ごみ処理「計画」を民間事業者に任せる大田区の公僕としての自殺的行為

12月11日、大田区のHPにごみ処理計画を民間にまかせるための公募のお知らせがのり、とうとうここまで来てしまったのかと大きなショックを受けています。

第3期大田区一般廃棄物処理基本計画策定支援業務委託公募型プロポーザルの実施について
http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/gomi/topics/20141204163419644.html

どんなことをお願いするのかと思ったら、

①家庭ごみアンケート調査
②事業所ごみアンケート調査
③家庭ごみ等成分分析調査
④家庭ごみ排出原単位調査
⑤不要物発生フローの取りまとめ
調査分析・ごみ量等の将来推計及び計画策定の支援

http://nasurie.com/wp/wp-content/uploads/2014/12/gyoumuitakushiyousho.pdf

特に⑥の調査分析・ごみ量等の将来推計及び計画策定の支援を民間に、しかもプロポーザルで行わせることに驚いています。

【計画行政という基本】

公=大田区とか川崎市とかは、思いつきで動いているのではありません。行政は計画に基づき動いています。

計画を決めるということは、予算を決めるのと同じくらい重要なことです。

【住民不在の計画策定】

ところが、この計画を作っているのは誰かと言うと「役人」なんですね。

公務員が、住民の代わりに、区とか市の大切な方向性を決めているんです。

たった一度の公務員試験に受かった人たちが、選挙で選ばれた議員よりもある意味権限を持っているわけです。

ただ、公務員は、だから基本的人権など憲法を守って全体の奉仕者として働きいなさいと憲法で決められています。
決まりとして、私腹を肥やしたり、誰かにエコひいきしたいすることはできないことになっています。

でも、決まり通りにはいかないから、特定の業者に良くしてあげた見返りとして天下りが有るんじゃないか、とか、国民から批判をうけているわけですね。

私は、この、公務員だけで計画を決めたら、住民や議会が問題を指摘してもほぼ変更できない仕組みはおかしいなあ、と思っています。

ところが、今回の大田区のごみの計画を公募するというのはもっとおかしいことなんです。支援となってはいますが、実質計画を丸投げするという印象を受けます。

公務員が自らの権限を民間に丸投げするのは公務員の自殺行為にも等しいことなのに、どうしてこんなことが起きるのでしょう。

計画を作る能力=行政手腕が無くなってしまっているのでしょうか。

【計画を公募することの意味】

一方で、この計画を公募するのは、行政が楽をするだけの問題にとどまりません。

現状の把握や問題意識によって、とるべき方法は違ってきます。

お仕事というのは、作ろうと思えばいくらでも作れます。

耐震強度を上げれば、耐震強度の高い材質に変える必要がありますから関連事業者はお仕事になります。

ごみの集め方やリサイクルの方法など、現状と解決方法の提示の仕方で、どうにでもなるわけですね。

先ほども指摘しましたが、問題は、これがたたき台であったとしても、事実上はこれが案がほぼ最終計画で、住民や議会が計画変更にほとんど関与できな現状が有るということです。

どんなに理不尽な計画でもなかなか覆すのが難しいことは、原発の事故以来私たちは嫌と言うほど経験していますね。

そいういう視点で今回のごみ処理の計画について、民間に、しかもプロポーザルで委託するということが、「支援」予言う言葉が入っているとはいえ、どんなにおかしいことか、怖いことか感じていただけるのではないでしょうか。

いま、ごみの事業の大きな課題は、ごみ量が減ってくることにあると思っています。

高齢化と人口減少、産業構造の変化がその理由です。

いまある清掃工場が過剰になってくるんですね。

水道事業も似た状況にあります。

支える人も減ってきますから、身の丈にあったごみ処理や水道事業にしていかなければ、私たちは清掃工場も浄水場も税金(+水道料金など)で支えられなくなってしまいます。

ところが、政治の現場でそのことについて、あまりきちんと議論されていない。

最近、私は、大きな予算を伴う事業がふくまれている計画を、事業をすることでもうける事業者と利害関係者できめる仕組みになっていることに危機感を持っています。

東京都の都市計画マスタープラン再開発プランがそうでした。

清掃事業は、「収集運搬」「焼却」「埋め立て」処理が事業主体(23区各区・東京23区一部事務組合・東京都)により3つに分断されています。

そして、ごみ量と清掃工場の処理能力とのかい離=ごみ量に比べ清掃工場の規模が過剰なことが課題になっています。

清掃事業が東京都が23区に移管され(平成12年)15年になろうとしています。
東京都が清掃事業を行っていた時代の職員が一部事務組合からほぼいなくなり、23区からの派遣職員とプロパー職員になり、ようやく各区と一部事務組合のかい離が改善されるのではないかと期待されていたこの時期に、大田区の清掃事業計画を委託が始まろうとしています。

これが、23区全体に広がるのではないかと危惧しています。

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構造改革は、第二次段階に入っています。

委託により財源を移譲してきた第一次段階。

第二段階は、サービス提供の量や質まで裁量権を与える権限の移譲。

大田区での一般廃棄物処理基本計画は、その一例では無いでしょうか。