児童福祉法の改正で、区が児童相談所の事務をできる規定になったことから、23区のうちの22区が児童相談所設置に手を挙げています。

保育園、学校、児童館、保健所などの機能を持つ基礎的自治体大田区に児童相談所機能を持つことは、、「きちんと運営すれば」より日常生活の中での密な連携を可能にするため、望ましいことですが、手放しで賛成できない特別区大田区の事情があります。
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児童福祉法改正により、23区が児童相談所を設置できることになりました。
児童相談所は、児童虐待についても大きな役割をもっています。
 
子どもの虐待、貧困など、子供を取り巻く環境が厳しくなっているのは、それだけ大人を取り巻く雇用労働環境、社会保障施策などが厳しくなっているからで、それが最も大きく表れる都市部において、「23区が児童相談所を設置できる」と規定されれば、首長さんたちとしては「やらねば!」と思うのも当然の流れでしょう。
 
23区中練馬区を除いた22区が児童相談所を設置すると手をあげています。

ところが、これを手放しで喜べない、23区の特別な東京都との関係があります。
23区では、本来入るべき固定資産税、法人住民税、特別土地保有税など調整三税と呼ばれる税を東京都が徴収し、それを23区との間で45:55に分配するとともに、55%を各区に配分しているのです。

都と区の役割分担と財源配分割からいえば、児童相談所は東京都の事務で「都区財政調整制度」の財源割合45%の中に含まれていますから、まず、東京都から23区への事務移管と財源割合の配分の議論をしなければなりません。

ところが、そこが決まらないまま、22区が児童相談所を行うと手を挙げています。

大田区に聞くと協議するというのですが、
東京都の元幹部だった練馬区長が児童相談所事務はやらないと宣言しているので、財源割合の議論はうまくいかないのではないか、と心配です。足並みがそろいにくいからです。
 
ほんらい、「東京都の事務である児童相談所事業の区移管」と考え、人(職員)、物(施設)、金(財源割合)の議論をすべきですが、東京都は移管とせず、したがって清掃事務移管の時のような職員の移管も行わないと言っています。

そうなると、ノウハウがものをいう児童相談所ですが、職員人件費を区側で負担し、事務を行いノウハウを得ると言った形になることが予測されます。

仮に財調割合がこのままだと、練馬区を除いた22区は、重大な財政負担を強いられることになりかねません。財調割合の議論を俎上にのせ財源を確保してから手を挙げるべきで、時期尚早だったのではないかと思います。
 
特別区協議会主催の23区の議員向け学習会において、この問題について厚生労働省の方に「児童相談所に23区が手を挙げると都と区の二重行政になるのではないか」といった質問をしたところ、基礎自治体が取り組んだ事例で県が児童相談所事業から手を引いているという回答でした。23区への出向経験もあるこの方は、都と区の財源配分の問題は、行政から解決しなければならない問題だ、と話されていました。
 
この問題が解決されないと、将来的に東京都は児童相談所にかかっている莫大な財政負担を逃れ、区に財政負担が重くのしかかるとともに、その分東京都に「財政的余裕」が生まれることになるのではないでしょうか。
 
特に、改正児童福祉法は、職員配置基準まで細かに書き込んでいるため、現在、人口70万人を超える大田区に児童相談所が一か所もない、といったことを放置し続けている東京都のような状況は許されるはずがなく、施設設置、維持管理費用だけでなく、職員人件費などの運営経費も莫大なものになるでしょう。
 
財源や人(ノウハウ)の問題を明確にして取り組まなければ中途半端なものになり、児童相談所機能がこれまでより後退するのではないか、良いものにするため真剣に取り組めば、今の税投入配分のままでは、23区の他の社会保障の財源を圧迫することになるのではないか、と心配です。
 
そして、都に生まれる財源は、さらにインフラ増強に投入される構図ではないでしょうか。
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二年前の5月17日に住民投票で否決された「大阪都構想」ですが、来年2018年秋にまた住民投票を行おうとしているそうです。

この動きについて幸田泉さんというジャーナリストが、職員の児童福祉法改正により児童福祉司の配置基準が決まり大阪府全体で70数人の児童福祉司の増員をしなければならないが、大阪府は職員基本条例で職員数削減は実行不能という発言を紹介しています。

いま私が心配している問題は、東京22区だけでなく、大阪でも都構想がらみで起きようとしているのかもしれません。