大田区がハト・カラスへの餌やりに条例で5万円以下の罰則を設けることで自然を迷惑にしてしまう心配

大田区議会は、ハトやカラスへの餌やりに5万円以下の罰則を設ける条例を可決しましたが、私は、罰則をもって規制する事が、将来、自然を減らすことに繋がらないかと反対しました。

みなさんは、どうお考えになりますか。

ハトやカラスへの餌やりが区民生活に影響を及ぼしています。

なかなか止まないので、大田区が条例を作りました。
・罰則を設けているうえ、
・被害と行為の因果関係の判断が難しい(特定しにくい)ことや、
・ハトやカラスへの餌やりによる被害と、樹木など庭木等に集まる被害を区別しにくいこと
・結果、迷惑をかけたくない、という気持ちから、益々、まちから自然が減ってしまうのではないかと思い、

一人でしたが反対しました。

大田区は、そんなことはしないと説明しましたが、個人の家に来るハトカラズが、公道や公園に糞をしたり羽を飛ばせば、規制の対象だそうです。

最後は、条例文が残り、そこに基づき判断されることになります。

自然が迷惑になってしまう、それを公権力で自粛ではなく罰則をもうけるようになっていることに、開発の進んだまちのありかたについて、あらためて考えさせられました。

 

末尾に条例文を掲載します。
気になる部分を太字にし特に気になる部分は赤色をつけました。

________________________

第24号議案ハト・カラスへの給餌による被害防止条例について反対の立場から討論いたします。

 

この条例案は、区民等の禁止事項として、

・公共の場所でのハト・カラスへの餌やりと

・ハト・カラスへえさをやることで、被害を公共の場所に生じさせること

を禁止するための条例です。

 

条例が出来れば、最後は、条文がそこにありますから、その条文の解釈が区民生活に影響を及ぼします。

 

ハト・カラスの迷惑を想定していますが、議案質疑で、
【質疑】民地での給餌により、道路や公園などに被害が及んだ時は、罰せられるかうかがったところ、

【答弁】自己の敷地内で給餌を行った場合であってもその給餌行為が原因となって公共の場所に糞尿の被害が及んでいることが確認できた場合は罰則の対象となり得る

と答弁がありました。

 

こうした人間の行為に対し、罰則規定を作ることは、拡大解釈される恐れがあり、しかも基準を作れば恣意的になるため問題だと思います。

 

他自治体でも大田区同様の苦情は寄せられているにも関わらず、条例化していないのは、そうした運用面でのむずかしさがあるからだと思います。

 

大田区は、ハトカラスから拡大しない、公共の場所の苦情が多いから公共の場所での制限をかけたと言いますが、今回同様、区民から苦情が来れば、今回の答弁からもわかるよう、明確な他の種類の生き物や、公共の場所か民地かの線引きが明確でないため、将来、対応せざるを得なくなる可能性があり賛成できません。

庭木の実をついばむ被害が、公共の場所に及んだ場合は、個別の状況をみて判断すると言いますが、何を食べた被害か判断は難しいですし、逆に、庭木の実を食べにくる鳥の糞の被害をうったえられた時、調査のために大田区が動かざるを得なくなるでしょう。

 

そうなれば、庭木の実をついばみに来る鳥がもとで、ご近所との関係が悪くなるなどを心配して、そうした樹木を切らざるを得なくなるかもしれません。

自然から生じる迷惑を公権力で制限する事は、自然そのものを排除したり否定したりすることにつながりませんか。

という質疑に笑っていた委員がいましたが、ルールが区民の暮らし方に影響を及ぼすことも考えて条例制定すべきかどうか、考えるべきだと思います。

  

集合住宅が増え、宅地が細分化されて、大田区の緑の調査からも明らかなように、民地の緑が減っています。

 

今でも、樹木から落ちる葉や実が迷惑で、公園の木や街路樹の選定も悩みがあると思います。

 

