「保育所職員に対してのさらなる処遇改善を求める陳情」が提出されましたが、委員会審議の結果は不採択。これを不服として、本会議場で採択を主張しました。

保育士の低賃金は大きな社会問題になっています。
公定価格と呼ばれる保育事業者には、十分な人件費基準に基づいた運営経費が支払われていますが、保育士には支払われていないのです。

本来は、保育事業者が十分な賃金を支払うべきですが、大田区では保育士の低賃金を問題であるとして、保育士に直接処遇改善費用を支払うようになりました。

以下、こうした、背景もあり賛成した理由です。

陳情29第42号
「保育所職員に対してのさらなる処遇改善を求める陳情」について採択すべきという立場から討論いたします。
自由競争経済のなかで価格が下がりサービスが向上すると言われてきた民営化ですが、民営化や民間委託が進み、低賃金労働や不安定雇用が大きな社会問題になっています。
大田区では、保育園開設にあたり保育士が集まらないため定員を減らすなど、保育士不足が顕在化していますが、区立保育園の保育士募集30人定員に150人が集まるなど、保育士が足りないのではなく、低賃金が問題だと言うことが明らかになっています。
国も、保育士の低賃金を問題だとして処遇改善費用を加算するなど、問題解決に取り組んでいますが、目だった改善は見られません。 
それでは、運営費補助が足りないのか、といえば、そうではありませんし、平成29年度大田区一般会計補正予算第二次には、私立認可保育園の運営経費補助である人件費アップに伴う公定価格の変更のための補正予算として小規模保育所運営費3489万5千円と保育園入所者運営費4億4204万9千円が計上されています。
この公定価格は平成27年の子ども子育て支援法で始まってから二年連続で引き上げられていて、保育士、事務職員、調理員等も対象になっています。
平成29年5月10日に内閣府と厚生労働省が連名で都道府県に出している私立保育所の平成29年の保育士の基準額は年額で380万円。昨年の基準額が374万円ですから、1.6%引き上げられたことになります。
しかも、この人件費の基準額には、キャリアアップの処遇改善費用は含まれていません。
たとえば、平成27年から28年にかけては、月額で約26,000円年棒で31万2千円の処遇改善額が上乗せされたことになっています。政府の賃金構造基本統計調査で平成27年の保育士の年棒は323万円ですから、人件費のアップと処遇改善費用で平成28年の保育士の年棒は相当の効果があったはずですが、の平均は331万円と賃金アップは8万円に過ぎません。
しかも、東京23区は地域手当として基準額に20%上乗せされて事業者には支払われていますから、公定価格からみれば、昨年平成28年に東京23区の正規雇用の保育士には、448万円が支払われていたはずですが実際に支給された保育士の平均給与との差は、年間給与で100万円を超えてしまいます。公定価格には、夜間や休日の加算も支給されているので、差額は、さらに大きくなります。 
 大田区が、運営委託費と保育士の賃金とに課題があると言っているのも、この、人件費基準額に基づく運営費を事業者に支払っても、基準通りに保育士給与として支払われないところです。
 そこで大田区は、保育士に直接月額1万円を振り込むことで、低賃金を改善しようとしています。
支給対象は、区内の公設民営園を含む私立認可保育所、小規模保育所、認証保育所、定期利用保育室に勤務する常勤で継続して6か月の勤務実績がある保育士です。
目的は、保育士の処遇改善ですが、課題は、十分な人件費基準額のもと保育園に運営経費を支給しているにも関わらず、保育園に勤務する職員の給与が低いことです。
陳情者の指摘する通り、大田区の応援手当は、対象が保育士のため、保育園に勤務する事務職や給食調理に従事している方などは対象になっていませんが、公定価格の人件費には、保育士だけでなく事務職員、調理員なども含まれています。
たとえば、平成29年の調理員等の基準額は、314万円で東京23区の地域手当を加えれば、377万円が少なくとも保育園事業者に支払われています。
保育の現場では、職員の募集をしても応募が無く、人手が不足している状況が続いているのなら、保育士同様、直接労働者に支給する応援手当を保育士以外の職種にもすべきではないでしょうか。
そのうえで、「この間、処遇改善策で、賃金面について一定改善がされたところもありますが、報道されているほどの実感がないのが現状」という現場の声に耳を傾け、直接労働者に支給しなければ、処遇が改善されない現状を直視し、保育に携わる職員の給与を改善させるために、今の民営化でよいのか、根本的な改善策に取り組むべきです。
また、1歳児の保育士の配置基準ですが、園庭の無い保育園が増え、園庭代わりの公園に行くことも増えていますし、動きの活発になる1歳児に保育士を厚く配置することは、以前に増して必要になってきているのではないでしょうか。採択すべきです。