東日本大震災復興特別税の期限に伴う廃止と森林環境税の創設について~リーマン後の困窮した区民から徴税した復興特別税、森林保全に疑問の森林環境税~
復興特別税が期限を迎え廃止となり、新たに創設される森林環境税を来年度から徴税するための条例改正が行われます。
復興特別税は、この10年の間に、38億円が大田区に徴税されました。
当時の財政状況をみると、被災地はともかく、都市部大田区において、なければ、財政的に困窮したかと言えば、逆に、基金を150億円も増やすほど、財政的な余裕がありました。
区民生活をみれば、リーマンショックで、税収が大幅に減り、もとに戻っていない時期で、2011年の基金からの繰入額(貯金を下ろすようなこと)は、118億円にもなっていました。
また、だからと言って、大田区が、堅実な財政運営に努めたかと言えば、大田総合体育館建設など、当初予定を大幅に上回る大規模建築も行っています。
復興特別税は、被災地には欠かせない大減だったかもしれませんが、大田区の財政状況や使途をみれば。、困窮する区民から集めた財源は、必ずしも防災力を高める財源になっていなかったどころか、無理をして徴税しなくても、足りていたわけです。
しかも、時限的増税ですから、廃止になって、終わるかと思ったら、森林環境税という新たな目的で、増税は継続されることになります。
確かに、開発で緑は激減し、都市部は特に自然から隔離された状況になっていますから、今、森林の保全、育成のために財源を投入することは、非常に重要なことだと思います。
破壊された自然は、人の努力と力と、財源がなければ、復興できないからです。
ところが、大田区に、何に使うか質問したところ、公共施設建設に国産木材を使うための財源にするといいます。
地方の林業は、都市部の消費が無ければ守れないというのが答弁だと思いますが、果たして、林業を都市部が買い支えるために税金を使うことが、森林を復興させることでしょうか。
森林は、経済活動のためだけの存在でしょうか。コンクリートが大半の公共インフラの内装に国産木材を使うことは、日本の国土の3/4を覆う森林の保全につながるでしょうか。
林業と木材消費という資本主義経済に、税が組み込まれ、税金で木材を買い支えるサイクルは、私たちの税金を一部の投資家利益に流すことになりますが、そこにとどまるだけではないでしょうか。
建築基準法がかわり、大工さんが建てる住宅から、住宅メーカーが作る工業製品の住宅に変わってきています。
国内の国の木材産業や林業は疲弊し、輸入に依存する形をつくりました。
日本で暮らす私たちが、どういう住宅に住むのか、その住宅を支える一次産業から二次産業とは、どういうかたちであるべきか、根本的な、政策の欠如が招いた結果でもあると思います。
以下、討論です。
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第37号議案大田区特別区税条例の一部を改正する条例
復興特別税が廃止、森林環境税が創設されることに伴い条例改正が行われました。
復興特別税は、東日本大震災からの復興のための施策を実施するための財源確保に関する特別措置法に基づき、課税されていて、防災のための施策(平成23年度:2011年 – 平成27年度:2015年)に必要な財源を確保する目的で課される住民税も増税になりました。
復興特別税も森林環境税も、課税の目的はうたわれていますが、大田区に入る財源は一般財源(使い道の自由な財源)です。
2011年~15年度の5年間に、復興特別税として入ってきた38億円は、防災等に使ったと大田区は答えています。
この5年(2011年~2015年)の大田区財政をみると、体育館建設などで基金繰入総額は、276億円、基金基金積み立て総額は426億で、基金を150億円も増やしています。
2011年は、リーマンショックや震災で、基金から118億円繰り入れなければならないほど税収が減り、区民生活は悪化しましたが、その前に行われた税制改正と、この復興特別税(増税)で、大田区の歳入は、使えきれないほど増えたのです。
復興特別税は、国が増税したとは言え、被災地はともかく、大田区への歳入から見れば、徴税すべきではなかったと思います。
今回創設される森林環境税も、復興特別税同様一般財源です。
森林を増やすために使うかと思いましたが、区は、公共施設建設などに国産木材を消費するためなどに使うと答弁しました。
破壊される森林や自然を上回る、森林の保全や育成があって、初めて森林は守れます。
経済活動のために、国産木材を区民の税負担で使うのは問題ですし、
使うだけで自然を育て増やすことにはなりません。
SDG’sは、持続可能な経済成長を前提とした、経済と環境との両立を目指しています。
果たして、経済成長と環境保全は、両立できるのでしょうか。
二つの矛盾した、トレードオフの目標を掲げたSDGsの限界でもあると思います。
国の制度改正ではありますが、反対いたします。