大田区財政から見える、払い過ぎだった地方税、失敗だった地方分権

私の財政への関心は、歳出から歳入へと広がっています。

誰のために使っているか(歳出)、から、誰が負担しているか(歳入)、に広がってきているということです。

そこで見えてきたのが、地方税の払い過ぎです。

大田区には、基金が1200億円も積まれていることからも、払い過ぎは見えますが、実際、増税などの負担が非常に重くなっています。

基金は、20年前に比べると、飛躍的に増えています。

ニュースの記事をご参照ください。

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なぜ、こんなことになったかというと、地方分権で、地方で使える財源を増やすと言って、住民税を増税したり特別区交付金割合を大きくしてきたからです。

ところが、地方分権で基礎自治体が社会保障の責任主体となり、
社会保障のための財源権限を委譲したはずです。

ところが、
大田区で行える社会保障の中でも、
介護保険や国民健康保険は、国の制度の枠組みで出来ているから、大田区の独自財源で、保険料負担を軽減したり、窓口払い負担を軽減することはできないと大田区は言っています。

実際、大田区は、保険料負担軽減は23区横並び、窓口払いの負担軽減も独自に行ってきませんでした。

そうなると、地方分権で増えた財源を社会保障のために使える範囲は非常に小さくなります。地方分権は理念は素晴らしいと思いますが、地方に分権しただけでは、主権者である国民に財源も権限も委譲されないということです。

しかも、この間の消費税増税が社会保障のためだったわけですが、地方交付分と言って、大田区にも地方消費税分、増収になっていますが、

貯まっていることから考えると、社会保障に使ってこなかったのではないか、という疑惑が起きてきます。

貯まっているということは、シンプルに、払い過ぎているということです。

ちなみに、この基金は、大田区だけでなく、日本全国の自治体でたまっていて、総額は2020年度末で22兆円を超えています。

都市部の税制が豊かな大田区だから、ではないのです。

大田区は、この基金を使って、蒲蒲線のまちづくりをすると言っています。

私たちは、蒲蒲線のために余計な税金を払わされてきたことになります。

公会計は「単年度主義」が原則です。

その年に使う税金は、その年、その世代が負担するという考え方です。

そうやって、取り過ぎや、支払いが少ないということが無いようにしているのです。

公が、大きな買い物をするときは、公債(大田区なら区債)を発行します。

施設を使う世代で広く負担するのです。非常に理にかなった考え方です。

このところの大田区財政は、公債をあまり発行せずに、積み立てては引き出し使っています。それでも、基金は増えてきました。経常的に税金を払い過ぎているのです。

国は、1兆円足りないから増税をすると言っていますが、地方の基金には22兆円貯まっています。
まずは、地方税などの取り過ぎをやめるべきではないでしょうか。

そもそもで言えば、税金の使途の優先順位を変えるべきだと思いますが