大田区の東京ドーム約1.5倍の民間大規模開発 民間利益のための区道廃止は適正?それとも条例違反?
民間が所有する土地の真ん中を通る区道などを廃止し、一か所に集めて、民間事業者がより大きな建物を建設できるようにする議案が提出されました。
大田区は、土地をただで貸し出すかわりに、出来上がった建物を無償で借りて産業政策のために使うと言います。
みなさんは、この議案についてどう考えますか?
民間開発のために民地内(黄色マーカー部分)にある区道(A)と護岸(B)を空色部分と交換して、開発事業者へ貸し出すための議案が提出されました。
*以下イメージ図
大田区の土地を貸し出すことで、大田区は、建設される建物の一部を無償で借りて、産業のための施設に活用していくと説明をうけています。
ところが、大田区は、民間事業者の開発のために区道を廃止し、土地を交換して貸し出すための覚書まで締結するにもかかわらず、土地を貸し出す期間や、契約形態、どのくらいの床面積を借りられるかなどについて、まだ決まっていないからと示されていません。
また、区道を廃止することで、事業者は、土地の形もよくなり、大きな開発利益を得ることになりますが、大田区が借りられる床面積の考え方も明らかになっていません。
一方、大田区は、区道を廃止するだけでなく敷地北側に土地を集約させると言います。
土地を集約させてもさせなくても、民間事業者に貸し出すなら、開発には影響ありません。
区道を廃止し、土地を集約させなければ、今回の開発だけでなく、将来にわたり、区道を廃止したことによる大田区民の権利を事業者に主張することができます。
区道を廃止したまま貸し出すことを提案しましたが、どうしてわざわざ大田区の土地を北側に集約するのか、合理的な説明は得られませんでした。
そもそも、今回の区道廃止して民間の土地と交換することは、本当に適切でしょうか。
大田区の「財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」第二条に
普通財産は、「本区において公用又は公共用に供するため他人の所有する財産を必要とするとき。」は、これを他の同一種類の財産と交換することができる。ただし、価額の差額が、その高価なものの価額の4分の1をこえるときは、この限りでない。となっています。
条例に照らし合わせれば、①それぞれの土地の価格を示し、価格の差額が1/4を超えていないことを示す必要がありますが示されていませんから、条例を守っているかどうかも確認できません。
そのうえ、公用・公共用でなければ交換できませんが、
②区道などと交換するブルーの土地は、事業者の駐車場になるので、公用・公共用ではないため、交換できません。
大田区は、産業支援施設として床を借りるので公共用だと言いますが、そもそも建物の所有権は移転していないので、規定されている③「他の同一種類の財産と交換」にもあたりません。
それでも、④産業のための施設を公共用財産というなら、少なくとも条例設置が必要ですが、条例で規定するかどうかもわからないと委員会で説明されました。
付け替えは、同じ機能を持っている土地において行われるものですが、北側に集約した土地は、区道でないためつけかえにはあたりません。
開発区域は、東京ドームの約1.5倍 約7万㎡と広大ですが、接道は敷地面積に比べわずかです。
大田区は、敷地北側にある南前堀という運河の一部を埋め立てると言っていますから、その敷地に沿って、敷地の北西に位置する8mの行き止まり区道を北東に延伸させ区道として付け替え接道を確保すれば、条例上も守ることができます。
護岸は、今のまま残し、区道を付け替えることで、条例も守り、将来の建物更新の際の区民の権利も守るべきではないでしょうか。
法例遵守、説明責任、情報公開、区民利益どの視点からも不十分であり、議案には賛成できませんでした。