リニア中央新幹線大深度地下使用の公聴会議事録公表は、なぜ、認可の当日?

大深度地下使用にかかわる公聴会が開かれ、議事録が公表されました。

公聴会は、首都圏が平成30年6月29日と30日、中部圏が平成30年7月6日と7日で、議事録が公表されたのは、大深度地下使用の認可が下りた平成30年10月17日でした。

議事録は誰に、どのような目的で公開されたのでしょう。国がその気になれば、国会中継だって数日で議事録は公開されていますから、3か月半という長期間公表せず、あえて、大深度地下使用の国交大臣の認可の日に公表したことは、国の何らかの「意図」のもと行われたということでしょう。

みなさんは、なぜ、こんなに長期間、公開されず、大深度地下使用の国交大臣の認可という結果が出た後に公開されたと思いますか?

以下、議事録のリンクです。奈須りえの公聴会での発言とともに公開します。

・中央新幹線品川・名古屋間建設工事に係る公聴会議事録について

http://www.mlit.go.jp/toshi/daisindo/toshi_fr_000012.html

 国交省の議事録のリンク

首都圏 公聴会速記録1日目(平成30年6月29日)
首都圏 公聴会速記録2日目(平成30年6月30日)
中部圏 公聴会速記録1日目(平成30年7月6日)
中部圏 公聴会速記録2日目(平成30年7月7日)

国交省のリンクが切れた場合はこちらをご覧ください(PDFファイルのリンク)

首都圏 公聴会速記録1日目(平成30年6月29日)
首都圏 公聴会速記録2日目(平成30年6月30日)
中部圏 公聴会速記録1日目(平成30年7月6日)
中部圏 公聴会速記録2日目(平成30年7月7日

http://nasurie.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/001257181.pdf

 

 

http://www.mlit.go.jp/common/001257181.pdf

【公述人(奈須)】 中央新幹線品川・名古屋間建設工事にかかわる大深度地下の使用について、認可を認めるべきではないという立場から公述させていただきたいと思います。私は、大田区の区議会議員をしておりますので、大田区民の声の一代表として意見を述べさせていただくとともに、洗足池の近くに住む住民として発言させていただきます。

リニア中央新幹線は、山梨県や長野県など中央アルプスの問題で大都市の地下をリニアが走ることを御存じない方が大勢います。なぜリニアの問題が伝わらないのかという理由の1つが、この大深度地下法という法律なのだと思います。地下の深いところは私権が及ばないようにして事業者に使わせることができる法律だからです。2000年7月の政府の広報「時の動き」に掲載されている大深度地下法成立に伴う大深度地下利用についての特集を読んで、改めて大深度地下法の問題点が理解できたと同時に、その意図が見えてきました。特集では、当時の国土庁大都市圏整備局長、板倉英則氏が大深度地下法成立の背景や趣旨や意図について詳しく説明していますので、今日はそこから一部引用しながらお話をさせていただきたいと思います。

私の1つ前で火災のお話もあったんですけれども、この火災のことについてもこの板倉氏は、火災については3つの困難があると非常に興味深い取り上げ方をしていらっしゃいます。まず1つが、重力に逆らって地上に避難しなければならない困難、煙の流れと消防隊員の進入が逆になっていて消防が難しいという困難、そして外部からの情報の入手が困難であると、こういった3つの困難があるという表現の仕方をしたり、あるいはリニアの地下トンネルについては、精神面を含めた影響がある、このようなことも仰っています。

