東京都は岩手県宮古市の災害廃棄物を受け入れに続き、宮城県女川町の災害廃棄物受け入の合意を締結した都公表しています。

11月13日~14日にかけて岩手県宮古市に行き、粗選別場、仮置き場などを見てきました。

現地に行く前に、東京都環境局廃棄物対策部一般廃棄物対策課から、その後、現地では、宮古市、岩手県から説明を受けました。

災害廃棄物の処理が、被災地復興の大きな課題の一つとなっている現状において、東京都の受け入れが英断とされているような現状もあります。

しかし、「災害廃棄物」は早急に復興すべきであり、支援できる自治体が処理すべきという流れの中だけで判断してよいでしょうか。

関係知自体の説明や現地での状況などから見えてきた課題について報告します。


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①放射能に汚染された廃棄物を持ち込むことにより、放射線量総量を上げてしまうことをどう考えるか

現地に行き、持参したガイガーカウンターで空間線量を測定したところ、目安の数字ですが、廃棄物処理現場以外では、おおむね0.06~0.08前後。例えば、11月14日前後の大田区の0.11前後東京と比較し、低いという印象を持ちました。

ただし、廃棄物粗選別場は0.16。岩手県は、粗選別場は土の上のため高くなっているという説明をしていました。

測定は行っていますが、全ての廃棄物について測定することは不可能であり、①サンプルを測定する②コンテナの外部から測定する。ということを行っていました。

では、平均の放射線量が東京の放射線量より低ければよいのかという問題もあります。

災害廃棄物を持ち込むことにより、放射線総量を増やしてしまうことにならないのかというのが課題の一点目です。

②アスベスト・PCB等有害物質は分別できるのか

建材に使用されているアスベストをどのように分別するのかは、被災地だけではなく、通常の経済活動における課題でもあります。

しかし、私たちの身の回りで行われている解体工事の際にも、アスベスト入り建材は十分に分別されていません。建材は建設廃棄物リサイクル法という法律でリサイクルが義務付けられているため、アスベスト入り建材が、リサイクルされ、砂利(再生砕石)として建設工事現場などで使用されているのが、大きな社会問題になっています。

通常でも、分別されないアスベスト入り建材を、津波による災害から生じた混合廃棄物の中から分別することが、いかに難しいことかお分かりいただけると思います。

しかし、東京都に聞けば、分別は岩手県宮古市で行なうことになっていると説明され、岩手県宮古市では、現地が”粗”選別場になっていることからも「そうかな」と思うのですが、東京で分別し、ここは粗選別であると説明しています。

廃棄物の受け入れ基準についての覚書を東京都と岩手県で交わしていると聞き、大田区を通じ資料提供を求めましたが、情報公開請求するよう東京都から言われたと大田区より説明がありました。現在、私が、情報公開請求中です。
受け入れ基準の覚書を関係自治体に資料提供することもできずに、安全な処理が確保されるのか不安が残ります。

③破砕・焼却・埋め立ての過程での、放射能、アスベスト、PCB等の拡散は無いのか。

持ち込まれた廃棄物は、破砕されたのち、焼却され、灰は埋め立てられます。分別が十分でなければ破砕施設でのアスベストの拡散が心配されます。

現地の仮置き場に行きましたが、無造作に置かれている鉄骨には、吹き付けアスベストと思われるものがついたままでした。鉄骨に吹き付け材があるにも関わらず、アスベストを疑わず放置されている状況で、安全な廃棄物の分別ができるでしょうか。

広域処理による課題だけではなく、被災地における廃棄物の安全な処理にも不安が残りました。
空間線量は、風向きなどもあり、検出されないことが多いそうですが、一緒に行ったアスベストセンターが、現地で採取したサンプルのアスベスト測定を行います。
結果がでましたら、報告させていただきます。

また、廃棄物は津波の被害を受けた混合廃棄物で、泥が多く、分別は、アスベストやPCB、放射能の以前に、泥を落とすところから始まります。泥が混ざった まま焼却すれば、カロリーを確保できず、助燃剤を増やさなければならないなど調整が必要で、安定的な焼却に不安も残ります。
現地での作業は泥をふるいにかける作業が中心でしたが、重機のアームが作動している合間に、空地に広げられた混合廃棄物から、消火器やボンベなど焼却不適物を分別する作業は、非常に危険に見えました。

 

