根拠なき大田区の戸籍住民票等発行手数料の問題
コンビニなどで発行する戸籍住民票の発行手数料を定める条例改正案が上程されましたが、根拠がなく、以下のような問題から反対しました。
第68号議案大田区手数料条例の一部を改正する条例について反対の立場から討論いたします。
この条例改正は、現在コンビニエンスストアおよび大田区役所本庁舎内に設置している個人番号カードを用いて住民票の写し等を発行することができる多機能端末機から、戸籍証明を発行する際の手数料を設定するための規制を整備するための条例改正です。
戸籍住民票を発行できる多機能端末は、地方公共団体情報システム機構法で定められた地方公共団体が共同出資して運営している「地方公共団体が共同して運営する組織(地方共同法人)J-LIS(ジェイリス)」が設置します。多機能端末を設置しているコンビニエンスストア協会に所属するコンビニエンスストアは現在大田区内に380か所、全国では38000か所あります。
この条例改正により、現在、戸籍住民の窓口では1通につき450円のところ、多機能端末機により交付する場合には、400円の徴収料金を設定しようとしています。今回、条例提案してきた1通当たりの発行費用400円は、ジェイリスを導入した周辺12自治体、横浜市、川崎市、武蔵野市、三鷹市、府中市、町田市、日野市、港区、目黒区、練馬区、江戸川区の平均をとって大田区が算定したそうです。
大田区は、徴収する400円の中から1通当たり今年度であれば115円のほか、発行数にかかわらず年間470万円をこのJ―LISジェイリスに支払うことになります。
ジェイリスに支払うこの1通あたり115円は、昨年は123円で参入した自治体数などで、変わっています。
たとえ、1通も区民へジェイリスから戸籍住民票を発行しなくても大田区は470万円をジェイリスに支払う必要がありますし、72万区民全員が1通ずつ発行すれば470万円に加えて1通115円×72万通=8280万円支払うことになります。
昨年から今年にかけて、ジェイリスに支払う1通当たりの発行費用が8円安くなっていますから、今後も、ジェイリスに参入している自治体数などで発行費用は変わっていく可能性があります。
ジェイリスは、多機能端末による発行の住民へのメリットとして住基カードを事例に、
・早朝夜間休祭日など閉庁時間帯での利用が可能
・全国のセブン-イレブンで受取りが可能
・証明書発行料金も割安
で三鷹市では、窓口では300円だが、郵送だと400円のところ、コンビニ交付では200円という事例を出しています。
今回の、1通当たり発行費用400のうち、ジェイリスへの1通当たりの支払い費用115円が適正かどうかの検証とは別に、大田区に入る差額285円は何を根拠に徴収しているのかの根拠が必要ですが、大田区は、たんに、周辺自治体の平均から算出しているだけで、根拠に乏しい状況です。
そもそも、現在、窓口発行で区民から徴収している1通あたり450円の費用の徴収額も政令に基づく標準徴収額で、算出根拠はわからないと説明しています。
多機能端末で戸籍住民票を一定数以上発行すればするほど、大田区が儲けてしまう可能性があります。
現在が導入時期であることを考えても、少なくとも徴収金額は何を根拠にするのかを明確にし、何年かに一回は見直す必要があると考えます。
利用料、使用料は、大田区の歳入確保の際、引き上げの議論にものぼる税と同等に考えるべき位置づけで、あまりにも安易な決め方です。この多機能端末導入にあたり、窓口・多機能端末ともに徴収根拠をきちんと算定したうえで徴収料を決めるべきです。
マイナンバーそのものや、重要な個人情報に係るマイナンバーカードが使用できる多機能端末をコンビニエンスストアに置くことに反対ですが、それだけでなく、多機能端末での徴収料金の根拠が希薄であり、条例改正に反対といたします。