暗くてじめじめしているので、やはり光が必要であったり換気が必要であったり案内が必

要、そしてまた、気圧の精神面への影響も述べているわけですね。

内容に移らせていただきたいと思います。

大深度地下法は、バブルのころに地価が異常に高騰して地上部でのライフラインの用地確保が困難になったので、地下利用に注目したことから始まります。ところが、通常のインフラ整備における用地取得は、地権者との行為を前提として行われますが、それだと、一人一人の地権者を捜し当て特定して個別に同意を得るのが前提で、土地一筆ごとの土地調書作成も義務づけられるので、非常に手間暇がかかるのだそうです。しかも任意買収に応じてもらわなければ土地収用の手続をとらなければいけませんが、これも非常に時間がかかります。そこで、国民の権利保護に注意して円滑に利用するため、つまりは手っ取り早く地下利用できるためのルールを確立する必要があるということで、検討してできたのがこの大深度地下法なのだそうです。これは政府の広報に書いてあるわけですね。

大深度地下法というのは、インフラ整備の土地取引をスムーズに行わせるために憲法第29条の、財産権はこれを侵してはならない、財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律でこれを定める、私有財産は正当な補償のもとにこれを公共のために用いることができるという原則のもとで定められている民法第207条、土地の所有権は法令の制限内においてその土地の上下に及ぶ、ここの上下に及ぶ権利のうちの土地の下の私権が及ばないようにしているわけです。

加えて、土地収用法では、事前補償の原則というのがあるんだそうですが、これを大深度地下法では、事後に請求して初めて補償されるというふうに変えているわけです。計画経路の真上に住んでいる方が家の下をリニアが通ることを御存じないのも、法律が意図していたからなのだと知って非常に驚きました。当時の国土庁の板倉氏は、国民の権利保護に注意してと言及していますが、事前補償の原則を請求された事後に払う、地下の私権が大深度に及ばない土地所有権など、非常に重大な憲法上の権利を法律で変えてしまっています。今回のリニアの大深度地下利用について、国やJR東海、東京都及び大田区を初めとした地元自治体は、どこまで国民、住民の権利保護に留意したのでしょうか。国民の権利保護は、政府の広報の宣伝文句にすぎず、当初から守るつもりはなかったのでしょうか。

国民の権利保護について当時の国土庁の板倉氏は、土地収用法にもない説明会を前広に開催する、収用法や都市計画法にもあるが、一般公衆に対する公告縦覧、利害関係者の意見書の提出、さらに、必要に応じて公聴会、これが今日なわけですね、を開催と書いてありますから、これを見ると、それなりの説明をしているように見えますし、説明会を前広に開催すれば大深度地下の使用の合意形成になるかのような印象です。しかし、全幹法の認可以降、JR東海は計画路線上の住民に対して直接の働きかけをしてきませんでした。

きめの細かい周知を考えているというのも、政府の広報宣伝だったということになるわけです。

今日こうしてここに集まって意見を述べる場があると知っているのは、計画経路周辺の住民のうち一体何%、何人なんでしょうか。しかもリニアの通る真上や近隣に住んでいることを国からもJRからも知らされていないだけでなく、リニアが通るとどうなるのか、土地収用されるとはどういうことなのか御存じない方たちも多いと思います。たとえ何度JR東海が説明会や意見書を提出する機会をつくったり、公聴会が行われたとしても、当事者一人一人がこの大深度地下法で何が起きるのか知らされなければ、国民の権利は守られません。そうした意味では、その後、地域住民の要望に対しJR東海が説明会を開催しないのも問題だと思います。

今回、仮にこの大深度地下利用を国土交通大臣がJR東海に認めて工事が始まったり、その後、リニアが走り始めたりしたとき、振動や騒音がひどくなったとします。その場合、自分の家の下にも係わらず、JRに、嫌です、どいてください、補償してくださいと言っても主張が認められず我慢させられるかもしれません。これが事後の土地収用の補償ということです。実は何も補償されない可能性が高いわけです。知らない間に憲法の保障する財産権がなくなったり、著しく侵害される可能性のある憲法違反が疑われる法律がこの大深度地下法ということです。

