介護保険制度や認可保育園など区立と民立の費用負担等の違いにみる公が福祉を担ってきた意義

区立特別養護老人ホームたまがわの空調設備改修などの請負工事契約の議案が上程されました。

特養には、区立と民立があります。同じ介護保険制度の報酬で運営している特養ですが、区立特養だと大田区が改修し、民立特養は報酬単価の中で負担することになります。

一見、不公平に見える税金投入ですが、区立特養が担ってきた役割は小さくありません。医療的ケアなどの負担割合は、区立と民立では差がありますし、困難ケースを区立特養が担ってきたという経緯もあります。
民営化したことで、税金投入が、必ずしも公平で平等になっていないことが、次第に明らかになっていますが、こうした区立特養の担ってきた役割や意義を明らかにすべきです。

今、社会福祉法人に対して社会貢献せよといった、おかしな社会福祉法人改革が進められていますが、これも税負担の軽い社会福祉法人が担ってきた福祉分野への営利企業(株式会社)のさらなる参入のための準備とみるべきでしょう。

私は、誰もが生きていくうえで必要とする福祉などの分野へ営利企業の参入を許したのは誤りだったと考えています。
投入した税金の一部が、誰かの利益(株主配当)にまわるなど、税金の使い方が非効率なうえ、賃金という経費を減らせば株主配当という利益を増やせる構図のため、低賃金労働者を増やすことになっているからです。

結果、営利企業が税金を使って福祉を担えば担うほど、株主と低賃金労働者という格差を招くことになっています。富の再分配が機能しないのは、株式会社の参入を許しているからです。

以下、議案に賛成した際の討論です。

〇第89号議案特別養護老人ホームたまがわ空調設備改修その他工事請負契約について

特別養護老人ホームたまがわは、指定管理者制度を採用している区立特養です。
指定管理者制度の前は、委託事業者でした。
多様な運営主体が大田区の事業を担うようになっています。民間委託、補助金、民営化、指定管理者制度、PFIなど多様なしくみで運営される事業者には、様々な考え方に基づき公費が投入されています。

しかし、認可保育園の民営化園が、大田区の建物を使っている事業者とそうでない事業者とで建物建設費の負担に違いがあるように、必ずしも公平で平等な税金投入になっていないことが次第に明らかになってきています。
特養たまがわは、介護保険収入で経営していますから、他の事業者と同じ単価の収入で経営しているにも関わらず、修繕費用は大田区が負担しています。
区立の特養は、民間事業者は行ってこなかった困難事例の対応や、採算を度外視した役割を担ってきています。今後も区立特養が担ってきた役割は重要で、引き続き担っていくべきです。
民営化すればサービスが向上し価格が下がるというのが幻想だったことが次第に明らかになっています。
大田区におかれましては、公定価格や運営費補助など何に対して、どの程度の公費投入をしているのか、明らかにすべきです。そのうえで、今回の特養たまがわなどのように、さらに、改修費を負担する際には、その財政負担の根拠がどこにあるのか、法人に担っていただく役割などを明らかにすべきであることを申し述べ賛成といたします。