大田区の無利子奨学金の返済期間猶予のための条例改正

大田区には給付奨学金、無利子貸し付けの奨学金制度があります。
今回、大田区が認める、進学、死亡、心身の故障その他特別の理由によって奨学金の返還が困難となって返済を猶予された期間は、返済期間に含まないとする条例改正を行いました。

その際の討論です。
________________________

第21号議案 大田区奨学金貸付条例の一部を改正する条例について討論いたします。

2016年の大学進学率は男女平均56.8%。うち、奨学金受給者は51.3%で、そのうち無利子奨学金受給者が28.6%。有利子奨学金は71.4%。

新社会人のおよそ3割は奨学金を抱えて社会に出る時代になりました。

奨学金の平均受給額は299万円。平均貸与月額にすれば、無利子5.9万円、有利子7.3万円です。

所得は増えない一方で、教育への税投入は減るばかりで、そのことが、高等教育の保護者・本人負担を大きくしてきました。

今回の条例改正は、そうした中、大田区の奨学金について、返還を猶予された期間を返還期間に含まないこととするための条例改正です。大田区が認める、進学、死亡、心身の故障その他特別の理由によって奨学金の返還が困難となった者の猶予期間を返済期間に含まないとすることには賛成いたします。

しかし、超低金利どころか、日銀から銀行はマイナス金利で資金調達しなければならない時代ですから、無利子といえども決して有利な貸与条件とは言えない状況です。

独立行政法人日本学生支援機構が行っている3%の金利をつけて学費を貸し出す事業は利用者から総額で300億円を超える利子を生み出すサラ金という批判もあります。

政府は各学年2万人の給付型奨学金を始めますが、文科省によれば給付を受けられるのは非課税世帯からの進学者のうち3分の1程度と圧倒的に足りない状況です。

大田区の給付型奨学金も希望者が多く、高倍率という報告をうけています。

格差と貧困という労働分配に問題があるなか、行わなければならないのは、有利子奨学金の重い利子負担への支援、貸与型の奨学金ではなく、給付型奨学金の拡大や、教育そのものへの十分な税投入などで、これらに取り組まれますことを要望し、賛成といたします。