奈須りえは、こんな視点から考えています 問題を考えるヒントとして「働く者のための経済・株主利益のための経済」
社会は複雑で課題は限りなく、良くするための方法も様々です。
ある時から、こんな風に考えるようになりました。
そうしたら、いま起きている問題の多くが、意外とスッキリと説明できるようになりました。
ちょっと複雑ですが、備忘録のためにここに記しておきます。一人でも多くの方に読んで、いま日本でおきていることの問題を考えてほしいと思います。ここから、格差や貧困や民営化を考えると非常にわかりやすいです。
議員になって、見ていた風景が変わりました。
こんな風に説明されて、いろんなことが決められていたんだ、と。
説明が表面的だったり、選ぶ根拠が不十分だったり、もっと良い方法があるのに、いつも、行政が提案したことが「一番良いこと」になって決められていきます。
ある時から、お金の流れで政策をみるようになりました。
決定的だったのは、東日本大震災の「災害がれきの広域処理」でした。
津波のがれきは、「復興に差しさわりがあるから」「早く処理したほうが良くて」「全国に輸送費かけて運んで」「仮置き場作って」「分別して」、場合によっては「焼却施設」「埋め立て処分場」まで建設整備してて処理する。
ところが、運送コスト、処理コスト、がれきの種類別の量(可燃、不燃など)や、新たに建設した焼却施設の処理能力、などデータを明らかにしていったら、行政ががれきの発表量を変えていって、広域処理はほとんど必要なくなりました。
がれきは、国が目標とする期間内に、現地で処理できたし、そのために、被災地では、莫大な費用をかけて、処理が終わったら壊す仮の焼却施設建設したり、処理したりしている。
それなのに、さらに全国に運んで処理するのは、無駄だということが明らかになったからです。
な~んだ、広域処理賛成していたのは、経済側面から。
輸送、分別、破砕、焼却処理、焼却処理施設建設、、自治体経由で莫大なお金が落ちる。
そんなふうに感じました。
実際、国は、がれきを受け入れた自治体への、清掃工場建て替え補助金や埋め立て処分場補助金を用意して、誘導もしていました。
そこで、こんな風に奈須りえは考えるようになりました。
「経済のため」というと否定しにくくなります。
仕事が増えたり、給料が増えることを期待するからです。
そして、政府はGDPを増やそうとしています。
GDPというのは資本主義経済の総和なんですね。
経済財政諮問会議のメンバーの伊藤元重氏の入門経済学という本を読んで勉強してみました。
そこに、GDPは、
「賃金」「利潤(配当)」「地代・利息」「税金」
に分かれると書いてありました。
なるほど!
GDPというのは、資本主義が生み出す価値の総和。資本家=株主が、労働者を働かせて、賃金を支払い、地代・利息、税金を負担して、利益・配当を得るための仕組み。ということ、なんですね。
ここで、私たちの給料というのは、コストです。
経済利益というのは、株主の配当。
経済のため、っていうのは、労働者のためではなくて、株主利益をどうだけあげるか、ではないでしょうか。
いま、日本の仕組みは、内閣府と経済財政諮問会議ができて、予算も財政も【経済】のために作られるしくみに代わっています。
政府はGDPを600兆円に増やそうとしています。資本主義経済の部分を広げようとしているのですね。
でも、私たちの周りには、資本主義経済ではない分野が存在しています。
農業、いま、私たちの社会では何が起きているのか、次のように考えると、非常にすっきりするのですが、いかがでしょう。
専門家の皆様からもぜひ、ご意見をいただきたいと思います。
経済産業省の方のコラムに以下のグラフがあり、非常に心に残りました。
日本は2002年の時点ですでに、経済成長が収束期に入ったことを示すグラフです。
1990年くらいから、一人当たりGDPは増えない時代に入ったのです。
