここにきて「賃貸借契約」を強調するようになっています。

住宅だということです。

旅館業法における住まいと言えば簡易宿所です。しかも日本人も使えます。

はたしてこの民泊は、外国人や区民の基準の低い不特定多数が住む住居として位置づけられてきたでしょうか。また、それを想定してガイドラインが設けられてきたでしょうか。

区民の声に従い、ガイドラインの見直しを行うべきです。

一方で、ガイドラインの問題で対応できるのかという心配もあります。

法律が、旅館業法の適用から除外されているからです。民泊を規制する法律はなくなってしまっているのです。

ガイドラインという条例にも定められていない大田区です。法律を適用しなくていいといったことにより発生しうる問題について、十分な検証はできていたのでしょうか。

条令提案の時には、区民に対応すると言いながら、その対応さえせず、陳情者のいう民民で解決しろというのは、あまりにも議会・区民に対し不誠実です。

陳情者の訴えはその通りであり採択すべきです。

陳情を採択すべきという委員会の討論はここまで
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近隣の住民のみなさんが大田区に出したガイドライン見直し要望の一例
<「特区民泊ガイドライン」内の文章についての要望>

●民泊では、フロントを置くか、責任の持てる従業員を常駐させること。住民は外国語を話せない人が多いので「苦情窓口があればよい」という問題ではない。

●木造一戸建てが密集している地域では民泊不可。

●交番・消防署が徒歩10分圏内にない地域では民泊不可。

●説明会では、住民の要望に応じて、業者の社長も同席させること。区の担当職員の責任者も同席する事。今回の事で、実績のないベンチャー企業がおかしな民泊ビジネスを始めた事に間違いはないため、その不安を払しょくする目的と、責任者が誰なのかをはっきりさせる目的も含む。

●周辺住民の反対が過半数であれば、民泊不可。(厚労省もそのように言っています)

●抗議署名は反対意見の表れなので、大田区は正当に受理する事。

●周知・説明会には、物件から半径10メートル以内の家庭と、その影響を受けるであろう施設、会社、角地の家までも含める事。

●事業主・業者は、住民の要望(家を覗かれるかもしれないなど)があれば、「予算がない」などと逃げずに、誠実な対応を取り、それに対して該当住民が納得いかない場合は、何度となく是正する事。

●一人当たり3㎡でいいという条件がゆるい。10坪の2階建て木造住宅で5~6人が、1日当たり2000円で宿泊できるとは、土地の価値を下げ、治安を悪化させる大きな要因になる。大田区の治安悪化の抑制のため、一戸建てでの条件は厳しくし、10坪なら定員2人までとする事こと。

●大田区と業者は、上記の事も含め、住民・区民の安全のため、特区民泊に関する契約書を、近隣住民・町内会長・PTA会長などと交わすこと。町内会長や周辺住民が変わった場合も、その契約書は引き続き継続され、有効とする事。署名・捺印は交わすこと。

●宿泊者だけでなく、事業主・業者が、今回のように当初とは違う内容に変えてきたり、ビジネスに利用したり、不正・不当な行いや、住民の感情を逆なでするモラルのない行為をした場合には、躊躇なく「取消物件」にすること。

●それに伴い、住民からの苦情3回でペナルティを業者に課すこと。3回苦情が来れば業務停止にすること。その物件も認可を取消にする事(厚労省も同意見です)。

●現状の「民民で解決しろ」という無責任な対応はやめて、大田区役所の中に、民泊ポリスのような第3者機関として「住民からの苦情・相談窓口」を設置する事。

●生活衛生課でたった1~2人で対応しているから今回のような、業者・行政書士とのなれ合いとも受け取れる、なぁなぁな問題が起きる。区民は置いてきぼりになっている。それならば、広報広聴課などとも連携して「相談窓口・監査機関」を作ればよい。

●始まったら民民まかせで責任放棄、ではなく、1年に1回以上は区が業者の実態を住民の意見も参考に、チェックし、業者のやり方と宿泊者の様子を監査すること。

●現状の「特区民泊」は、区長が言う「違法民泊の抑制」どころか、「合法で違法民泊をしてもいい!大田区は民意を無視して業者にOKを出す!」という事を行政書士がネットで自慢し、仲間を集っている。悪質な人間の集まりになっていくと思う。「特区民泊」ほどこんなに強制的・独断的で、タチの悪いモデルケースがあるでしょうか?業者より、税金を支払っている「区民の平穏無事な生活」のほうを第1に考えること。

●観光客より、今後は「低賃金で雇える外国人労働者」を宿泊ではなく、滞在、居住させる目的も考えられる。それでは話が違う。東京五輪に向けての観光立国の話はどこへ?