このリニアについては、環境アセスメントの意見を(奈須りえが)言ったのが今から大体4年前ですが、仮にこれで大深度地下利用が認可され、リニア中央新幹線のトンネル着工になれば、環境アセスメントからたった4年で用地確保まで進んだことになります。非常にスピーディーだと思います。この大深度地下法は、通常行っている憲法の保障する財産権の侵害に当たる重大な法手続を省略して工事を早めるために、土地の上下に及ぶ財産権のうちの地下の権利をなくし、土地収用法の補償を事前でなく事後にするなどの特別措置を国土交通大臣がJRに講じるための法律であることがわかります。最初から密集した大都市でスムーズにインフラ整備することを目的につくられた法律なので、対象地域は東京、名古屋、大阪の三大都市圏です。目的は、都市部のインフラ整備ということになりますから、この三大都市圏はさらに一極集中することになります。

大田区下丸子や世田谷区奥沢小学校の大深度地下法の説明会会場で多くの住民の皆さんが知らされていなかったことについて訴えていたのも、この事業についてのJR東海や行政の説明不足をよくあらわしています。大深度地下法説明会終了後にJR東海が、計画経路上の全ての住民に意見募集の締め切り直前に意見を言えることのお知らせをポスティングしたのも、住民の声に動かされたからだと思います。やり直しすべき手続の瑕疵を明らかにした形ですが、少なくともJR東海も説明不足を感じたということでしょう。

いずれにしても、ポスティングは意見締め切りの2日前、しかも、この間JR東海が地域にお知らせするチラシには、耳なれない中央新幹線という正式名称が使われ、一貫してリニアの文字がありませんでした。JR東海は、リニアとホームページで盛んに使用していますが、住民にはリニアが通ることをよほど知らせたくないと見えます。そうやってこっそり手続を済ませて、さっさと工事に取りかかろうとする事業者の事業は、公共の利益があるんでしょうか。ないから、こっそりやるのではないかと疑いたくななってしまいます。

大深度地下使用は、認可されて初めて認められるものです。国、自治体及びJR東海は、 地下の土地の使用権を収用するという重大な処分で私権を国家権力が制限するわけですか ら、国が政府広報で示したように、計画経路周辺の住民への丁寧な周知手続を講じ、説明 をやり直すべきです。あるいは改善できないということであれば、この程度の法の運用だ ということで、公共の利益とは到底言えませんから、大深度地下の使用は認めるべきでは ありません。

 

それでは、周知すれば、それで認めていいかといえば、そうでもないと私は考えており ます。地下深くは影響がないから公法上の使用権を設定するとしても、無条件に認可でき るものではないのではないでしょうか。大深度地下利用の認可は、土地の地下という私有 財産に社会資本整備だからと事業者の使用権を設定しながら、その対価や補償は事前には 支払わず工事を始め、事業が始まってから事後的に損失が出たら請求を待って補償すると いう仕組みです。私も調べて知りましたが、財産権を侵害する恐ろしい仕組みだと思いま す。仮に振動で家屋にひびが入るなどの影響が出た場合、これを補償させるには、被害を 受けた者がJR東海に請求しなければなりません。因果関係の立証責任を個々人に負わせ るなら、余りにもその負担は大きく、そもそも家屋調査など事前に行っていなければ立証 もできず、補償されない可能性が高く、問題です。JR東海は、地域住民に対し事後補償 について伝え、地権者の家屋調査を初めとした調査の希望を聞くなど、事前に行うべきこ とをすべきですが、そもそも知らされていないのは不備があるということではないでしょ うか。 同じ大深度地下利用でも、外環道における大深度地下利用は不動産取引の重要事項説明 の対象だそうですが、今回のリニアの大深度地下利用は、不動産取引における重要事項説 明に入らないそうです。事前補償されませんので、土地を売ろうとしたら売れない、売れ たと思ったらリニアを理由に契約破棄された、周辺より安くしか売れなかったなどの影響 が出た場合、請求して補償されるのでしょうか。説明会でJR東海は、地下は影響がない ので下がらないという説明をしています。地下に対する考え方が事業者と住民で大きく違 えば、土地取引における不動産価値の下落も立証しづらいのではないかと心配です。

 