[下線部追記(12/1)]
現地で処理している廃棄物処理現場に、同行しさらに残って視察した環境ジャーナリスト井部正之さんとアスベストセンターのお二人が行ったことろ、丁寧に手選別する現場もあったと聞きました。
現地(宮古市)では、12月から鹿島が受託した屋外・屋内選別場が稼働し始めると、ベルトコンベアーで流れてくる廃棄物の手選別が始まるそうです。
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*埋め立て処分場からの拡散

環境省は、平成23年9月21日の事務連絡「廃棄物最終処分場における焼却灰等の埋立処分について(注意喚起)」 において、放射性セシウムを含む焼却灰等を埋め立てる際には、焼却灰等と水がなるべく接 触しないように、場内の水が溜まりやすい場所での埋立ては行わない等の対策とともに、放射性セシウムの土壌吸着性を考慮して土壌の層の上に焼却灰等を埋め 立てる等の対策を考慮すること。また、飛散・流出防止のため即日覆土等を施すこと。
としています。

しかし、現状の廃棄物処理過程においては、最終的に灰が埋め立てられる中央防波堤埋め立て処分場に雨が降れば、地下に浸透する過程でセシウムが溶け込む可能性があります。

中央防波堤は廃棄物を埋め立てる施設のため、汚水が地下浸透しないよう溜まった水を処理して、下水処理施設に送っています。

焼却施設も下水処理施設も放射性物質の処理を想定して作られていませんので、処理過程において、放射性物質を処理する設備はありません。

現在の廃棄物処理の問題であり、災害廃棄物受け入れの問題に限りませんが、廃棄物を処理することが、放射性物質を拡散させることになっているのです。

④意思決定は適正か。説明責任は果たされているか

行政主導で行われている災害廃棄物処理決定ですが、意思決定の所在が非常にあいまいです。
例えば、東京都が宮城県女川町の受け入れ表明しましたが、公表されている基本合意は、23区区長会と東京都市長会、女川町、東京都、宮城県で締結されています。

実際に、焼却をする施設は、23区であれば、東京二十三区清掃一部事務組合であり、市部であれば、各市や広域処理をしていれば広域連合などです。これらの組織における意思決定はどうなっているのでしょうか。

最終的に費用負担をするのは国ですが、処理の過程で発生した費用は、一時的には自治体となります。補正予算など、予算計上する必要は無いのでしょうか。
また、清掃工場は23区のごみを想定していますが、自治体外のゴミを持ち込むことについての合意形成は、二十三区区長会だけで良いのでしょうか。

二十三区一部事務組合や各自治体は、災害廃棄物処理について東京都に追随するのではなく、住民を代表する議会にかけるなどすべきです。

先行受け入れを行った岩手県宮古市の災害廃棄物受け入れについては、大田区民への説明会さえ開催されていません。

⑥過剰な設備投資と余剰設備

一方で、私たちが気付かなければならないのが、なぜ、東京で当初50万トンもの災害廃棄物を受け入れられると表明したかということです。(50万トンは余力であり、災害廃棄物の焼却可能能力は10万トンに変更したようですが)
清掃工場が余剰設備を抱えているということに他なりません。

そして、これは、東京都の下水汚泥処理施設においても同様のことが言えます。
多摩流域の下水汚泥焼却灰の処理23万トンも問題なく受け入れられるのが、現在の下水汚泥処理設備があるということなのです。

⑦廃棄物処理施設が臨海部に集中することの意味

災害廃棄物受け入れは、住民の反対運動などにより、実際には思ったほどに受け入れが進んでいません。

東京都の受け入れが行われている背景に、廃棄物処理施設の立地の影響が少なくないと考えています。
清掃工場、下水汚泥処理施設、埋め立て処分場、産業廃棄物処理施設などが、臨海部に集中していますが、臨海部は、居住エリアから離れていて、目につきにくいため、廃棄物処理の影響について当時者意識を持つ人が少ないことが理由のひとつに挙げられます。
結果として、迷惑施設と呼ばれる施設の集中が、特に、大田区を中心とした臨海部に集中しています。

住民の監視が届かないことが、ずさんな処理につながらないようにしなければなりません。

⑧忘れられているコスト検証

今日、復興財源確保法が成立し、総額、10.5兆円の増税が決まりました。

●所得税は13年1月から25年間、2.1%の定率増税
●法人税は、実効税率の5%の引き下げを、事実上、向こう3年間先延ばし
●個人住民税は14年6月から10年間、1人あたり年1000円増

災害復興のための効果的な税金投入、そして、廃棄物処理についても考えていかなければなりません。