進むマイナンバーへの行政サービスの紐づけがスーパーシティでどう利用されるかを知り、大田区や区議会がなすべきこと
いま、国では、ソサエティ5.0、世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画などを掲げており、大田区もそれにしがたい、新型コロナウイル
ス感染症との共存を前提とした新たな日常に向けた体制整備のためを理由に、行政手続きのオンライン化、行政サービスのデジタル化を重点項目の一つに位置づける予定でいます。
しかし、行政手続きのオンライン化、行政サービスのデジタル化により向上する利便性は、手続きで大田区役所や出張所、地域庁舎に訪れる回数が中には多くのサービスを受けていて、何回も来なくて済む方もいるかもしれませんが、一つの手続きで一回か二回減る程度で、そうしたサービスを受けていない人にとっては、利便性さえ関係ない方もいる一方で、そのために構築したマイナンバー導入のための当初システムの金額は莫大なものでした。
不思議なことに、たとえば今回補正予算が増額になる狭あい道路や耐震補強工事の情報など建築関係の情報は一切紐づけられない一方で、福祉サービスばかりが紐づけられていきます。
その一方で、こうしたマイナンバーとサービスを紐づけることで、どういう社会になるのか、行政手続き以外に誰がこの紐づけられた情報をどう活用するか、予測し、大田区や大田区議会は何をすべきか考えなければなりませんが、無批判に国の施策をそのまま進めています。マイナンバーへ行政サービスが紐づけられることの意味と問題について、条例改正を機に考えました。
以下、議案に対する討論です。
第95号議案大田区行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例
について反対の立場から討論いたします。
いま、国では、ソサエティ5.0、世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画などを掲げており、大田区もそれにしがたい、新型コロナウイル
ス感染症との共存を前提とした新たな日常に向けた体制整備のためを理由に、行政手続きのオンライン化、行政サービスのデジタル化を重点項目の一つに位置づける予定でいます。
しかし、行政手続きのオンライン化、行政サービスのデジタル化により向上する利便性は、手続きで大田区役所や出張所、地域庁舎に訪れる回数が中には多くのサービスを受けていて、何回も来なくて済む方もいるかもしれませんが、一つの手続きで一回か二回減る程度で、そうしたサービスを受けていない人にとっては、利便性さえ関係ない方もいる一方で、そのために構築したマイナンバー導入のための当初システムの金額は莫大なものでした。
不思議なことに、たとえば今回補正予算が増額になる狭あい道路や耐震補強工事の情報など建築関係の情報は一切紐づけられない一方で、福祉サービスばかりが紐づけられていきます。
その一方で、こうしたマイナンバーとサービスを紐づけることで、どういう社会になるのか、行政手続き以外に誰がこの紐づけられた情報をどう活用するか、少なくとも大田区は、示しません。
スーパーシティで行政情報、個人情報、企業情報を事業者に使わせて事業を行う事が可能になりました。スーパーシティで事業を行う企業は、データを使うに際し、APIというデータを共有するときの鍵を開示することが条件になっています。データやサービスの互換性・連携性を保証するのがAPIですから、APIを開示するということは、連携した企業間で情報を共有できることを意味します。
今回の条例で、マイナンバーに区民が使っている行政サービスを紐づけると、将来的に、スーパーシティで認定される事業が増えるにつれて、私たちの情報をみることのできる鍵が、広く企業間で共有されることになります。
小規模事業者の地域連携包括ケアなどを繰り返しながら、行政情報と企業情報とそれらが持つ持つ個人情報がつながり、APIの公開により大きな基盤データが作り上げられることになります。
ニーズは必ずしも行政目的とすべきことばかりではありません。利便性、快適性などが行政目的になってしまっている今、スーパーシティで認定される事業は、限りなく市場経済と等しくなるでしょうし、それらのサービスは無料ではなく、そこには必ず、私費公費含めた負担が伴います。
公共分野を民営化で市場経済に開放し、公民連携で行政内部に投資家の視点が入ったら、投資の対象、つまりは金儲けの対象になってしまっています。
私たちのわずかの利便性のために、莫大な税金投入や社会システムの変更が行われ、スーパーシティの事業で連携基盤データが密に、広く構築されると、結果として、それらの事業を行う企業が利益を得ることになります。
個人情報が、企業の利益拡大のために使われるだけでなく、本当に行わなければならない、社会保障でない分野にまで多額の税金が投入され、行政目的が何かが見えなくなると私は見ていますが、一向にそうした検証は行われず、どういう社会になるかの提示さえ行われていません。
社会システムの構築投資の対象とすべきではない公的分野や個人事業主、小規模事業者の権利の確保や、資本主義経済システムにおける労働者の権利、労働分配、そして、そこからの再分配の視点からの検証は一向に行われません。
番号情報に行政情報を紐づけることは、その後に続くスーパーシティの事業により情報化社会を構築しそこを投資家に使わせることと関係しています。この仕組みが今年国家戦略法の改正により成立しており、それにより主権者の生命や財産を左右されることに等しい問題です。
表面的な説明にとどまらず、本質を見極め、区民のために何ができるか考えていただくことを求め、反対といたします。