指定管理者制度を導入している大田区立図書館15館の管理運営からNPOが姿を消し、来年度から全て株式会社になります。(中央館である大田図書館と類似施設文化の森を除く)

大田区の図書館運営が、中央館を除き株主の利益を最優先する事業者によって支えられることになったわけです。


大田区が図書館に指定管理者制度を導入したのは2007年度から。

2006年に私は、官の役割や民にすることの意義について以下のように発言しています。

http://blog.goo.ne.jp/nasrie/e/34067212084da9c64bec5cffe6d8c323

公共サービスの基盤には、財務基盤や職員体制などの安定性があります。また、公正な労働基準や環境方針、障害者雇用、男女平等参画なども守られてきました。
 経済性からのみ計られる運営の効率性ではなく、今後、大田区の公に係っていく民は、企業であれ、NPOであれ、こうした基準を率先して守っていくことが大切であると考えます。
 これまで、大田区が作り上げてきた大田区のCSR=社会的責任を、たとえその分野を民が担ったとしても、今後も引き続き大田区としてまもっていくことが重要です。
 
 選定の基準のなかにこうした視点を盛り込むことが重要であるがどうかという質問に対して、守秘義務法令順守のみに視点を置いてきたわけでなく経済性公平性などを保ちながら適切な委託・指定を行っているとしながら、選定基準ということばが答弁には盛り込まれませんでした。

当時、まだ一期目だったこともあり、論点には不十分な部分もあります。

憲法擁護義務を負う全体の奉仕者である「公務員」が担ってきた図書館行政を民間事業者に担わせる時、どのようにして、憲法擁護義務を負わせ、全体の奉仕者として図書館運営を守れるのか。

株式会社と言う株主の利益を最優先する事業者が、大田区の教育行政の一端を担うことは難しいという意味で、ここが何よりも重要なのだと思います。

現場では、

◆貸し出し冊数を指定管理者指定の評価基準しているため、ベストセラーの本など貸し出しを稼げる本ばかりをそろえる可能性が高くなる。

◆一次選書の権限を指定管理者に与えているため、更にその傾向が強くなる。

などの、心配がぬぐえません。

しかも、
◆行政を批判したり、政権を批判する選書をすることで、次回の指定管理の選考に影響しないかという不安から、指定管理者が「政府」や首長の好まない本をおかなくなる可能性は無いでしょうか。

大田区立の図書館に「国立景観訴訟=自治が裁かれる」という本の購入を依頼したところ「現在は、購入しない」という返事を受けたという区民の方からの話しをうけ、調査したことがあります。

一次選書を指定管理者にまかせていたことにより、大田区のチェックがおよばず、大田区に問い合わせなければ、区民の求める本が図書館に購入されないところでした。

その時のレポート↓
http://blog.goo.ne.jp/nasrie/e/500aa03baa4bbfd5fb9e489cbacdcf05

今回、選考にもれたNPOは大田区の退職なさった教員なども入って作るNPOでした。

NPO大田教育支援の会
http://www15.ocn.ne.jp/~ok-tosho/1095.html

株式会社は株主の利益を最優先しますが、NPOは設立目的のために活動する存在で非営利です。

全てが営利企業で担われる大田区立図書館に、読まれる本=貸し出し冊数が稼げる本ばかりおき、権力を批判するなど、仮に政府や行政に不都合な本が有った時それをおかないといったことを許さないしくみはできているのでしょうか。