また、2000年の政府広報が、大深度地下利用で最も注意しなければならないと指摘 しているのが地下水の問題です。水脈を断ったりする心配があるからです。特に大田区東雪谷の非常口の近くには、地域一帯に降った雨を大地で受け水をたたえている洗足池があります。非常口の工事の掘削によっては、帯水層を突き抜け穴をあけることになって水が抜けてしまうのではないかと心配しています。JR東海は湧水が北から流れているため、南にある非常口は洗足池の水に影響しないと説明していましたが、非常口掘削によって帯水層から水が抜ける心配についての説明は行われませんでした。

2000年の政府広報は、トンネル掘削工事に使う密閉式シールドマシンは地下水に影響を与えずに掘り進むことができると説明しています。しかし、地下深い地下鉄のトンネルなどに湧水が流れ込み、ポンプアップしていることは周知の事実で、JR東海も地元大田区には、リニアトンネル内に流れ込んだ地下水を下水に流す計画であると説明しています。密閉式シールドマシンでもトンネル内外壁は密閉できないということです。仮にリニア工事後に洗足池の水が減ったとしても、それをJR東海に補償させるには、請求し、因果関係を立証しなければなりません。因果関係が立証されたところで、洗足池の水はもとに戻らず、水道水を入れたり、池の底をコンクリートで固めたりしなければならないかもしれないのです。洗足池にはツミという鳥を頂点にしたカワセミ、キビタキ、オオルリなど豊かな動植物の生態系が密接にかかわり合って成立しています。大深度につながる非常口とトンネル工事でこの自然を壊すなら、どこに公共の利益があるのでしょうか。

既に始まっている外環道のトンネル掘削工事では、上を流れる野川に圧縮空気で掘り進む空気の気泡がぷくぷくと上がってきています。大深度地下の掘削に使う密閉式シールドマシンは、密閉されるので地下水に影響を与えずに掘り進むことができるという説明は、野川で誤りであることを証明した形です。洗足池の水が抜けてしまう心配も解消されません。水が抜けてから事後にJR東海に請求しても、因果関係が立証できなければJR東海は責任をとらず、責任逃れを許すことになるかもしれません。大深度地下利用は認めるべきではありませんが、仮に工事をするなら大田区とJR東海とで洗足池の自然環境を守るための協定を結ぶべきです。

大深度地下は、今回の鉄道を初め道路、河川、電気通信、電気、ガス、上下水道の公共の利益となる事業を対象に、法第16条に書かれている7つの要件全てに該当するとき、使用の認可をすることができると規定されています。できる規定ですから認可しなくてもよいということです。知らされずに財産権が侵害され、地下の私権が及ばなくなりますが、事前の補償もなく被害をこうむっても自分で立証しなければならない可能性、環境への影響についての事前の協定の必要性など、私を含め公述で明らかになってきた大深度地下の問題を十分に踏まえ、国、国土交通大臣には判断いただきたいと思います。

国鉄の民営化により現在JR東海は、東海旅客鉄道株式会社というその名のとおり、株主利益を最優先する営利目的の事業者です。JR北海道が不採算路線を廃止している事例を取り上げるまでもなく、営利企業は利益が出なければ廃線し、撤退します。公益より株主利益という私益を優先するのが株式会社ということなのです。一般に公益と言った場合には不特定多数の利益を言いますが、それが公共の利益となると、さらに厳しく、私利目的がないことや、特定の者への優遇の禁止や排他性のないことなどが求められます。もうからないから撤退は公共ではなく私益なのです。大深度地下法の認可は、国土交通大臣が認可した鉄道事業者が行う鉄道事業なら何でも認めていいでしょうか。鉄道事業といっても鉄道事業全てに公共の利益が認められるわけではないはずです。そもそもの必要性や自然環境への影響、安全性や公金投入の可能性や要件などを検証、立証すべきではないでしょうか。

