一見よさそうな「無償化」を小泉構造改革以降行われてきた「住民自治」や「意思決定」から考える
【小泉構造改革の官から民へ】の「効果」もあって、
全体の奉仕者より、民間事業者の方が力が大きくなってきています。
本来、憲法や法律から考えればおかしなことですが
これを問題ないと通そうとする政治家や官僚がいるのでしょう。
こうした中
無償化が行われると心配なのが、
議会や住民の関与が失われるのではないか、
ということです。
議会は、予算の賛否でしか関与できなくなる可能性があります。
保護者が保育料を負担しているから、
大田区では、専門家や議員を交えた「保育料検討会」が行われていますが、
大田区は、
保育料が無償になれば、保育料検討会をなくすと言っています
「保育料検討会」は、単なる保護者負担だけでない、公費投入=税負担の妥当性を検証する場ですが、
なくすというのです。
過去の保育料検討会議事録
http://nasurie.com/wp/wp-content/uploads/2023/07/9947093de44fb8a0006917b8fe51fc26.pdf
http://nasurie.com/wp/wp-content/uploads/2023/07/16dd7bb8baf4cfb5337252ab97455ef7.pdf
給食費は、今は、保護者の「私費」扱いです。
私費ですから、行政が関与することはできません。
食材や出汁から取る丁寧な作り方等は、
保護者がつくりあげてきたものです。
保護者の願いで守られている給食も
無償化で公費になれば
政治的な判断で決まるかもしれず、
保護者の願いが守られるかわかりません。。
大田区に給食の無償化について
私費扱いか、公費になるか聞いたところ、
影響が大きいため、私費のままで補助という形で行うと言っています。
公費になれば、食材の調達先も変わり、品質も変わるかもしれません。
だから変化を避け私費扱いということです。
無償化というのは、
行政内部で決める という見方もできます。
こうした無償化と同時進行で始まっているのが公民連携です
大田区では「公民連携プラットフォーム」という
行政と事業者が「区政の課題解決」を話し合う場が作られています
議会のアウトソーシングのように思えますが
公民連携プラットフォームには、根拠法も議事録もありません。
そこに集まる事業者は
選挙で選ばれたわけでもありません
一見よさそうな無償化は
「新たな税負担が生じる」という意味でも問題ですが
無償化で住民や議会の関与のしくみから外し
公民連携プラットフォームで
事業者が、その関与の受け皿になるように見えます。
住民や議会が担っている
地方自治体の合意形成や意思決定による住民自治を
事業者にシフトさせるのが
公民連携プラットフォームではないでしょうか
民主主義が、住民や議会、そして行政の手からも離れ
事業者と言えば抽象的ですが
事業で利益を得る一部の株主や投資家に、意思決定が移って良いでしょうか