東京団地冷蔵の開発にかかわり大田区道が大幅に減る。この開発に伴い都道は売却され東京都に収入が入るが、大田区道は売却しないという。周辺相場で約5億円分の面積の区道が失われる。区民の財産がこんな使われ方でいいのだろうか。

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東京団地冷蔵株式会社の開発行為に伴い、大田区の道路の位置と面積がかわります。

お茶をこぼして汚い書類で申し訳ありませんが、下図を見るとわかりやすいと思います。
中段の黄色い事業者の敷地にピンクの大田区の道路が通っていた敷地を、下段のように、区道を北と中央にT字のようにしています。

これにより、事業者は、複数個あった倉庫を2つの大きな倉庫として開発できることになります

今回の場合、最終的な事業者の敷地面積は、ほぼ同じで変わりませんが、区道の面積が1,296㎡と大幅に減ります。

事業者は開発許可の要件を満たすため3%の敷地提供を行わなければなりませんので、事業者の敷地面積が3%減るはずですが、大田区が区道でこれを肩代わりした形です。

区の財産を売却・譲渡する場合には,最有効の形で売却すべきで,原則として,無償で(又は市場価格より不当に安く)譲渡するようなことは許されません。

と言っている弁護士もいます。

同じ、道路を提供することになっている東京都の第二建設事務所に電話して東京都の所有する199㎡の土地の処分について伺ったところ、入札か随意契約かは現在検討中だが、売却する予定であると説明を受けました。

相談した弁護士さんも、

基本的に都と同様に有償で売却すべきであるように思います。

と言っておられます。

大田区の「財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」を調べてみましたが、条例に交換や寄付の対価としての譲与、無償貸付や減免はあっても、無償譲渡はみあたりません。

「大田区が使っていない道路なのだから、使いたい事業者が使いたいといえば、無償で使わせて良い」というのはどうなのでしょうか。

【詳細は以下】
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そこで、本開発に関わり、何が起きたのかを整理してみました。



開発許可で減ってしまった区道1,296㎡

対象事業面積は56272㎡。うち、特別区道は8,542㎡。この開発により、3%1,688㎡の広場が課せられます。

ところが、今回、事業者は、8,542㎡だった区道の面積を7,246㎡と1,296㎡減らし、199㎡だった都道の面積を0とし、開発許可に伴い必要な広場1,688㎡をこの区道1,296㎡と減った199㎡と事業者の敷地面積192㎡で担っている形になっています。

区道を8,542㎡から7,245㎡に減らして整備することは、交通管理者である警察と協議済だそうです。警察は、交通上の支障がないこと、また、違法駐車が多いことから道路幅を狭くすることに同意しているという説明です。

もう一つの道路管理者は大田区です。大田区は、大田区民の財産である区道が減ることについてどのように整理しているのでしょうか。
大田区がなぜ区道を管理しているか

・警察が問題ないといえば、大田区も問題ないか

大田区は、警察が問題ないと言っているから、開発事業者が、LEDやベンチや公園トイレ、船着き場の整備という社会貢献をするからと説明しています。

しかし、交通管理者である警察が交通上の視点から協議に同意したとしても、大田区が協議に同意しなければならないわけではありません。

警察には警察の役割があり、大田区には大田区の道路管理者としての役割があるから、それぞれに協議が求められ同意をしなければ開発許可されないしくみになっています。

協議が整えば、開発許可は許可しなければならない「羈束(きそく)」事務ですが、協議は、それぞれの行政がその役割に照らし合わせ法令に基づき厳密に行われるべきものです。

だからこそ、道路法は、路線の指定及び認定、管理、構造、保全、費用の負担区分等に関し、交通の発達だけでなく、公共の福祉の増進をその目的としているのです。

大田区は、警察が区道を狭く整備してよいといったといいますが、あくまで交通上支障がないという理由です。

しかし、道路は、自動車・自転車・歩行者など人や物の移動や沿道への出入りなど1.交通機能 だけでなく、 生活基盤の充実

といった2.土地利用誘導機能や、 災害時の避難路、 緑化、 通風空間の確保など、 3.空間機能など公共福祉の増進をその目的としています。

単に、一事業者の開発利益からの理由だけで、道路面積や幅、位置の変更を認めれば、都市全体の機能は大幅に低下します。

車の出入りと違法駐車の問題だけで道路を整備するなら、なぜ、街路樹を配置したり、中央分離帯を整備したり自転車道を備えた道があったりするのでしょうか。 しかも、区民の財産を交通上の機能が確保できているからと簡単に減らしてよいものでしょうか。