JR東海は、リニア中央新幹線をつくることで東海道新幹線による大動脈の二重系化をもたらし、東海地震など、東海道新幹線の走行地域に存在する災害リスクの備えとなるといった必要性を説明しています。しかし、東京-大阪間は東海道新幹線、航空路、東名中央自動車高速道路など既に何重にもリスクの備えとなる交通網を備えており、リニア中央新幹線建設の必要性が公共目的にかなうかどうかの費用対効果の検証も不十分です。全くの民間の事業であれば、建設しても整備しても自己責任で売り上げを確保してコストを回収し利益を出しますし、私たちは使わないことも可能です。ところが、日常生活に密接にかかわり、使わなければ生活できない鉄道事業が過剰に投資されると、私たちは、かかった費用に利益を乗せる総括原価方式で強制的にそれらの費用を切符代、場合によっては税金で支払わされることになります。

東京-名古屋間の移動は、生活においてもビジネスにおいても国民の日常的な交通網になっています。しかもJR東海はリニアを建設したらのぞみを廃止し、こだま、ひかりを重視した輸送形態へと変革することを示唆していますから、私たちは、乗りたくなくてもリニアに乗ることを余儀なくされるかもしれません。鉄道の老朽化に伴うリニア建設と言いながら、東海道新幹線も使うと言っており、結果として、東京-名古屋間の新幹線インフラは二重になり、私たちは強制的に2つの鉄道網の建設・維持・管理費用を将来にわたり負担することになります。

JR東海は、鉄道網を備えると、三大都市圏が相互に1時間で結ばれ、国際競争力を向上させる好機をもたらすとしていますが、人口減少に加え、年齢構成の変化に伴い労働人口が大幅に減少していくことが明らかなこの時期に、新たな鉄道網の建設が必要なほどの需要があるでしょうか。空の便の需要も増えると言っているのにです。災害や鉄道整備の予備のラインなら、日本海回りの上越新幹線のルートを名古屋までつなげることを目指した方が効率的です。リニア中央新幹線建設は、私たちの経済的負担や自然環境への負荷を大きくするばかりです。総括原価方式による鉄道網整備、社会資本整備は、かかった経費を私たちの消費、ポケットマネーや税金で負担するため、過剰になると、その分、投資利益が増大します。過剰な設備投資は結果として利益が増大し営利性が高くなりますから、公共の利益ではないのではないでしょうか。

さて、昨今、談合が指摘されるなど、JR東海に対し厳しく公共性が求められているのは、3兆円の財政投融資という公金が投入されたからです。今回の大深度地下使用の認可に際しての要件、法第16条4項は、事業者が当該事業の遂行する十分な意思と能力を有するのであることを求めていますが、これは単に資金を集め、トンネル工事ができるか否かだけではなく、公金を扱う事業者としての公共性の有無も問うていると見るべきです。談合が行われたことが明らかになったJR東海は、公共の利益を遂行する能力は持ち合わせていなかったことになります。談合企業体質の改善なくして公共の利益のための事業と名乗ることはできず、大深度地下利用もさせることはできないはずです。2000年の政府の広報「時の動き」には、そもそも大深度地下利用は、民間が私的目的のために行う開発事業は対象外ですと書いてあります。国は、公共の利益と私益の区分けができているということです。

私は、営利企業に公共の利益は担えないと考えますが、国がつくった法律ですから、私益を追求する営利企業、JR東海も公共の利益のための事業を担える要件や手法があるはずです。資本に対する利益率、役員報酬、内部留保、幾らまで、何%まで認められるかなど国は目安を明らかにすべきです。ここを国が不問にすれば、公共の利益と私益との違いがなくなり、大深度地下法の前提が大きくずれます。少なくとも大深度地下利用における私益との関係を明確にすべきです。大深度地下利用は、都市部の社会資本整備における用地取得の問題をクリアにするとともに、建設コストを抑えるメリットがあると言っています。建設コストは1割程度抑制できて土地代も不要、しかも時間がかからないというのです。これは一体誰のメリットでしょうか。少なくともそこに住み暮らす住民のメリットではなく、事業を進めることで経済利益を得る企業、それも株主のメリットではないでしょうか。

