2022年度大田区各会計決算への意見 だから格差が広がっている

2022年度の決算の認定に反対しました。

決算に反対した理由をご報告します。

もっと詳しく申し述べたかったのですが、一人会派の私は、発言時間を5分に制限されているので、限られた時間の中での討論になっています。

次のようにまとめました。詳しい理由も補足しておきます。



フェアな民主主義 奈須りえです。

第54から57号までのすべての決算の認定に反対し、反対の立場から討論いたします。

今回の決算審議で、

国の所得再分配調査で明らかな可処分所得の激減

私は、国の所得再分配調査の過去17年間の経年変化から、

・所得が減りながら、
・税と社会保険料が増え、
・可処分所得が激減している。

消費税の影響をみれば、さらに減

しかも、
・そこに消費税の影響が反映されていないため、

さらに区民の置かれている環境が悪化していることを指摘し、
これらをどう考え、今後の施策立案にどう生かすか、大田区の姿勢を問いました。

 

2009年に国はわかっていた、
税でも社会保障でも格差を是正する機能が極めて小さい日本

2009年に、国は既に、当初所得の格差が大きいにも関わらず、日本の税制も社会保障制度も格差を是正する機能が小さく、OECD諸国の中で最下位部に位置することを指摘しています。

2009年と言えば、地方分権・三位一体改革により、財源権限が地方自治体に移譲され、今の構造がほぼ出来上がった年です。

格差を拡大させる仕組みのまま14年が経過

そこから既に14年が経過し、消費税の2度の増税など、税による再分配機能はさらに小さくなり、格差はますます拡大しています。

ところが、地方分権で社会保障の責任主体となった大田区は、社会保障で格差を是正するどころか格差を拡大させてきました。

 

一部しか社会保障に使わなかった、2022年度の消費税 

たとえば、令和4年度決算で消費税収は187億円
 ですが、社会保障財源分は109億円と書かれていて、
差し引き78億円は社会保障に使わなかったことがわかります。

これは、消費税が8%になった2014年度から、地方税法で、社会保障施策経費に充てる分として明記されるようになっているからです。

2014年以降の消費税1368億円のうち、
社会保障関係に使ったのは、655億円

2014年以降9年間に大田区に交付された
消費税1368億円のうち、
社会保障関係に使ったのは、655億円。半分にもなりません。

 

社会保障に使わなかった713億円

社会保障に使わなかった713億円が基金や、蒲蒲線や蒲蒲線のまちづくり、激増する公共施設整備費の原資になっている構図です。

こういうところから格差が拡大するのです。

消費税5%の時は、社会保障に使ってなかった

しかも、それ以前の消費税は社会保障に使われてこなかったということです。

区民の信頼を裏切る税金の使い方

社会保障のためと信じ、所得が増えず物価が高騰する中、消費税をご負担くださっている区民が、社会保障に使われていないと知ったらどう思うでしょう。

国が決めた最低限だけしか社会保障に使わない大田区
全額使わなくていいと決めた国

国が決めた最低限だけ社会保障関係費に使えば、それ以外は、何に使っても構わないのでしょうか。

消費税だけではない社会保障財源
住民税、固定資産税、法人住民税

区は扶助費などと消費税との差から、一般財源不足をアピールしていますが、三位一体で社会保障のために増えた住民税も特別区交付金も一般財源です。

社会保障というと消費税だけ持ち出すのは、三位一体で増えた住民税も特別区交付金も社会保障財源ととらえていないからに他なりません。

扶助費、社会保障関係費では格差は縮まらない

国の所得再分配調査で再分配される社会保障は、年金、医療、生活保護、医療、介護、児童手当、認可保育などだけです。

大田区は扶助費を1126億円も計上していると言いますが、扶助費と言ってもすべてが格差を是正している事業ではないのです。

社会保障関係という言葉がそれを良く表しています。

◆税を集めても格差が縮まらず、
◆社会保障制度も格差を是正する機能が小さく、
◆集めた税金を社会保障に十分使っているわけでもなく、
◆社会保障を名目に税金を集め、あるいは使わず余らせて基金に貯め、
◆民営化や民間委託など、市場経済という投資家利益のための経済システムを経由し
◆投資家に利潤を落とし、
◆「社会保障関係」「住民福祉」という名目で区民に提供され、
◆格差を拡大しているのが、今の大田区です。

改めるべきです

 

税は社会保障目的外に使い、責任は国に転嫁する大田区

大田区は、私の質疑に所得再分配調査の目的は「国の」施策立案に活かすため、と書かれていない「国」と入れ、答弁しました。

大田区は、区民の格差が拡大し可処分所得が減っていることを知りながら、施策立案は国がすることで、大田区は関係ないと主張したのです。

投資家利益の拡大のための施策は国に先んじるのに、区民を守る社会保障はいつも国任せで、本気で区民を守る気があると思えません。

 

 

大田区から始まる三権分立

そのうえ、公民連携、サウンディング調査等々で、一部の株主や投資家に、行政がアシストし利潤追求を許すしくみをつくりはじめています。

包括連携協定は、投資家への行政権限付与、日本の三権分立を地方から崩壊させるに等しいことで、仮に 憲法改正が行われれば、憲法の歯止めが失われ、主権者とこの一部の投資家の関係は逆転するでしょう。

全体の奉仕者である行政がすべきことでしょうか。

 

一億総中流に少しでも近づけるために

かつての1億総中流に近づくには、労働力人口の10%弱に激減した個人事業主や小規模事業者などを守り増やすことや個々人の力をつけることが重要で、そのためにすべきは、大資本、グローバル資本優遇ではありません。

誰かに雇われている人を、雇っている人を通じて支援しても、雇う側、資本側の力が強くなるだけです。

新しい資本主義は、グローバル資本優位、形式的主権者による価値観だけの民主主義です。

これを続けることは、行政も区民も議会も含め日本が一部の投資家に支配されることを意味し、それを象徴する決算であり反対といたします。