過去にも指摘してきた、この附置義務の課題ですが、大田区の付置義務が拡大の条例改正が行われましたので、再度ご報告いたします。

付置義務と言って、一定以上の建築物に対して、その用途に応じて自転車駐輪場を設置することを「新築しようとする者」に義務づける条例があります。

大田区自転車等の放置防止及び自転車等駐車場整備に関する条例

http://www.city.ota.tokyo.jp/reiki/reiki/36390101001200000000/36390101001200000000/36390101001200000000.html

この条例の改正が、3月に、大田区議会において行われました。

私は、以下のような問題点があるため、第32号議案「大田区自転車等の放置防止及び自転車等駐車場整備に関する条例の一部を改正する条例」に反対しました。

放置自転車は、特に、人の多く集まる場所において、課題となっていますが、その解決はなかなか進みません。

放置自転車の原因として、通勤・通学、買い物など経済活動・・・・が考えられますが、放置自転車の附置義務は、放置自転車に対する対策を、その原因となる施設に負担していただく条例です。

今回の改正は、その対象範囲を拡大するために行われています。

設置義務を課す施設の面積がより小さくなるとともに、対象地域を区内ほとんどの区域とするなど拡大が行われたことは評価できます。

しかし、一方で、設置義務は、「建物を新築しようとしている者」のままで、改修がその対象となっていません。

駅周辺に放置自転車がたくさんあるのは、駅に通勤や通学、買い物などで訪れる人が多くその方たちが放置しているのがその理由ですが、一方で、多くの人が集まるにも関わらず、そのための施設=駐輪場が無いことがその根本にはあります。

行政は、「駐輪場を確保する場所が無い」「駐輪場を設置するにはお金がかかる」と言いますが、その根底には、日本の都市計画の問題があります。

現在のしくみでは、自転車が放置されるのはその施設の利用者が放置するのだから、その施設を建設する者に義務付けようというルールになっています。

そこで、「新築」する時に、建物に駐輪場をつけさせるわけで、そのため、条例制定以前にその建物を建設した建物には、駐輪場設置義務が課せられません。

しかも、「建物を建設する者」に義務が課せられていますが、「駅」という施設はその対象ではありません。
この問題に関して、豊島区は鉄道事業者に課税するという試みを行おうとしましたが、結果協議を継続している形です。豊島区放置自転車税条例  http://www.jilg.jp/ronsetsu/page/c0220.html

確かに、現状の駅周辺を見渡せば、どこに駐輪場を設置できるのか頭を抱える状況もありますが、一方で、だからと言って、機械式地下駐輪場を莫大な税金を投 入して設置するといったことが、行われている状況をみると、日本の都市計画の無さ=土地の高度利用(経済性)を最優先した後始末的対処療法まちづくりであ ると感じます。

改修を加えないことは、新規事業参入者と既設者との間の土地利用に係る財産権の問題にもつながります。
新規事業参入者は、駐輪場分の土地利用を我慢させられる一方で、条例制定前に建物を建設した事業者は、駐輪場設置部分まで事業のために利用可能だからです。

場所が確保できないという答弁がありましたが、できないからしなくていいという理由なら、したくない区民はおおぜいいることでしょう。

附置義務のために土地や施設の確保面積負担は大きくなり、参入障壁を設けたかたちで、面積の小さな規模の事業者の新規参入が不利になり、大規模店舗しか新設できなくなる可能性もあります。

結果として、既存の施設が負担すべき駐輪場確保のための駐輪場設置は、税金で広く区民が負担するという状況がおきています。

日本の場合、土地の所有者は、所有する土地の内部の施設の負担、加えて開発の規模により拡幅が義務付けられる前面道路の改修費用は負担しますが、その土地の開発に伴い付随して生じる様々な社会的負担は「税金」で行うことになります。

そのため、再開発などが良い例ですが、必ず、税負担が生じます。

オランダの自転車利用を前提としたまちづくりについて視察に行った際、開発において都市施設(道路・公園など)まで含め、事業者が採算性を加味してプランを作る仕組みだったことが非常に印象に残っています。

蛇足になりますが、その際、新たにできた駐輪場の利用料について、市が、私たち(日本からの視察者)に、「まだ決まっていないが、無料で貸し出す予定であ る」と説明したら、同席していたオランダの地方議員が、「受益者負担にすべき」と発言していましたが、直前に、大田区の委員会で、ご自分の地域にできた駐 輪場利用料を無料にせよと発言していた議員を思い出し、興味深く聞きました。