~国と地方財政の矛盾から考える~財政議論に足りない論点 

経済や財政や金融のことは、専門的に勉強していませんから、専門家にはかなわないと思います。

ただ、一つ自信をもって言えるのは、現実の財政の現場で起きている現状です。

いろいろなことを指摘されますが、足りないことや、矛盾することがあると、なぜだろう、と思います。

たとえば、経済学者や、お役人や、金融界の方や、政治家などの話に触れていて、あまり聞かないことのひとつに、国債を発行するには、引受会社が必要だということ、引受会社は20社に限定されていること、引き受けていただくには、金利や手数料が発生する、という話が無いことです。

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割高になる国債による資金調達
~国債は、発行するだけで手数料等が発生する~

そこにご了解をいただかないと、日本は国債を発行できなくなっているのです。

ですから、事前に、このくらいで、という値踏みをしてから発行することになっていますし、
引き受けの際には、日銀の買い入れまでを条件に発行することも増えています。

日銀に買い入れてもらうということは、その時点で、手数料等が発生して、
引受会社にとっては引き受けた国債の「利益が確定する」ことです。

満期まで、長期で持って、少しずつ利息を得るより、短期で利益を得たい、という市場の意向かも知れません。(これは、昨今の投資利益を短期で回収しようという、かつての日本型の「持続可能経済:商売」から西洋型の「短期利益回収型経済:商売」になっているということでもありますね。)

そもそも、買い入れない、と言われると政府も、(私たちも?)「困ります」から、買い入りれ側有利、引受側に有利な条件(裏返せば、手数料等を負担する国民に不利な条件)を、「呑まなければならない」ことになる場合もあると思います。

確かに、いったん市場に出回った国債を日銀が買い入れれば、「日銀が買い入れて以降、保有している間の利息」を国民が負担することはありません。

しかし、そもそも、国債発行の段階で、一定期間の利益をほぼお約束して、お引き受けいただいているのです。

私たちは、割高な、資金調達を強いられるようになっているのですね。
こういう大切なことをがどうして、国債発行の議論の遡上に上らないのでしょう。

割高な資金調達の意味は、

私たち国民が働いて生み出した経済的な利益の一部を
金融や証券の株主という「富裕層」に移転させている

ということだと思います。

割高な資金調達である、国債発行の良しあしの評価基準一つは、

・働いている多くの私たちと、一部の富裕層との格差を拡大させて良いのか?
・その格差拡大の「要因」が、国土強靭化や利便性や快適性のための鉄道や公園やスポーツ施設等々で良いのか?それらの総額は、政府が示した額が妥当か?

ということでもあります。

矛盾する国家財政と地方財政

もう一つおかしいなあ、と思うのが、国と地方の財政の考え方が「矛盾」していることです。

地方は、財政赤字を「悪」として、健全化判断比率を設け、財政赤字に対し、国が厳しいチェックの目を光らせているのに、国は、国債を発行しまくり、地方で言う赤字状態を放置していることです。

国債を発行しても問題ない、という方たちは、この地方財政との矛盾には触れません。

たぶん、地方財政はご覧になったことが無いのでしょう。

国が国債をして構わない、という立場なら、

・増税がおかしいのはわかりますが、だったら、

・地方で税金余らせないで、減税すべきだと思います

ところが、地方では、まるで国の財政赤字の手数料や利払いの財源確保のように、基金22兆円が積まれているのです。

少し前の財務官僚がおっしゃったように、

国債発行が問題で、財政を健全化しようとするなら、
増税の前に、まず、地方財政の健全化にメスを入れるべきです。

地方では、税金取り過ぎているのですから。

同じ国でおきていることとは、到底思えません。

安い資金調達から、高い資金調達に変わる日本

国の資金調達である国債は、国債並みの金利と言えば、低金利の代名詞ですが、引き受けていただいては、日銀が買い入れていますから、割高な資金調達になっています。

地方でも、公債と言えば、国債並みの金利で資金調達できる「ハズ」ですが、最近では、
民間資金調達によるPFIなどの手法が増えていますが、あえて、高い金利分、税金で負担することになっています。

公の土地を50年の定期借地権契約で、民間企業に貸し出し、民間に資金調達させて作った箱を借りるといった手法が増えています。

出来上がった箱を、わざわざ、公共施設として借りてあげていますから、高い金利分含まれた賃料を、私たちの税金で、払っていることになります。

いろいろな、「理屈」を言っては、行われる手法ですが、
巡り巡って、私たちは、税金で、高い金利分負担するように変わっているのです。

これも、おかしいなあ、と思うのですが、みなさん、いかがお考えでしょうか?

そういう財政の現実にふれている中、MMTと言われても、何が良いのか、よくわかりません。

MMTの発行主体は、誰?金利や手数料は、「本当に」0?

一方、MMTの議論が聞こえますが、誰が発行するのか良くわかりません。

政府が、直接発行するのでしょうか?
これだけ、民(間企業)でできることは、民間企業で、と言っているのに、通貨発行は、官なのでしょうか?
委託ですか?

銀行や証券会社などを介在させれば、当然、「ボランティア」ではしないでしょうから、なにがしかの手数料などが発生すると思います。

もし、お分かりになる方がいらっしゃいましたら、メールいただけますでしょうか。
問題点についてご指摘いただけたら、勉強させていただきたいと思います。

その際には、所属やお立場などもお願いいたします。

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