 

そこで、最後に、事業者に3つの質問をさせていただきます。JR東海は、営利企業で、リニアはペイしないという発言も過去にありました。そこで、リニアで赤字になった場合、他の事業の利益を回すなど、自己責任でどこまでの事業の遂行をするか明らかになっていません。JR東海は、事業採算がとれない場合、どこまで自己責任で事業運営する意思があるのか、確認させてください。

2問目、大阪までの開通を早めるためという理由で、大深度地下の認可を受ける前に既に財政投融資3兆円を受けて1年以上が過ぎています。アベノミクスで資本に対する配当が10%以上の上場企業が増えているとも言われています。この間、JR東海は政府の3兆円の財政投融資を何に使いましたか。

質問の3、JR東海は、全幹法の認可しか受けていないにも係わらず、計画経路の住民に対し丁寧な説明をしてこなかったのはなぜでしょうか。国から求められていなかったからですか、みずから不要だと判断したのでしょうか。にも係わらず、意見募集の2日前にポスティングをしたのはなぜでしょうか。

以上、私の大深度地下利用における意見と、そして質問を終わらせていただきたいと思います。

【議長】 事業者、時間が短くなっていますので、手短に回答をお願いします。

【事業者(今井)】 それでは、回答いたします。

説明用のDVで112というのを出せますでしょうか。まず、リニアがペイしないということで、自己責任でどこまでということでございますが、これの前のページをお願いします。

済みません、お待たせしました。こちらのグラフは、縦に弊社の経常利益を表してございます。それから横が年度でございます。今2018年というところで、2027年に東京-名古屋間を開業させるという計画でございますが、これから名古屋の開業に向けて建設工事が増加してまいりますので、現在ある現在の経常利益がだんだんだんだんちょっと減っていくという形になってございますが、それでも東海道新幹線と一元的に経営していくということもあって、最終的にここに630というふうに書いてございますが、赤字になることはないということで、安定配当を保ちながら健全経営は保てるというふうに試算してございます。

その後、財投の話でございますが、当初この計画でいきますと、名古屋で開業後に減価償却費の積み上げなどによって利益を積み上げてって経営体力を回復してから、また大阪開業ということで、2ステップで施行していくという計画でございました。

次のページを出せますか。こちらのグラフは、縦が借入額になってございます。横は年度でございます。これは財投を受ける前の計画でございますけれども、借入額が名古屋開業のときにマックスになってございますが、それからどんどん減っていって、大阪に向けて借入額を抑えられるという段階で建設を始めてまた借入額が増えていくということで、過去の経験から踏まえて5兆円以内であれば健全経営が保てるということからこういう2ステップですが。財投を活用することによりましてこれを最大8年前倒しで建設に向けて動けるというようなことでございます。

一方で、財投でございますけれども、財投は長期に低利で固定で融資を受けられるということでございますが、それは全額返済するものでございまして、自己負担で建設していくということには何ら変わりはないものでございます。もともと財投がないということであれば、新たに借り入れていくということでございましたが、財投を受けられたということで、経営リスクは低減されていくということで考えております。

それから、説明の周知につきましては、これは大深度手続に当たりまして、平成26年から事業間調整をしてございまして、その後、平成27年に物件調査ということで、1軒1軒地権者様の下に中央新幹線が通りますというようなことをお示しした上で物件調査をさせていただいております。その後も、大深度説明会に当たりましても、自治体への広報紙への掲載ですとか、それから回覧あるいはホームページで広く周知するということをやってきてございます。

一方で、ポスティングを行ったことにつきましては、説明会をやって、その中身を周知していくということで、改めてポスティングでお知らせをしたというものでありまして、周知が足りなかったですとか大深度法の手続に不備があったというふうには考えてございません。以上です。

【議長】 公述は終了でございますので、公述人及び事業者は降壇してください。