「官民給与の格差の是正」が給与の引き下げ合戦になっているという側面

官民格差の是正という考え方のもとで、公務員の給与が毎年見直され改定されています。

ところが、民間給与も下がってきているので、「官民格差の是正」をすると、官も民も給与が下がるようになってきています。

社会全体が、非正規の不安定雇用が拡大しているため、正規の公務員は「恵まれていて」まだ下げても構わない、と思われている方もいるかもしれませんが、

●仕事に見合った給与、
●生きていくうえで必要な給与、

とはどれくらいなのか、というのを考えずに、官民格差の是正を続ければ、
官と民の給与の引き下げ競争のようになってしまうのが心配です。

しかも、民間給与は、必ずしも、企業利益に連動して、利益が上がれば上がり、下がれば下がるのではなくなってしまっています。

賃金や雇用形態が、働く者の視点ではなく、利益を得る株主の視点、グローバル化に伴い外国投資家の視点で作り変えられてきてしまったためです。

ですから、コロナで過去最高の収益を上げている企業があっても、低賃金労働がその収益を支えていて、利益ほどに給与が増えないといったことが起きているわけです。

低賃金・不安定雇用を許す法改正をしてきたこの国の制度を変え、構造を元に戻さなければ、
今のままだと、民間給与が下がると公務員が下がり、さらに民間の給与下がるという給与の引き下げの負の循環に陥るばかりです。

賃金が減るなら社会保障で支えているかと言えば、社会保障も縮小しています。

今の日本の仕組みは問題が大きく、さらに、新しい資本主義で、中間所得層を減らそうとしています。
このままいくと、大変なことになると思います。

一方で、区長や議員などの特別職に対し、人事委員会の勧告に基づき出された大田区報酬審議会も同様の答申を出しています。

こうした賃金や雇用などを招く制度の決定に関っている立場であり、
区長や議員、特別職は、日本のこうした構造の決定権限に関与しているものの責任として、勧告に基づく引き下げをしっかり受け入れるべきだと思います。

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毎年、国家公務員は、人事院勧告に基づいて給与の改定があります。

大田区など23区では、特別区人事委員会の勧告に基づき、職員や会計年度任用職員の給与などが決められています。

昨年末に、民間との均衡を踏まえて、月例給はそのままに、特別給の年間支給月数を0.15月引き下げ4.45月とする改定が行われました。

職員の給与は
【1】その職務と責任に応ずるものでなければならない

職員の給与は、
【2】生計費並びに
【3】国および他の地方公共団体の職員並びに
【4】民間事業の受持者の給与
【5】その他の事情を考慮して定めなければならない、

と地方公務員法で決められています。

官民格差是正は、そのなかの一つですが、【1】の仕事に見合った給与、【2】生きていくうえで必要な給与、の視点が弱くなっていることが、官も民も給与を下げる結果を招いているのではないか、と思います。

社会全体が、非正規の不安定雇用が拡大しているため、正規の公務員は「恵まれていて」まだ下げても構わない、と思われている方もいるかもしれませんが、

仕事に見合った給与、生きていくうえで必要な給与、とはどれくらいなのか、というのを考えずに、官民格差の是正を続ければ、
官と民の給与の引き下げ競争のようになってしまうのが心配です。

逐条地方公務員法には、

企業は、目的が利益なので、利益を基準として給与が決定されるが、公務員の目的は公共の福祉の増進なので、利益でははかれないから、民間企業や他の公務員との比較によって給与を定めることになる。

と書かれていますが、

民間給与が必ずしも、企業利益に連動して、利益が上がれば上がり、下がれば下がるのではなくなってしまったことに気づくべきだと思います。

賃金や雇用形態が、働く者の視点ではなく、利益を得る株主の視点で作り変えられてきてしまったためです。

民間給与は、必ずしも景気の低迷でなく、利益を大きくするために上がらなかったり、不安定になったりする傾向が強くなっているのです。

ですから、コロナで過去最高の収益を上げている企業があっても、低賃金労働がその収益を支えていて、利益ほどに給与が増えないといったことが起きているわけです。

低賃金・不安定雇用を許す法改正をしてきたこの国の制度を変え、構造を元に戻さなければ、
今のままだと、民間給与が下がると公務員が下がり、さらに民間の給与下がるという給与の引き下げの負の循環に陥るばかりです。

賃金が減るなら社会保障で支えているかと言えば、社会保障も縮小しています。

今の日本の仕組みは問題が大きく、さらに、新しい資本主義で、中間所得層を減らそうとしています。
このままいくと、大変なことになると思います。