区長の諮問に素案反対をたてに修正を求めた区議会議員・認めた会長◆数の横暴?大田区都市計画審議会

7月30日に大田区都市計画審議会が開催されました。私は委員ではないので傍聴しました。区長からの諮問は「大田区の高さ制限の第二次素案」。「都市計画審議会」は、この素案に意見を申し述べる場ですが、区長の諮問に対し答申せず「区長に対し素案の出し直しを求める」という異例の事態になっています。

2015年7月30日、大田区都市計画審議会が開催され、現在、大田区が策定中の東京都市計画高度地区の変更(大田区決定)に係る第2次素案について諮問されました。

この素案について、出された主な意見は、

・マンション紛争解決のためというが紛争解決にならないのではないか。(もっと低くすべきではないか)
・高いのが悪いわけでは無いし、紛争解決にならないなら作る必要があるのか。
・この高さだと、既存不的確(違反建築)になる建物が254あり、財産権の侵害。
・説明不足。
・専門家が欠席している(都市計画の学識3人、弁護士が欠席)のに決めていいのか。

都市計画に関る様々な決定は、都市の在り方に影響する重要な問題です。土地の私有権を認める日本において、利用を規定する都市計画は財産権にも関る問題になります。

だからこそ、首長は、都市計画に関わる決定に際しては、行政の独断ではない、ていねいな住民や専門家からの意見聴取などによる合意形成のうえで策定することが求められます。

今回の高さ制限の第二次素案も、十分かどうかの程度の評価はわかれるものの、専門家で構成される有識者委員会に意見を求める形で進められ、パブリックコメントを行い、それに対する区の見解も示されてきています。

ところが、その素案について、諮問された都市計画審議会の一部委員が『このままでは反対するが出しなおすことを約束するなら採決はしない』といった発言がでました。
この意見に影響されるかたちで、検討すると答弁した大田区に対し、一人の委員がさらに『検討ではなく変えるのでなければダメだ』といった主旨の発言をし、特定の委員と大田区とのやり取りというかたちになりました。
に影響される形で出しなおしさせることができるでしょうか。

出しなおしを求める意見を述べたのは、都市計画審議会出席委員11人中の2人です。高さ制限を加えることについて懐疑的な発言をした委員はほかにもいましたが、諮問に対し、賛否を明確に述べていない議員がほとんどでした。
しかも、素案の出しなおしを求めるかどうか審議会として諮られてもいません。仮に、出しなおしが決まったとしても、審議会としてどう出しなおしを求めるかの合意形成さえ、できていません。
出席した委員の中には途中退席した委員もいましたが、その後に出しなおし云々になりましたから、その委員の意見も反映されなかったのではないでしょうか。

出しなおしを求めた2人の委員は、自民党、公明党。大田区議会の与党議員ですから、議会への影響力は少なくありません。だからと言って、大田区都市計画審議会において、『254棟の既存不適格建物が財産権の侵害だから素案は直すべきだ』という発言が大田区都市計画審議会での多数意見になったかどうかは確認できていなかったのです。

どうして、都市計画審議会の会長は、数名の意見で出しなおしを了承するかのような議事進行をしてしまったのでしょう。

素案に問題があると審議会として判断したなら諮問に対し「反対」とし、素案のどこに問題があるか答申すればよかったのではないでしょうか。

区長は、この都市計画審議会の報告を受け、11月の都市計画審議会における第二次素案をどうするでしょう。

審議会で発言した数名の意見に基づき、素案を変更するなら、これまでパブリックコメント等で積み上げてきた合意形成の元作った第二次素案はいったい何だったのでしょう。
そして、変更する正当性はいったいどこにあるのでしょうか。

審議会では、もっと低くすべきではないか、といった意見もありました。

審議会終了後、

・マンション紛争解決のためというが紛争解決にならないのではないか。(もっと低くすべきではないか)

といった意見を述べた委員に、『審議会で出しなおしになりそうなときに、どう修正するのか確認すべきではなかったか。このままいくと、素案が修正されより高い高さ制限の素案が出てくる可能性があるが、それは審議会の総意では無いと思う。担当部署にご自分の意見がどうなるか(反映されるか)確認したほうが良い。』と話してきました。

民主的な合意形成を逸脱する、数の横暴ではないか。大きな危機感をもっています。