公団の家賃引き下げの意見書を東京都に提出するよう求める陳情が提出されました。

奈須りえは、採択すべきと主張しましたが、大田区議会都市整備員会は、これを「継続」としました。

私たちは、東京都住宅供給公社を使った東京都の住宅政策について、どう考えればいいのでしょうか。

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この陳情は近傍家賃並みに設定された東京都住宅供給公社の家賃の値下げを求める陳情です。

【住宅供給公社と公団に住む大田区民が民民の関係という大田区の認識はどうなのか】

大田区は、住宅供給公社は民間会社であり、近傍家賃並みの家賃を設定していること。
ただし、一人親、心身障害、高齢低所得者に対する一定の配慮の有ることなどが説明されました。
住民がこうした陳情を提出した理由は、高齢化に伴う、年金生活になったことであると言った理解を大田区がしていることもわかりました。

地方住宅供給公社は、地方住宅供給公社法にもとづき、勤労者に居住環境の良好な集団住宅及び宅地を供給する目的で地方公共団体により設立されている公企業です。
現在47 都道府県及び10 市(千葉市、川崎市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、北九州市及び福岡市)に57の公社があります。

【財政的・人的に密接な関係にある東京都住宅供給公社】

東京都で言えば、資本金は全額東京都が負担し、各種補助金や助成金などもうけています。

ここからもわかるように、東京都との財政的な関係は密接で、
ア 資本金1億500万円の全額の出資

イ 家賃補助などの補助金の交付

ウ 住宅金融支援機構借入金償還に要する資金の貸し付け

エ 都営住宅等の管理委託等

オ 公社が社債を発行した東京都住宅供給公社債券発行に伴う損失補償
など、様々な財政支援を行ってきています。

人的関係も密接で、多くの東京都の職員だった方たちが、現役、退職者問わず、東京都住宅供給公社で働いています。

【公的役割があるから財政的・人的に密接な東京都と東京都住宅供給公社】

こうした、住宅供給公社と東京都とが、こうした財政的・人的に密接な関係にあるのは、公社が公的な役割を担っているからにほかなりません。

そこで、問題になるのが、公社の事業を民間企業と等しく位置づけ、民間並みの家賃の徴収をしているということです。

大田区からは民民の関係という言葉もありました。

しかし、大田区が言うように、単に、一定以上の所得者層に良質な住宅を供給することを目的とするなら、民間でできることであり、東京都住宅供給公社が、東京都の財政支援までうけて行う事業化と言えば、疑問が残ります。
しかも、これほど密接な関係にありながら、一人親、心身障害、高齢低所得者に対する家賃補助程度で、東京都は、ここまで、財政的・人的支援を提供すべきでしょうか。


【バブル期のツケを都民の税金と住民の家賃で消し、進む公団の民営化路線?】

■家賃値上げの伏線に民営化?

しかも、いま、全国の自治体住宅公社のなかには、民営化の方向性を示すものも多く、平成14年の1月の東京都財務局の東京都住宅供給公社に関る中間のまとめという資料には、

東京都から借りた金を返した後、土地建物は東京都に返還することとされているが、公社が自立して経営するなら、不可欠の資源だとしたうえで、民営化含めた公社事業の存続性のためには、公社に帰属する契約にした方がいい

といったことが記されていました。

【だから高くなっていた公団の家賃】

同時期の平成14年3月に地方住宅供給公社法施行規則が改正され、近傍家賃並みの設定になっています。

過去のムダの多かった経営をあらため、民間の視点で経営している公社が、家賃収入を民間並みにしているのは、将来、民間企業になった時のためであるという図式が見えてきます。

【東京都が税金を使い、人を投入し、しくみを変えてまで東京都住宅供給公社を使いしていること】

それでは、民間企業として、経営状況を良くするために、公団にお住まいのみなさんの家賃で負担することは、適当でしょうか。

①東京都住宅供給公社は、東京都から人的財政的支援を受ける公企業であること
②東京都住宅供給公社が民営化路線を示し、民営化のために負債を消そうとしていること
③それを、住民の家賃と都民の税金で賄おうとしていること
④しかも、住民の家賃負担が大きくなっている背景には、国の年金政策の制度設計ミスやグローバル化、アベノミクスなどによる雇用の流動化があること

バブル期の経営的失敗を、居住者に押し付け、そのあげくは、東京都の財産と居住者の家賃負担によって整備してきた建物と土地を民間に、損無く譲渡するための家賃値上げなら、東京都が財政支援することは不適当であると言わざるを得ません。

●公企業としての東京都住宅供給公社の在り方
●東京都の都営住宅の指定管理者として、管理運営することで売り上げのかなりの部分をまかなっている実態
●民営化への方向性

などを考えれば、居住者に民間家賃並みの負担をしていただくことは不当であると言わざるを得ず、陳情は正当な主張ではないでしょうか。