火事場に乗じる政府がコロナという火事場を迎えた今

「平時であれば絶対に法制審をスキップすることはできない。なぜできたかといったら、火事場だったからである。今も火事場だという認識をつくる必要がある。だから、平常のルーチンはスキップさせてもらいますと、これはとても重要だと思う。」

これは、国家戦略特区のワーキンググループで、有識者が発言した言葉です。

過去にも「火事場」がありました。

3.11東日本大震災で、私たちが大きな衝撃を受けていた時、
一国二制度、法の下の平等を乗り越える特区制度ができました。

当初の構造改革特区は、ドブロク特区と言われ、
法の裁量の範囲内での(創意工夫程度の)ことだから、
と小泉純一郎氏が良しとしてスタートしました。

これに、補助金や減税措置が加わったのが、2011年の3.11直後の
国会です。

2013年秘密保護法成立の陰で、
立法手続きを形骸化したのが国家戦略特区法です。

内閣総理大臣と総理が指名した大臣、任命した民間有識者で、事実上の規制緩和を可能にしてしまいました。

いま、コロナウイルスという「火事場」です。

政府が「火事場」に乗じて何をしようとしているのか、国会を見つめ、都道府県議会や市区町村議会を注視する必要があると思います。

一部の地方議会では、議会を休会したり、延会したりし始めています。

今、国会では、自治体内にある情報をスマートシティというバーチャル都市に集め、自治体間を超えた日本全体の情報の一元管理を可能にしようとしています。

大田区では、緊急時を名目に、首長に権限を集中し、議会のチェック機能を形骸化するしくみを少数会派の意見を無視した多数決で作り上げようとしています。

日本の政治システムは三権分立ですが、地方議会では二元代表と言われるように、首長と議会との二つの権力で民主主義が機能しています。

二元代表の一つ、議会が、形骸化し始めているのです。

国は緊急事態条項を憲法規制してつくろうとしていますが、その前に
自治体では、緊急事態条項の先取り的制度の構築が始まっています。

当時、最も民主的と言われたワイマール憲法下で、独裁者ヒトラーは生まれます。
当時のドイツで議会の立法権は、完全に、廃止されたわけではありませんでしたが、議会政治の廃止を意味する「全権委任法」を議会自身が議決
してしまったのです。

なぜ、そんなことが可能だったのか、と言われていますが、今の
大田区議会をみていると、わかる気がします。

委員外発言をやめさせ、再質疑の回数制限を作り、
動議と多数決で気に入らない発言をやめさせ
少数会派の委員会決めにまで口を出し、委員会を辞任せよと
言われてきました。すべて私が経験してきたことです。

奈須りえという議員の発言を制限することは、議員の
発言という議会の力を制限することです。

議会が、災害を名目に作った、
・大田区長に白紙委任する条例
・緊急時に、議員と行政とを連絡させないしくみ
があります。

そして、コロナウイルスという火事場をいま迎えています。


国家戦略特区のワーキンググループの議事録はぜひ、一度お読みいただきたいと思います。

政府と、政府の登用する有識者の本音を知ってほしいから。

平成25年7月5日国家戦略特区ワーキンググループ 有識者ヒアリング

安念 潤司 中央大学大学院法務研究科教授 発言

(P10)「平時であれば絶対に法制審をスキップすることはできない。なぜできたかといったら、火事場だったからである。つまり、今も火事場だという認識をつくる必要がある。だから、平常のルーチンはスキップさせてもらいますと、これはとても重要だと思う。」