そこで先ほどの経済財政諮問会議の伊藤元重氏が言っている、分配からみたGDP。
一人当たりのGDPが増えない、GDPの総和が変わらない時に、利益を増やすには、ほかの3つを減らせば良いんですね。
賃金=減ってますね。派遣、非正規雇用を増やしてきました。
税金=法人税減ってます。
地代=これは、公の土地の上で開発して利益を得たり、リニアのように大深度地下で新たに土地を買わなくても投資できる仕組みを作っている。まちづくりでは、再開発や地区計画という仕組みで、錬金術のように容積率アップを都心の一等地で行ってきました。これも、地代を負担せず、開発利益を得られるしくみです。
いずれも、地代を負担せずに経済活動しているのですね。
利息=超低金利、しかも、施策の中で、金利分負担する施策も取られています。
経済終息期に入って、一人当たりGDPが増えなくなったから、賃金、税金、地代、利息を減らし、相対的に、利潤(配当)を増やしてきたのじゃないか。そんな風に考えるとスッキリします。
政府がしてきたことは、投資利益=株主配当のためだったのではないでしょうか。
しかも、一人当たりGDPが収束しているときに、GDPを増やす方法は、ほかにもあります。
それが、下図の①と③です。
①一人当たりGDPが増えないのだから、人の数を増やせばいい。
・女性活躍社会
・高齢者も働く
・外国人労働者受け入れ
いま、政府がやっていることばかりですね。
③もう一つが、GDPでない分野をGDPの分野にする。
これが、民営化など、なんですね。
つまり、株主利益を生み出さない分野を、株主の投資先に変えるわけです。
・公共分野の民営化=公立保育園に税金を投入しても株主利益は生まれませんが、民営化で株式会社が保育園事業に参入すると、株主配当がうまれます。保育士の賃金というコストを下げて配当増やすことができるようになるわけです。
・一次産業の営利化=6次産業化というのがそうですね=1次+2次+3次
・個人商店を日本は徹底的に施策でつぶしてきましたね。いま、国会で審議されている市場法がかわると、モノの流通から、魚屋さんや八百屋さん、個人経営の料理店がつぶれちゃうんじゃないでしょうか。
ざっくり考えると、
資本主義経済とは、
株式会社が行っている経済活動、
ただし、株式会社のすべてが悪いわけでもないと思います。
いわゆるグローバル資本と呼ばれる、投資のための経済活動をどう適正化するか。
3年で投資利益を得たら、さっと投資を引き上げる、といった経済活動の在り方、ですね。
日本の旧来の地域社会を支えてきた中小企業とは少し分けで考えたほうがいいかもしれません。必ずしも規模の大小では語れない部分もありますが。
それ以外は、
農業など一次産業、個人商店・個人事業主、非営利セクター(生協・社会福祉法人、学校法人、、)、公務労働
日本の仕組みは、内閣府と経済財政諮問会議ができて、予算も財政も【経済】のために作られるしくみに代わっている。
今やっていることは、農業など一次産業、個人商店・個人事業主、非営利セクター(生協・社会福祉法人、学校法人、、)、公務労働など、非営利分野を営利=株式会社のしくみに組み込むことなのではないでしょうか。
日本の会社形態は、従業員を大切にする終身雇用日本型といわれていた時代があります。すべてが良かったとえ言えませんが、世界でも日本の会社には長く続いているところが多いといわれています。それは、一時的な収益ではなく、長期的視野に立って、地域の人や自然と調和した形で経済活動を行ってきたからではないでしょうか。
これが、欧米型短期利益を重視する企業形態と会計システムに変え、会社の在り方も変わってきています。
かつての日本の企業と今の企業は、看板は同じでも、経営形態は変わっているように思います。
私は、株式会社の領域と株式会社以外の領域が健全に適正に機能している社会をどう作るか、過度な利益重視の経済活動から、自然や人地域社会との共存型経済をどう作るか、が今の日本を良くする課題だと思っています。