日米航空交渉で昼間の便が増えました。米国、ヨーロッパ便などは燃料をたくさん積む必要もあり、機体が大きく騒音もその分大きくなります。日米オープンスカイで既に便数やルートは自由に設定できるとする国交省のHPでの説明もあり、何がおきているのか知ることは大田区民にとって非常に重要です。にもかかわらず、大田区議会はこれを不要としました。
議会はどこをみて判断しているのでしょうか。
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28第16号「日米航空交渉が及ぼす影響について区民への説明を求める陳情」について、委員長報告に反対。採択をすべきであるという立場から討論いたします。

羽田の増便と飛行ルート変更は、なぜ必要なのか、どのような想定で試算された増便なのか、明確な根拠が示されないまま、グローバル化や豊かな経済のためという漠然とした理由で国交省とのやりとりもかみ合わないまま着々と進んでいます。

こうしたなか、先日、日米航空交渉において、昼間時間帯で日米双方一日5便ずつ、深夜早朝時間帯枠(午後11時~翌午前6時)で双方1日1便ずつの配分で決着しました。

陳情は、日米航空交渉が大田区民に及ぼす影響について区民への説明の場を設けるよう大田区や国土交通省に働きかけを求めるものです。

羽田空港対策特別委員会の審議の中では、B滑走路西向きに国際線が飛ぶこともあるという答弁がありました。昼間時間帯で日米双方一日5便ずつ増便と合わせて考えれば、新飛行ルートを米国向けの出発便や、米国からの到着便が使うことも考えられるなど、日米航空協議の結果が大田区民に大きな影響を及ぼすことが明らかになっています。

しかも、「国交省と大田区とで空港の供用に関わり協議をすることになっている。この日米航空協議は、空港の供用に重大な影響を及ぼすこと考えられるが何を根拠に行っているか」と国土交通省に問い合わせたところ、日米オープンスカイ了解覚書の存在を国交省の職員から教えていただきました。

大田区は、今回の交渉結果は飛行ルートの変更につながらないから問題ないと言いますが、大田区民に重大な影響のある航空行政に関わる問題が、国家間の協議となると自治体の頭越しに進み、自治体も住民も関与できないということです。

 

日米航空交渉の前提となっている日米オープンスカイ了解覚書は、と国土交通省のホームページには、

正式発効は、日米両政府間での外交上の公文の交換後となりますが、平成22年10月25日の署名をもって、日米の航空関係は完全に自由化され、日米双方の航空企業は、自由な経営判断により新規路線の開設、増便、運賃の設定、チャーター便の運航、他企業との提携等を行うことが可能になります。

と記されています。

 

国交省が許認可権を担ってきた新規路線の開設、増便、運賃の設定、チャーター便の運航、他企業との提携等が、民間企業にゆだねられることの影響は非常に大きなものがあります。

今回、日米航空協議の結果、昼間時間帯で日米双方一日5便ずつ増便となったように、今後、どの時間帯をどこの航空会社がどういうルートの便を飛ばすかが、国土交通省ではなく、航空会社間で決まるようになるわけです。

今回の増便や飛行ルート変更は、この夏に決めると言っていますが、今回示しているルートや便数は、日米オープンスカイを前提としたものなのか、そうでないのかもはっきりしません。

国家間の条約など国際法は、国際法秩序において、国内法に優越すること。国家がその国内法をもって免責事由とすることは許されないことが認められています。

これらから考えれば、協定の存在が国内法に優先することになり、大田区と国交省の約束も反故にされてしまうかもしれません。国家間の約束や交渉がたとえ国のことだとしても、大田区と区民に影響があれば、国に説明を求めるとともに区民に説明することが大田区の責務ではないでしょうか。

羽田増便と飛行ルート変更の是非は、安全性や騒音とともに、なぜ増便するのか、どう増えるのか、という内容によって、増便と飛行ルート変更の是非の判断はかわってきます。

運輸政策研究所に設置された首都圏将来像検討調査委員会には、経済財政諮問会議の委員である東大大学院教授の伊藤元重氏、東京都元副知事の青山ヤスシ氏、大田区の審議会などでもお名前を良く拝見する東工大教授の屋井鉄雄氏など、政策立案に深い影響力を持たれている方たちが名を連ねています。

そして、その研究結果には、オープンスカイが前提で、資本、労働などの自由化を促進すべきなどと記されています。

特に、米国は以遠権という、米国から来た便が日本を経由して、さらに先にある別の国への区間についても営業運航を行なう権利を持っている日本にとって特別な国です。

日米のオープンスカイが実現すれば、日本の国内線もまた国際線も、米国航空会社が日本の市場を占めていく可能性もあります。

大田区は国内線の便数により航空燃料税の交付金を受けていますが、経済のための増便と飛行ルート変更も、大田区の税収から見れば受ける重大な影響に比べ、さほどのメリットにならないかもしれません。

いま、政府はTPPに非常に積極的です。公文交換も近いかもしれません。

大田区は日米オープンスカイ了解覚書について国交省から何ら情報提供はないといい、それを問題視していませんが、大田区の自治権を無視した許されない行為です。

陳情者のいう日栄航空協議やオープンスカイ了解覚書と大田区との関係を明らかにすることが、増便と飛行ルート変更にかかわる区民の判断に必要な重要な情報であり、採択すべきです。