投資や規制緩和の時代の、大田区の公園利用や整備とその課題について
大田区は、公園の一人当たり面積が東京都の基準にも、また国の基準にも届かない中、公園の中に有料で使用するスポーツ施設などの建設が進んでいます。
しかも、今回、提案されている議案において、同じスポーツ施設でありながら、ビーチバレー場は広場として整備し、フットサル場と相撲場は公園の中に整備します。
スポーツ人口が増え、様々な方が色々なスポーツを楽しんでいます。あらゆるスポーツについて行政が整備できれば、それに越したことはありませんが、財政的な制約もあります。はたしてどこまで税金で整備し有料で貸し出すことが行政の役割でしょうか。大田区にはそうした方針や目安はありません。どのスポーツをどのくらい、といった種類や数、財政負担についての考えが曖昧で問題があります。
しかも、今回のビーチバレー場のある場所は、東京都下水道局が所有する土地で、今は大田区が無償で借り受けています。
ところが大田区は、これを東京都下水道局から購入したのちに公園として都市計画決定するといっています。
ここを購入すれば、ふるさとの浜辺公園は10haを超えるため東京都の公園になるそうです。であれば、まず、都市計画決定して、公園として整備するべきではないでしょうか。そうなれば、土地の費用負担や整備費用も違ってくる可能性があります。
一方、この土地は、東京都下水道局が初期越流水の貯留施設を設置しようとして長い間放置していた土地です。
ここに大田区がビーチバレー場を整備したかわりに、下水道局は、海苔資料館の前面に貯留施設を作ることになりました。この参画の下水道局所有の土地に整備するより、下水道施設に近いため、利便性もよく、下水道局にとってもノリ資料館の前面に貯留施設を設置できたことはよい施設整備になったそうです。
結果として、下水道局は目的である貯留施設を整備できたかばかりか土地の売却収入まで得ている一方、大田区は、貯留施設の土地を無償で提供したうえ下水道局の土地を購入することになっています。
それも、都市計画公園に指定すれば得られたであろう東京都や国からの補助もなしにです。
なぜ、都市計画公園として整備しなかったのでしょうか。
東京都下水道局と大田区が支払う土地購入代金や、提供している貯留施設の使用料などについて交渉できなかったのでしょうか。
しかも、下水道局からいくらで購入するのか土地代金についても公表されていません。手続きに疑問があるうえ、あまりにも東京都に有利な条件であり、反対です。
一方、第28号議案 西蒲田の児童遊園はもともと呑み川の河川用地だったところを東京都から借り受けていたが、本来目的である浄化施設を設置するため廃止する条例です。
こうした児童遊園などの廃止も最近では目立ちます。河川浄化施設の適否はともかく、浄化施設を設置しなければならない事情は理解しますが、廃止して公園が減ったわけですから、そのぶん、計画的に公園を整備すべきです。
ところが、保育園の仮園舎の建設場所として廃止するなどの利用も目につきます。
しかも、規制緩和で、公園は保育園の園庭代わりに使用できるようになっています。
そのため公園によっては利用する保育園が集中し、ひとつの公園に保育園定員合わせて数百人が利用するといった公園も存在します。
園庭のある保育園も公園は利用しますから、公園は非常に混雑しています。
規制緩和を認めた大田区は、新たな公園整備の責任を担うべきではないでしょうか。
一方で、保育園の園庭として公園を使い、また一方で、有料で使用するスポーツ施設を整備するなどすれば、区民一人当たりの公園の居場所空間はさらに手狭になります。
いつでも、誰でも、無料で居られる数少ない貴重な空間の一つ公園を他の目的で使用し、また、廃止し、その減った分をきちんと確保しない現状は都市生活における貴重な空間を失なうことになり反対です。