大田区が行おうとしている高さ制限が新国立競技場建設予定地の都市計画決定に学ぶこと

大田区では、現在、建築物の高さの最高限度を定める高度地区指定の検討を行っています。

ちょうど、都市計画審議会
での話し合いが終わったところです。(資料

それを受けて、12月4日18:30から入新井集会室で高さ制限の基本方針いついての区民向けの説明が行われたのち、パブリックコメントの公募が始まります。

高さ制限についての説明会

12月4日18:30~入新井集会室
12月1日区役所ほか

建物の高さは、さまざまな形で区民生活に大きな影響を及ぼします。

・10メートルの制限があり、3階建てしか建てられなかったところが、15mになれば5階まで建てられるようになり、資産価値が上がるかもしれません。

・一方で、目の前に3階しかたたなかったはずなのに、5階建てになって、日当たりが悪くなるかもしれません。

大 きな視点で見れば、少子化や人口減少により、今後は、活気を保てるまちと衰退するまちにも大きな差が出てくることになるでしょう。特に、国家戦略特区の提 案を見ていると、今後、都市計画の基本的な方向付けが国に移ろうとしています。国の方針をみれば、都心部にさらに集中する可能性があり、東京と言っても周 辺部に位置する大田区としてのまちづくりは、区民が暮らし続けたい住環境を整えるうえでも、また、財政的側面から自治体として生き残るうえでも、非常に重 要です。

本来であれば、地域ごとの丁寧な住民との合意形成の上に作られるべきものです。

ところが、この大切な基本方針が、住民参画もなく決められようとしています。

都市計画審議会の委員
=学識経験者6名、区議会議員6名、区民もしくは東京都関係行政の職員6名の合わせて18名で審議した高さの案が今後の大田区全体の建築物の高さ制限の基本的な考え方を示したことになります。

都市計画審議会からの高さの基本方針についての説明を受け、意見を言う場が持たれるというのを聞いて、次の記事を思い起こしました。

東京五輪の主会場となる国立競技場の建て替え計画について、計画見直しなどの声が高まっている中
、都市計画の視点から、意見を述べられている伊達美徳さんというまちづくりの専門家の以下の記事です

856建築家たちの新国立競技場デカ過ぎ論には肝心の都市計画問題が抜けている

伊 達さんは、新国立競技場の設計コンペ募集要項が公開された2012年の7月、対象敷地のあたりには、都市計画の第二種高度地区で20mまでの高さの建築し かできなかった。にもかかわらず、コンペ募集要項には高さ70mまで建てて良いとする条件になっていた。東京都は75mまで許容する地区計画をつくって、 2013年1月から2月の2週間、一般に公開して意見を募集、5月に都市計画審議会原案の通りに承認、6月に都知事が決定した。

反対するなら、なぜ、都市計画決定の際に反対しなかったのか。と伊達さんは言っておられます。

確かに、私も、都市計画審議会の委員も務めたことがありますので、都市計画審議会の諮問事項を覆すのが簡単でないことは承知しています。伊達さんも、都市計画審議会の委員をしておられるようですから、そんなことは十分承知の上でのご発言のはずです。

しかし、最初から無駄だとあきらめて、それでは、いったい、誰がまちを作るのでしょうか。

結果できた都市計画決定に基づいた高さで建てられた建築物に対して、建築紛争を起こす前にも、やるべきことがあるというのはその通りだと思います。

東京都は、都民に信託され成り立っているわけですが、東京都は、誰の発意で、20mから75mに高さを変更したのでしょうか。

そして、これから出てくる大田区の高さ制限の方針は、誰が作ったものでしょうか。