行政が開催する23区のごみに関る意見交換会に参加した。

テーマは今後15年間の家庭ごみを中心としたごみ処理計画。当然、清掃工場の建設計画も含まれる。

今日は、参加して見えてきた「水増しを止められない?公共事業」について。

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【役人の作った計画が予算の既成事実化を招く】

このごみの計画をはじめ、現在、様々な計画が行政から公表され、簡単なパブリックコメントの後、さしたる修正も行われずに粛々と策定され、税負担を伴う計画が出来あがろうとしている。

計画は需要にお墨付きを与える役割をもつ。

たとえば、23区のごみの一般廃棄物処理基本計画 案 には、清掃工場の規模や建て替え時期、建て替え方法までが詳細に盛り込まれる。
計画にのせてしまえば、平成41年までの税負担を伴う清掃工場建設という公共事業が事業化された形になると言って良い。

東京都のマスタープランには、環境アセスに不備が残るリニアモーターカーや専門家を交えた議論に発展している新国立競技場が盛り込まれている。確かに、リニアも新国立競技場も手続きはある段階まで終わっているから「問題ない」かもしれない.
しかし、2020年をピークに減り始める東京の人口をふまえ、東京都を近い将来のダウンサイジングに向けどうデザインするかといった本質的な議論の無い、更なる都心部一極集中と右肩上がりのまちづくりを行う計画で、東京は、日本は、本当に大丈夫なのだろうか。

このマスタープランに伴い鉄道事業や再開発等による税負担が生じ、更なる一極集中は一部区域の行政需要の偏在を招くことになる。

国家戦略特区は、議会制民主主義の外での規制緩和を可能にしたという点で問題だが、役人が作った計画により、様々な公共事業が既成事実化されるのも見過ごすことはできない。

*計画改定検討委員会名簿

 

再開発、鉄道事業、ごみ、上下水道等々と各領域が思い思いに計画を作り、私たち住民には、財政フレームとそれに伴い社会保障がどうなるのかといった全体像は一切示されない。
ふたを開けてみたら財源が足りず、社会保障が目減りし、利用料は増え、税金が上がるといったことにはならないだろうか。

意見交換会では、一般廃棄物処理基本計画案 などについて意見を交換した。
参加は区民等が20名弱。
行政からの説明の後、実質1時間程度の意見交換となった。

【東京23区のごみ処理の特別な仕組み】

東京23区は、通常市町村(基礎的自治体)で行うごみ処理を、①収集・運搬②中間処理(焼却)③最終処分(埋め立て)の3つにわけ、それぞれ、①は23区各区、②は23区共同で作った「東京23区清掃一部事務組合」、③は東京都で行っている特別な区域だ。

共同処理には理由があるのだが、私は、このしくみが様々な弊害をもたらしていて、メリットよりデメリットの方が大きくなっていると考えている。

このあたりのしくみについては、以前にレポートしているので、興味のある方は読んでいただきたい。
「地方分権」と「広域化」~清掃事業からみた23区の自治権について~

【23区に37の焼却炉~282万tのごみに1.6倍、449万tの処理能力~】

東京23区には21か所も清掃工場があって、休炉中も含めれば37も焼却炉がある
処理能力は12,300t/日にもおよぶ。年間約449万万tも処理できる計算だ。

一方で、平成25年度における東京23区のごみ量は、速報値で282万t。
平成24年度と比較して約1万4千トン、率にして0.5パーセントの減少になる。

平成25年度ごみ量の速報値について(PDF:163KB)
【ごみ量と清掃工場の焼却能力とのかい離】

282万tのごみを処理するために、約1.6倍の処理能力を持つ清掃工場を作っている。

ごみ量に対して処理能力が大きいのは、稼働日数や焼却余力で説明されている。

清掃工場は、365日稼働しているわけではなく、メンテナンスや故障などで停止する日があるので、可燃ごみ量が最も多い時期のごみ処理や焼却炉の予期せぬ長期の停止や予測を超えた可燃ごみの発生などに配慮して「焼却余力」を確保しなければならないというわけだ。