しかも、開発許可の要件である3%の広場が道路の代替であるというのは通るでしょうか。

敷地の道路は必要があって長年大田区が区民の税金を投入して維持管理してきたものであり、広場は、今回の開発に伴い、新たに必要となった空地です。

・区道を無償で提供してよいか

区道の減った分を広場で代替するという考え方が法的に存在するのでしょうか。

この問題について、まちづくりに詳しい弁護士のなかには、

確かに、開発許可制度の解説に、公共施設の仮に開発許可の基準として40条で「新旧が等価であることを要しない」として開発許可を行ってよいとしても,区の財産管理の観点から,この開発許可の基準自体が,直ちに,区の財産である区道の土地を無償で(又は安価に)譲渡してよい理由にはならないように思います。

区の財産を売却・譲渡する場合には,最有効の形で売却すべきで,原則として,無償で(又は市場価格より不当に安く)譲渡するようなことは許されません。

と言っている方もいます。

同じ、道路を提供することになっている東京都の第二建設事務所に電話して東京都の所有する199㎡の土地の処分について伺ったところ、入札か随意契約かは現在検討中だが、売却する予定であると説明を受けました。

相談した弁護士さんも、

基本的に都と同様に有償で売却すべきであるように思います。

と言っておられます。

・大田区の条例にも無い区の財産の無償譲渡

大田区の「財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」を調べてみましたが、条例に交換や寄付の対価としての譲与、無償貸付や減免はあっても、無償譲渡はみあたりません。

この条文を適用したかどうかはわかりませんが、たとえば第三条を「特別区道の廃止によつて生じた土地は、船着き場など寄附を受けた財産の価額に相当する金額の範囲内において寄付者に譲渡できる」と読むなら、提供する区道と寄付を受ける船着き場などの価格が非常に重要になります。インターネットで調べてみたら、同じ平和島で㎡あたり38万円、坪単価126万円というのがありました。これより、安いか高いかはわかりませんが、おおよその目安として計算すると、4億9,248万円になました。

過去の議事録をひもときますと天空橋に設置されている船着き場の整備費用は当初5,800万円で示されその後7000万円以上になっています。

区道1,296㎡が財産価格審議会などでいくらくあいの評価なのかの報告もなければ、委員会審議のなかで、今回の船着場をどう整備し、いくらかけるのかも一切示されていないため、区道の提供が適正かどうかの判断もつきません。

行政財産である特別区道を廃止し、普通財産として東京団地冷蔵に所有権を移転するためには、結果として開発許可は工事の翌日に帰属が自動的に移転するとしても、「大田区財産価格審議会条例」や「大田区公有財産管理規則」「公有財産管理運用委員会規程」など法令に基づいた行政内の検討や審議、事業者との協議が行われているはずではないでしょうか。そうした法令にてらしあわせれば、開発許可の特例措置により自動的に民間事業者に帰属を移すのではなく東京都のように購入を求めるべきではないでしょうか。

・船着き場の整備という貢献

また、加えて、船着き場の整備について私たちはどう考えるべきでしょうか。

観光目的ということで震災のあった2011年末から始まった船着き場の整備ですが、その後、イベントを除き、まったくと言っていいほど使われていません。
船着き場の整備が大田区への貢献といいますが、仮に、事業者が船着き場と運河を利用できるようになるのであれば、事業者にとっても大きなメリットです。

気になったので大田区船着場条例を読んだところ、

船着場は、災害時の水上輸送拠点と、防災上必要な施策に使用するとしていますが、

ほか、区長が船着場の管理上支障がないと認めれば、営業や事業につかうことができるとされています。
船着き場の整備が前提の区道廃止等であれば、使用にかかわる船着き場条例の整備など明確な規定はなおさら議決時に必要です。

これは、課長、部長といった現場サイドの判断に、きわめて政治的マターで区長、副区長など特別職、議員の責任が問われます。

特別区道の廃止・認定・変更は区民の財産の損失につながる可能性があり、船着場の整備費用や使用規定も明らかになっておらず、いずれにいたしましても、行政に白紙委任するには不確定要素が多すぎ、大田区民の利益が明確でないことから反対といたします。