特別区交付金という東京都から23区に配分される(固定資産税・法人住民税・特別土地保有税)の大田区への交付分が、期の途中で30億円減額になりました。
算定の基準が変わったからだそうです。

期の途中で基準が変わるのも問題ですが、基準財政需要額の減額で、影響を受けない区がある一方で、大田区は30億円も減額されています。
影響額には、23区間で大きな違いがあるのです。

ところが、その基準がどう変わったのか、明らかになっていません。

コロナで、財政需要は大きくなりこそすれ、減るとは考えにくいこの時期に、東京都からの一方的な財知需要基準の減額が許されるものでしょうか。

地方分権で、対等・平等なはずの都と区の関係ですが、この間、都の23区への影響力が大きくなっていると感じます。

東京都が、財政需要の算定基準を、自由に変更できれば、23区は、自区により多く配分してもらえるよう、東京都に意見しにくくなるでしょう。

東京都のこの財政調整制度の運用により、23区は東京都の内部団体に戻っているようです。

以下、今回の補正予算への討論です。

前半の反対理由は、今後3年間の大田区の財源不足額を580億円としながら、見直し額を19億円と計上していて、今後の財政運営に無責任な補正予算だからです。


フェアな民主主義 奈須りえです。

第79号議案令和2年度大田区一般会計補正予算(第6次)に反対の立場から討論いたします。

 

財源不足額580億円のための前事務事業見直しの結果は190億円

 

今回の補正予算について、反対の理由の一つは、聖域なき全事務事業の見直しをした結果の補正予算でありながら、減額補正金額が19億円だということです。

6月11日の令和2年度第二回定例会の冒頭の区長挨拶で、松原忠義大田区長は、

「コロナによる今後3年間の財源不足を560億円減と見込むことから、不要不急な事業の延期や廃止、事業の優先順位付けなど、全事務事業の聖域なき見直しを行う」

と発言しました。その後の補正予算により、現在は財源不足を580億円としています。

区長は、この見直しの結果の補正予算だと言っていますが、減額補正金額は19億円です。

確かに、一度成立した予算から事業の先送りや中止を決めるのは容易なことではありません。しかし、当初の財源不足額は560億円でしたが、その後の第二回臨時会で新型コロナ対策などで22億5376万円の増額補正していて、財源不足額は580億円に増えています。
19億円程度の見直しでは、財源不足の足しになるどころか、今後、不足額は大きくなるばかりだと思います。今回のコロナ対策で、また、約12億円が新たに計上されています。

財源不足580億円としながら、見直ししなければ、増税、借金、退職不補充で職員減

このまま、漫然と予算を執行すれば、増税する、借金する、退職不補充で人件費を減らす、といった方法をとらざるを得ないでしょう。

財政フレーム無きタブレット端末購入

私は、5月の第一回臨時会で教育費にタブレット端末購入のための補正予算を計上たとき、コロナによる税収の落ち込みが心配で、「教育費のどこを削って負担するのでしょうか、学校の老朽化が課題になっていて、今回も大森第四小学校校舎ほかの改築工事、約6億1600万円の契約議案が一切の契約変更なく送付されているが、そうなると、教育費の人件費が抑制されることにはならないか。タブレットを購入するならそれに見合った財政フレーム、財源確保の手段を示すべき」と討論しました。負担を考えずに使いたいことに使うだけ使うことができれば、これほど簡単なことはありませんが、しわ寄せは、どこかに必ず現れ、すぐに行き詰まるのは目に見えています。

今回の補正予算で、その心配がさらに大きくなりました。

遠隔教育、遠隔医療とコロナで進める人と人との関係を排除した教育や医療は、教師や医師や看護師など専門職を排除し、人件費を削減するための体の良い理屈に見えてきます。

まちづくり環境委員会では、今後急激に落ち込む経済への対策として、区内事業者のお仕事のためになる補助事業に税金投入していくと報告がありました。

私も第三回定例会の一般質問で今回のコロナ感染防止対策が、個人事業主や中小企業など小規模事業者に大きな影響を及ぼすとして、そこを守ることが事業者のみならず、区民生活全般を守ることになると発言し、大企業の内部留保などをまず投入するなどすべきと発言しているとおり、区内の土木や建設のみならず、すべての小規模事業者を守ることが区民生活を守ることに直結すると考えています。

