大田区が採用している、公の施設の管理運営を民間事業者に行わせる「指定管理者制度」の評価
第四回定例会は、年度末に指定期間を終える指定管理者の新たな期間の指定の議決が行われる議会です。
2003年に指定管理者制度が導入され、大田区でも、2003年の第四回定例会でエセナ大田と南六郷福祉園にはじめて指定管理者制度が議決されてから、16年が経過しようとしています。
既に大田区で140の施設が指定管理者制度を採用しています。
私は、公共分野において、地方分権、協働、官民連携などの名のもと、企業や団体の参入を許し、公の施設で営利活動が行われるようになっていることは問題だと考えています。
2019年第四回定例会で指定の議案として提案された、大田区区民活動支援施設大森、大田区民プラザ、大田区民ホール、大田文化の森、大田区立熊谷恒子記念館、大田区立龍子記念館、大田区総合体育館の指定管理者の指定について以下の理由から反対しました。
第四回定例会は、年度末に指定期間を終える指定管理者の、新たな期間の指定の議決が行われる議会です。
2003年に指定管理者制度が導入され、大田区でも、2003年の第四回定例会でエセナ大田と南六郷福祉園にはじめて指定管理者制度が議決されてから、16年が経過しようとしています。
既に大田区で140の施設が指定管理者制度を採用しています。
私は、公共分野において、地方分権、協働、官民連携などの名のもと、企業や団体の参入を許し、公の施設で営利活動が行われるようになっていることは問題だと考えています。
中でも指定管理者制度は、
① 施設の使用許可権限を民間営利企業に与えていること
② 裁量権を与えていること
③ 結果として現場の方たちの賃金が下がり利益や内部留保に使われている恐れのあること
④ 経営内容が不透明で税金の使途が見えなくなること
⑤ 行政内に現場が無くなるため、ノウハウを失い、事業の良しあしや課題をチェックできなくなること
⑥ ノウハウを失えば、再公営化が難しくなり、民営化で安くなるどころか、業者の言い値で割高になる恐れがあること
など、課題が大きく、指定管理者制そのものに問題があり、反対です。
事業者に裁量権を持たせて良いサービスを提供すると言いますが、区民の企画を支援し、過去にも事業を行ってきており、必ずしも指定管理者でなければできないわけではありません。
松原区長が、するスポーツから見るスポーツに変えた結果、太田総合体育館は、区民が日常的に気軽に運動できる場から、大きな団体でなければ使いにくい施設になってしまいました。また、大田総合体育館に限ったことではありませんが、利用料金制を採用した影響も大きいと思いますが、区民の利用が少ない時間帯に限って限定的に始まったはずの自主事業ですが、最近は、自主事業の制限などが設けられていなくて拡大しているようです。大田体育館では、興行が増えているのか、利用料金も平成27年度決算で9300万円でしたが、平成30年度決算では1億3千万円と、44.7%も利用料金収入が増えています。
格差の拡大が大きな社会問題になっていますが、自治体の財産を使い、事業者の株主に多大な利益が流れる構図です。しかもこの事業は協定量で赤字にはならないようになっていますから、リスクなく着実に利益を上げられます。格差は、自然に拡大するのではなく、大田区が指定管理者制度など公的分野を営利企業に開放したことで作っている部分が少なくないということです。
しかも、大田総合体育館を見るスポーツにしたことで、するスポーツの機会が減っています。せせらぎ公園の体育館の住民要望が高いと言いますが、莫大な税金をかけて大田総合体育館を作ったのに、本気で区民の運動施設を提供しようとしてるのでしょうか。
調布地区に体育館が見るスポーツで興行目的で使用させ、そのしわ寄せを公園で解消しようとしているなら、施策の誤りです。
民間の良いところは、自由経済競争の中で良いサービスを安く提供できるところにあります。しかし、いったん事業をとれば、地域独占事業が多く、比較が困難なため、現在の事業者が有利になり、競争が働きません。
コスト削減となれば、まず、人件費が削減されることになりますが、それでは、指定管理料が下がるかと言えば、そうはなりません。
また、
文化を守り、芸術家を育てることは、市場経済だけに頼るのは馴染まず、企業ではできなくて、公が行うべきことだと思います。
ですから、文化施設である、区民ホールや区民プラザ、ほかを、大田区の外郭団体が担ってきたことには、大切な意義があると思います。
私は、指定管理者制度そのものには反対ですが、民間事業者に代わることなく、大田区や文化振興協会が、大田区の文化や芸術や歴史をしっかりと守り、育てていくことのできる体制をとっていただきたいことを申し添え、反対といたします。