大田区役所(本庁舎)上限24億円の耐震補強工事が数倍になるかもしれない不思議

耐震補強工事上限24億円のプロポーザルを鹿島建設がとったら、教育委員会事務局移転(=改修費用不明、移転経費1億4、5千万円、年間家賃4500万円、保証金5000万円也)することになった。
なぜかと思ったら、工法も工事計画も決めていないのに、鹿島建設に決めてしまったから。丸投げする契約だったということ。
しかも、今後、鹿島建設に調査させて、必要な工事を「鹿島建設」にさせるという。

水漏れ〇〇億円、外壁〇〇億円、屋上防水〇〇億円、庁舎内パネル取り換え〇〇億円、排水管入れ替え〇〇億円、、、なんてことはないのか。24億円上限のプロポーザルで鹿島建設にいったいいくら流れるのだろう。そういえば、本庁舎(元の桃源社ビル)を建設したのも鹿島建設だった。

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臨時会に非常に問題のある議案が上程された。ネットと共産党には、話す機会があったので、問題あるよと説明したのだが、結局反対したのは、フェアな民主主義奈須りえと、ネット。
臨時会に出し、当日上程して、その場で委員会に付託し議決するには、あまりにも問題の大きな議案だと思う。
以下、議案の討論を掲載します。
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第86号議案「大田区幼児教育センター条例の一部を改正する条例」について反対の立場から討論いたします。

この条例改正議案は、幼児教育センターを移転するための条例です。

【形骸化する条例・規則の位置づけ】

しかし、幼児教育センターだけを移転させるために条例改正をするのではなく、教育委員会事務局が移転するため、それに伴い幼児教育センターが移転するというかたちです。教育委員会事務局は規則でその場所を定めているため、議決は不要ですが、議案審議の際には規則の変更も議会に示すべきです。
条例・規則の位置づけが形骸化してはいないでしょうか。

教育委員会事務局が移転する理由は、二つあると説明をうけています。

【耐震補強工事後の利用配置計画も定まらないまま教育委員会は移転】

ひとつは、耐震補強工事です。補強工事をしている間執務できないということです。

大田区は、上限金額24億円という耐震補強工事をするためにプロポーザルを行い、鹿島建設と契約しました。
ところが、プロポーザルでは、耐震補強の概要しか決まっておらず、今後、詳細な設計を調整している最中だそうです。

そのため、最終的な利用配置計画はいまだに定まっていません。

【鹿島建設に丸投げの契約】

しかも、今回の教育委員会のような移転工事に伴う賃料、改修費用、保証金、移転費用などは、耐震補強工事のプロポーザル金額24億円には含まれていないそうです。プロポーザルは上限24億円の耐震補強工事に加え、決まった事業者に区役所本庁舎の点検をさせ、必要な改修個所を提案させたうえ、その工事も受注できるという内容になっているそうです。そうなると、今後、この耐震補強工事だけでなく、予想もしえない工事が必要になり、移転は、教育委員会にとどまらず他の部署にも及ぶ可能性があります。

なぜ、耐震補強工事を募集する前に、大田区が綿密な調査を行い、工事の及ぼす影響をある程度把握し、全体の工事内容を明らかにしたうえで、発注しなかったのでしょうか。
今回、教育委員会は耐震補強工事で移転しますが、今後、耐震補強工事だけでなく、内装や天井パネルの張り替え、大規模な水漏れ修理など、大規模改修が必要になり、長期間、あちこちの部署が移転し戻るということを繰り返さなければならないかもしれません。

そうなれば、莫大な費用を伴ううえ、大田区の執務にも影響しますが、計画や費用さえ明らかになっていないのです。

教育委員会事務局は、移転したまま戻ってこないと聞いています。区民の利便性のために学務課の窓口は本庁舎に残すので区民の利便性は損なわないと言ってますが、最終的な本庁舎の配置図も決まっていない時期に教育委員会だけ移転させるべきでしょうか。

鹿島建設と耐震補強工事契約したことで、教育委員会はいてんしなければならなくなりましたが、未だに耐震工事の見通しや全体像は明らかになっていません。

なぜ、このようなことが起きているのでしょうか。

【議会にも知らせず”まさか”コンセッション方式?】

コンセッション方式という公共施設の所有権だけ、大田区など公共に残したまま運営権を民間事業者にもたせるしくみがあります。

今回、耐震補強を上限24億円で契約したうえ、補強工法、工事内容など大きな裁量は鹿島建設に与えています。耐震補強工法も配置計画も工事の詳細も決まっていないのに、教育委員会の移転だけが出てくるのもこのコンセッション方式を採用しているからではないでしょうか。

これまでにないしくみであるにもかかわらず説明もなく理解に苦しみます。

このコンセッション方式を採用しているなら、議会にそのことを示すべきであり、それも示さず教育委員会事務局の移転はみとめられません。

移転のもう一つの理由は、大田区本庁舎が手狭になったことだそうです。

そのため、教育委員会は、アロマスクエアに移転したままなのだと聞いています。

【区役所が「狭くなったから」教育委員会は家賃年間4500万円でアロマスクエアに】

大田区は、本庁舎が手狭になった理由のひとつに、会議室の不足をあげています。

であれば、それを示す客観的な指標が必要です。たとえば、本庁内で働く正規非正規職員数や委託で働く方たちなどを合わせた人数がこの間、どの程度増えたのかも示すべきです。質疑で聞きましたが、本会議場でも委員会でも示されませんでした。把握していないということがあり得るでしょうか。事業所統計調査など各種統計調査で把握できるはずではないでしょうか。

【じゃ、なんで産業経済部はPioから本庁舎に移転?】

大田区は、先日、莫大な費用をかけて産業経済部を本庁舎に移転させたばかりです。

手狭になったのが本当であれば、産業経済部移転は、あり得ません。産業経済部移転の際に、一時的に過密な状況になるが、将来的には、教育委員会を移転する予定であるなどの説明ができたはずですが、そうした説明は一切ありませんでした。
民営化は、一般には、効率化、経費削減、サービス向上などを期待して行うものと説明されています。この間、大田区は、民営化や民間委託を進めてきましたが、教育委員会の移転理由が「手狭になった、本庁の会議が増えた」となれば、民営化の効果やあり方なども考え直す必要があるのではないでしょうか。

【松原区長になって増えるビルの賃借】

松原区長になってから、大田区が外部に借りる事務室は、これが初めてではなく、マルエツの並びのHKビルなど、増えるばかりです。

移転に際する決め方が事業者任せで計画性に欠けるうえ、客観的な指標もなく、移転には到底賛成できません。