ところが、大田区の財政見直しを見ると、国の補助金が投入される事業は見直していません。国の補助金が投入される事業は、大企業が担う事業がほとんどです。区内事業者は守るべきですが、大企業事が入る事業は、そもそも聖域で見直さず、一部の業種だけを優遇し、どうやって580億円の財源不足を乗り切るのでしょう。

聖域なき全事務事業の見直しが口ばかりで、本気で区内事業者や区民生活を守るための予算になっていないことから反対いたします。  

特別区交付金30億円の減額補正

もう一つの反対の理由が、30億6900万円の特別区交付金の減額補正です。この減額は、東京都の算定単価が変わったことによる基準財政需要額の減と説明を受けました。

今回の補正予算で私が行った質疑の答弁にもあったように、今年交付される普通交付金の総額は、3年ぶりに減少し、対前年度比で、特別区全体で644億円6.4%もの減額になると予想しています。しかし、今回の減額補正は、総額は変わらず、基準財政需要額が当初算定見込みから241億円減額されることにより、交付額が30億円減ると説明を受けました。

国が国税化で23区域の財源を吸い上げるだけでなく、東京都が財政調整のための算定基準を変えて、23区への配分額を大幅に減らしてきたのです。

大田区に質疑しましたが、需要額の減の理由について説明はありませんでした。

区長会も東京都も「不合理な税制改正」で子育て支援、高齢福祉需要が必要だとと言っています。

ところが、地方分権で、23区は社会保障の責任主体になっているのに、国からも東京都からも財源を減らされているということで、大変なことが起きていると思います。

大田区は、もっとわかりやすく何が起きているのか、説明すべきです。

実際の数字をみると、財調算定での基準財政需要額の経常経費の当初見込みは、1兆8909億円にも関らず、今回東京都は需要を1兆8千538億円として、3709億円2.0%も需要を減額しています。しかも、投資的経費の需要額の見込みと当初算定の差は、3千5億円から2千951億円と抑制金額531億円1.8%減らしました。

都民や区民に対して、人口増加、子育て介護など社会保障需要が大きいことをまずあげて、国の不合理な税制改正批判をしている東京都ですが、社会保障の責任主体である23区への交付金の財調算定における需要の見直しで、社会保障財源を減らしていることは大問題です。今後のさらなる高齢化で高齢福祉の需要はさらに増えますし、加えて、コロナで、さらに区民生活への厚いセイフティーネットも必要になっています。歳入増が見込めない局面で社会保障需要の増大が見込みが明らかな今、需要算定を減らす理由は見当たりません。

こうした一方的な、納得のいかない需要額算定の変更を理由に期の途中で交付金見込みを減らされれば、計画的な予算執行の基盤が崩れ、区政運営は不安定で区民に対する責任をとることができません。都区財政調整制度における、基準財政需要額とは、これほどにも簡単に変えられるものだったでしょうか。過去において、項目の一つ一つの算定を変えることについても、長い協議を行ってきています。

大田区も、東京都の財調算定の需要の見直しをこうも簡単に受け入れて良いものでしょうか。

議案質疑における答弁からは、この問題を深刻に受け止める意識は感じられず問題です。

 

「健康で文化的な暮らし」を提供する責任は、憲法により、国にあることは明白ですが、地方分権という名目で法令をかえ、社会保障の責任主体は、国から基礎自治体に変わっていて、子育て、介護、障がい、医療(国民健康保険)、生活保護、などの社会保障の責任は、事業によって程度の差こそあれ、大田区など基礎自治体に生じています。

国は国税化で23区域の税収をあてにし、東京都も23区の財政需要を適正に評価しないなか、大田区の財源がどんどんと減らされています。大田区は、この社会保障の責任主体としての責任を果たすための努力ができているでしょうか。

財調算定において投資的経費の要望を重ね、結果として社会保障財源を縮減することになってはいないでしょうか。

今後の財源不足の見込み額を公表しながら見直しも進まず、東京都からの交付金の減額という深刻な問題について区議会や区民と共有し、乗り切ろうと言う姿勢も不十分で反対いたします。