総工費1360億円の蒲蒲線(新空港線)を進めて大田区民が317億円負担し、得られるもの

 

蒲蒲線(新空港線)について大田区と東京都との費用負担割合が7:3になったなどの合意がとれたとプレス発表がありました。

当初は、国1/3=33%、地方(東京都1/6=16.5%大田区1/6=16.5%)、事業者1/6

と聞いていましたので、負担割合が16.5%から23%に増えたということで、非常に驚きました。

時間をかけて、大田区の負担を増やす交渉をしていたことになります。

そのうえ、蒲蒲線の東急・京急蒲田駅が地下化することで、乗り換えに時間がかかるようになります。

総工費1360億円も、1期工事のシールドトンネル工事だけなので、駅ホームの延伸や、駅の開発にさらに負担が増えますが、いくらになるのか公表されていません。

そのうえ、地下部分の工事費負担が生じ、高い切符代(加算運賃)を支払うことになるかもしれません(大田区は否定しませんでした)。

いま、私たち区民の税金をかけるのは、蒲蒲線でしょうか。

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蒲蒲線(新空港線)について大田区と東京都との費用負担割合が7:3になったなどの合意がとれたとプレス発表がありました。

増えた大田区の費用負担

当初は、
国1/3=33%、地方(東京都1/6=16.5%大田区1/6=16.5%)、事業者1/6

と聞いていましたので、負担割合が16.5%から23%に増えたということで、非常に驚きました。

時間をかけて、大田区の負担を増やす交渉をしていたことになります。

 

半分の経路で工費は25%アップ しかも試算は物価高騰前

しかも、
当初の総工費は、矢口渡から大鳥居までの3㎞で1080億円でしたが
今回の1360億円は矢口渡から京急蒲田までの1.7㎞

距離が約半分になったにもかかわらず、総工費は、25%アップです。

その上、この費用計算は令和2年のコロナ前。
固定資産税評価額が上がる前、原油価格高騰の前、ロシアウクライナ紛争の前の物価が上昇している前です。

すでに、資材などが高騰していますから、現時点で総工費は1360億円では足りないでしょう。

経路も具体的には示されていませんし、乗り換え経路がどうなるかも、説明されていません。

一体いくら区民が負担することになるかもわからない蒲蒲線ですが、
どれだけ利便性が向上するかといえば、

蒲蒲線が地下化するために、

🔴JR蒲田との乗り換えに5分20秒かかるうえ

🔴京急蒲田との乗り換えは、6分20秒かかります。

羽田空港へ乗り入れる方には便利になるかもしれない蒲蒲線ですが、今回の京急蒲田までの経路だと、
京急蒲田までの乗り換え時間が6分20秒もかかるうえ、その経路が地下なのか地上ルートなのかも決まっていないそうです。

 

日常的に、多摩川線からJRに乗り換えている区民などにとっては、乗り換えが不便になる計画に区民の税金を317億円も使うことになります。

 

費用便益比B/C     2.0
累積資金収黒字転換年  17年

コロナで乗降客が大幅に減った2020年(令和2年)ですが、その前の2017年あるいは2018年ころをピークに区内の鉄道乗降数は減り始めています。

労働人口が減り始め通勤利用が減っている、少子化で通学利用も減っているなどの理由が考えられますが、さらに、テレワーク、遠隔教育など、利用者数が減る要素もあります。

今回、蒲蒲線を使って空港に行く方を1日1.5万人、それ以外の都市内旅客を4.2万人と計算しています。

たとえば、乗降客が多かった2018年平成30年の京急の空港利用者数は、12万1千人
モノレールの利用者数は、7万人です。

 

京急羽田空港国際線ターミナル駅 利用者数 2万8千人。
      国内線ターミナル       9万3千人
モノレール 第一             2万9千人
      第二             3万1千人
      第三             1万人

蒲蒲線経由で羽田空港を使う方を1日1.5万人と見込んでいますが、その方たちが京急蒲田で6分20秒かけて乗り換えて羽田空港に行くために、1360億円かける必要があるでしょうか。
しかも、1360億円には、下丸子駅のホーム延伸(東急や副都心線乗り入れで車両が長くなるため)や蒲田駅の改修費用は含まれていません。

 

大田区は、
区民アンケートで、蒲蒲線が必要と答えた区民が45%いたことを根拠に蒲蒲線を進めているそうです。

このアンケートでは、費用負担が1360億円であることやそのうち317億円を大田区が負担し、残りの453億円は大田区が設立する第三セクターが切符代で回収することになることは、示されいないでしょう。

大田区だけでなく、日本の合意形成は、ほしいかほしくないかだけ聞いてそれを推進の根拠とします。
答える区民や国民は、聞かれているときには費用負担が伴うことに直結しないので、欲しいと言うと、あとから増税や国債の発行というつけが回ってくることになります。

 

これを合意形成の根拠としてよいのでしょうか。

蒲蒲線を進めると、区民は、317億円も負担しますが、東急蒲田駅の乗り換えが不便になり、京急蒲田の乗り換えも不便で、場合によっては、東急蒲田駅以降、加算運賃を支払わなければならないかもしれません。
そもそも1期工事だけですから、穴守稲荷までの更なる税負担を伴うことになります。

 

 

 

 

コロナ前、すでに減り始めていた乗降客数。

 

 

大田区は、事業費の圧縮に努めると書かれていますが、大田区の説明から、それが、国と東京都の補助金を受けることだとわかります。

国や東京都の補助金も私たちが支払う税金であり、国や都の補助金を使えればよいというものではないと指摘すると、圧縮には、新しい技術による経費削減も含まれると説明しました。
新しい技術の開発は、必ずしも工事開始までにできることではありませんし、大田区がすることでもないと思います。

そういえば、リニア中央新幹線も超電導という技術は、ようやく、2022年度末までに、低コストや磁石の耐久性や快適性などの技術開発を行っている段階で、採算性などに課題が残る状況です。
001172949.pdf (mlit.go.jp)

リニアも工事が進みませんが、工事を早めるために財投3兆円はJR東海の手に渡っています。

蒲蒲線もとりあえず早く予算をつけて掘り始めたいということなのでしょうか。

 

やっぱり無駄な公共事業=蒲蒲線 蒲蒲線のプレス発表でわかったのは 【1】総工費1,080億円が1,360億円増え 大田区負担が180億円から317億円に激増 【2】東急蒲田JR蒲田の乗り換えが0分から5分20秒になった 【3】蒲蒲線蒲田から京急蒲田まで6分20秒もかかる

合意内容

1.大田区は、整備主体となる第三セクターに出資、都市鉄道利便増進事業の採択に向けた調整など、本事業を推進する主体となる。

2.東京都と大田区は、都市鉄道利便増進事業の地方負担分について補助を行う。その負担割合は、東京都が3割、大田区が7割とする。

3.大田区は、整備主体となる第三セクターとともに、本事業の事業計画の検討に当たり、事業費の圧縮に務める。

4.本事業の都市計画決定及び都市計画事業認可の後、大田区が本事業を特別区都市計画交付金制度の対象事業とすることができるよう、東京都と大田区は調整を行う。

5.空港アクセス利便性の向上に資する京急蒲田から大鳥居までの整備について、東京都と大田区は引き続き実現に向けた関係者による協議・調整を行う。

6.上記合意事項の実現に向けて、東京都と大田区は、責任をもって必要な対応を行う。