貴重な民地の緑を縮小する遠因になる可能性を考えても、問題のある条例案だと思います。

反対いたします。

 

 ___________________________________

以下条例文

 

 

第 24 号議案

大田区ハト・カラスへの給餌による被害防止条例

(目的)
第1条 この条例は、ハト・カラスへの給餌による被害の防止について必要な事
項を定めることにより、区民の生活環境の向上を図ることを目的とする。

 

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号
に定めるところによる。
(1) ハト・カラス 自ら所有せず、かつ、占有しないドバト、ハシブトガラ
ス及びハシボソガラスをいう。
(2) 給餌 ハト・カラスに餌を与えること(ハト・カラスが集散することを
認識しながら、ハト・カラスが食べることができる場所に他の動物へ与えた
餌を放置する行為を含む。)をいう。
(3) ハト・カラスへの給餌による被害 次のいずれかに該当するものにより、
区民等又は被害箇所の管理者による苦情や相談があり、被害が確認できる状
態をいう。
ア 給餌による餌を目当てに集散するハト・カラスの鳴き声その他の音
イ 給餌による餌の残さ、給餌による餌を目当てに集散するハト・カラスの
ふん尿その他の汚物の放置又は不適切な処理及びこれらにより発生する臭

ウ 給餌による餌を目当てに集散するハト・カラスの羽毛
エ 給餌による餌を目当てに集散するハト・カラスの威嚇行為
オ 給餌による餌又は給餌による餌の残さが原因となって発生するねずみ又
は害虫等
(4) 区民等 区民及び区の区域内(以下「区内」という。)に滞在する者(通
過する者を含む。)又は区内の土地を所有し、占有し、若しくは管理する者
をいう。
(5) 事業者 区内において、事業活動を行う全てのものをいう。
(6) 団体 区民等又は事業者を構成員として活動する団体及びこれらの連合
体をいう。
(7) 関係行政機関 区の区域を管轄する警察署及び消防署、国道又は都道を
管理する事務所その他の行政機関をいう。
(8) 公共の場所 区内の道路、河川、公園、広場その他の公共の用に供する
屋外の場所(民有地であって、日常一般に開放され、歩行者が自由に通行し、
又は利用することができる敷地を含む。)をいう。

 

(区の責務)
第3条 区は、第1条の目的を達成するため、必要な施策を推進しなければなら
ない
2 区は、前項に規定する施策を推進するに当たっては、区民等、事業者、団体
及び関係行政機関と連携協力し、施策の効果が最大限に発揮できるよう努めな
ければならない。

(区民等の責務)
第4条 区民等は、良好な生活環境を確保するため、ハト・カラスへの給餌によ
る被害を生じさせることがないよう努めなければならない。
2 区民等は、この条例の目的を達成するため、区が実施する施策に協力するも
のとする。

 

(区民等の禁止事項)
第5条 区民等は、次の各号に掲げる事項をしてはならない。
(1) 公共の場所において、ハト・カラスへの給餌を行うこと。
(2) ハト・カラスへの給餌による被害を公共の場所に生じさせること

 

(事業者及び団体の責務)
第6条 事業者及び団体は、この条例の目的を達成するため、区が実施する施策
に協力するものとする。

 

(関係行政機関の責務)
第7条 関係行政機関は、この条例の目的を達成するため、区民等、事業者及び
団体の取組並びに区の施策に協力するものとする。

 

(指導)
第8条 区長は、第5条第2号の規定に違反した者に対し、当該行為の是正又は
中止を指導することができる。

 

(委任)
第9条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

 

(罰則)
第10条 第8条に規定する指導に従わずに、ハト・カラスへの給餌による被害を
公共の場所に生じさせた者は、5万円以下の過料に処する
付 則
この条例は、令和4年4月1日から施行する。

(提案理由)
ハト・カラスへの給餌による被害の防止について必要な事項を定めることによ
り、区民の生活環境の向上を図るため、条例を制定する必要があるので、この案
を提出する。