【参考】
例えば、1日に100 トンの可燃ごみが発生する市で、焼却能力が日量100トンの焼却炉を1炉持つ場合、毎年の定期点検等で長期間停止せざるを得ないため、他に日量100トン 分の余力が必要です。この余力は無駄なものではなく、街中にごみを積み残ししないためには、必要不可欠なものなのです。
清掃一組では平年時18~ 19 の清掃工場により相互補完して必要な焼却余力を最大限圧縮することができますが、それでも一定程度は必要です。このため、可燃ごみ量が最も多い時期のごみ の処理、焼却炉の予期せぬ長期の停止、予測を超えた可燃ごみ量の発生などにも配慮して、一定程度
の焼却余力を確保する必要があります。
可燃ごみ処理施設の在り方平成21年8月 :東京23区清掃一部事務組合より)
しかし、必ずしもそれだけで説明することはできない。

たとえば、下記のグラフは、稼働日数を293日と見込んだが、実際には、平成24年度で283日しか稼働しなかったことを表している。

見込みと実績に大きな差が有るのだ。

*一般廃棄物処理基本計画案P28

これは、一般廃棄物処理基本計画P10のグラフで下記のように示されている。

http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/kikaku/kihonkeikaku/documents/tyukan_honpen.pdf

グラフの青の線が計画。黄色が実績。実績が計画を大きく下回っている。

*一般廃棄物処理基本計画案P10

【23区のごみ量予測の積み上げが一部事務組合の積み上げにならない理由】

23区は各区でごみ量を予測している。
ところが、23区のごみ量予測の積み上げと清掃工場を管理運営する一部事務組合のごみ量予測は一致しない。
いつの時も一組のごみ量予測の方が大きいのだ。
これを一部事務組合は、排出されたごみを焼却する責任があるから各区の積み上げとは違う言っている。

23区民はごみ削減の努力が清掃工場を減らすことに直接つながらないことが非常にもどかしい。
一部事務組合が、清掃工場を「温存」しているかのようにさえ感じてしまうわけだ。

そこで、今回私は、かい離の理由とそれに対する一組の改善策について質問した。

【かい離の理由と改善策】

一組は、上の図の青線と黄色線のかい離を認めている。
ということは、過去に一組がごみ量を予測した方法に何らかの「ミス」があったということだ。

とするなら、今回のごみ量予測において、その「ミス」の理由がどこにあるか検証し、ミスの生じるごみ量予測を改めなければ、また同じかい離が生じることになる。

そこで、どのような改善策をとられたのか質問した。

ところが、具体的な改善策は一切示されなかった。

ということは、また同じかい離が生じてしまうことにならないか。

そこで、そのことについて質問すると、5年ごとの見直しをするという。

であれば、清掃工場の建て替え計画は、15年間固定化せず、5年ごとの見直しをふまえ、ごみ量に対応できる程度に余裕を持たせた計画にすべきではないかと指摘した。

ところが、15年間の清掃工場需要はどうしても確定したいらしい。

せっかく、5年ごとに見直しても、15年の清掃工場需要は確定ということになる。なんのための見直しなのか。

【最大の問題点は平成41年度のごみ量を高めに設定していること】

ごみ量は、人口、世帯構成、経済成長率などを大きな要素として予測している。

今後、41年度までをみると、人口のピークは平成32年。
その後人口は減り始めるとともに高齢化が進む。
当然、経済成長率は低下し、高齢者が多くなればごみも減る。
しかもごみの出る産業からごみの出ない産業へと産業構造も変わってきている。

下記の黄色部分が事業系ごみを示しているが、毎年減らしている。
唯一増えたのが平成24年度だが、平成24年度は災害廃棄物を合計で2万5千t受け入れている。

平成23年度91万4千tに対し平成24年度は93万7千t。
2万3千t増えたのは、女川町の災害廃棄物を受け入れた数字とほぼ一致する。

*一般廃棄物処理基本計画案P4

多くのデータが、今後ごみ量が減ることを示しているにもかかわらず、人口のピーク以降のごみ量予測こそ重要だが、下図赤線部分をみると、ほとんど減らしていない。

*一般廃棄物処理基本計画案P10

23区全体では、ごみを燃やすだけで平成26年度予算で年間827億9700万円にもなる。大田区の負担は27億7千万円にもなる。

ごみ量は減り、人口は減るにも関わらず、現在と同規模の清掃工場を平成41年までの整備計画で維持しようとしているのが今回の計画だ。

総額を負担できる人口で割れば、23区民一人当たりの負担が増加するのは明らかだ。

いったい、誰が、このようないい加減な計画を策定しているのだろうか。
区民のための計画とは程遠い。

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東京23区清掃一部事務組合区民との意見交換会

http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/kikaku/kikaku/iken/ikenkokan/

開催結果