国と大田区が狙う「大田区民の社会保障財源」【箱モノ優先の大田区・東京一極集中で失敗した国】

平成30年度決算は、国の大田区始め23区の財源をターゲットにした税源の地方への移転の影響が出始めています。

昨年度に比べ、羽田空港跡地購入のための基金の取り崩し165億円、国庫支出金・都支出金、合わせて27億円、など歳入全体で約273億円も増えたため、この、国の不合理な税制改正の影響が見えにくくなっていますが、平成30年度決算で、大田区から地方に流れる財源は86億円にもなっています。

地方の皆さんは都市部に豊かな財源があると思われているかもしれませんが、問題は、その都市部でも、子育てや介護などに財源が不足しています。

私は、次のような問題意識を持っています。

① 都市部は、国が言うように、本当に財源が余っているのか
② そもそも、東京一極集中の経済政策で、そこから生まれた豊かな税収は、誰のために使うべきか、使われているか
③ 都市部で財源が余っていないとするなら、その財源は、誰のために使われているか

このまま国の税制改正が継続し、大田区の税金の使い方が変わらなければ、さらに、区民の福祉や教育の財源が圧迫されるでしょう。国の税制改正と大田区の税金の使い方の優先順位の問題ついて、報告します。


東京23区など都市部の税収をターゲットにした国の税制改正

平成30年度決算は、昨年度に比べ、羽田空港跡地購入のための基金の取り崩し165億円、国庫支出金・都支出金、合わせて27億円、など歳入全体で約273億円も増えたため、この、国の不合理な税制改正の影響が見えにくくなっていますが、国の23区の財源をターゲットにした税源の地方への移転の影響が出始めています。

人口増で大田区の特別区民税は増収
ふるさと納税で19億円の減収

昨年度に比べると特別区民税は、14億円増えていますが、ふるさと納税による寄付控除で18.9億円、2.79%も減収になっています。人口が6000人も増えているため減額になっていなくて、影響が一見するとわかりません。

評価替えと主に大企業の好景気で好調な固定資産税・法人住民税
法人住民税国税化で44億円減収

特別区交付金は、法人住民税の国税化による減収は、試算で約44億円ですが、固定資産税の評価替えによる増収と、減収を上回る好調な法人住民税の影響で51億円の増収になっていてこれも見えなくなっています。

法人住民税減収は試算で最終的に70億円減収に

法人住民税の国税化は、今回の平成30年度決算の約44億円の減収にとどまらず、今後も税制改正が行われ、最終的には約70億円の減収になるといわれています。

消費税清算基準の変更の影響額は23区全体で380億円減収
消費税10%で23区全体で485億円減収

加えて、地方消費税交付分の清算基準の変更により、平成30年度は、23区全体で前年より380億円の減収で、大田区も昨年度より23億円も減っています。10月1日に消費税が10%になりましたが、消費税10%になると、23区全体での減収は、485億円になると区長会は試算しています。

国の税制改正で、平成30年度決算で大田区歳出決算約90億円の減収

今年度だけでも、ふるさと納税約19億円、法人住民税の国税化により約44億円、消費税の清算基準の変更に伴う影響額(23億円)を合わせると、約90億円弱にもなり、今後、さらに、大田区はじめ23区の財源が、税収の足りない地方に振り分けられようとしています。

しかし、本当に大田区は富裕団体で、財源に余裕があるでしょうか。

大田区は、今も特別養護老人ホームも学童保育も、障害児の療育も、足りなくて区民は困っています。

大田区の優先課題である、教育や福祉の需要を先送りし、施設建設に区民の税金を使っているということです。

優先順位の低い箱モノに税金を使い、公共施設の老朽化の更新費用のピークをさらに大きくしている場合でしょうか。

 大田区の優先順位の無い税金の使い方が、国に富裕団体とつけこまれる

大田区が、優先順位の低い箱モノの建設を続け財政負担を大きくすれば、福祉や教育に使える財源は、さらに逼迫することになり、国からは、富裕団体だからとつけ込まれることになります。

今の大田区の税金の使い方は、危機感には程遠い状況です。

 国の不合理な税制改正だけが問題か

特別区長会が指摘するように「不合理な税制改正」であることはその通りですが、国の不合理な税制改正だけに問題があるのではなく、大田区が目的の決まらない施設を取得したり、複合化で使用していない土地や建物をたくさん作り放置したり、莫大な土地を高額で購入しながら、民間事業者に建物を建設させ、そこにテナントとして賃貸料を支払って入居したり、を繰り返せば、国は大田区の財源に余裕があるとみられるのは当然です。

経済の中心ほど地縁血縁が薄く、社会保障が必要に 

平成24年2012年の厚生労働白書は産業資本主義の発展とともに、地縁や血縁が薄れたことで、それまで地域社会や家族が担ってきた子育てや介護などを担えなくなり、社会保障制度が生まれ、構築されてきた、と指摘しています。

経済の中心東京こそ、その豊かな経済をささえている区民の生活を支えるための社会保障や医療や教育が、必要なのです。

 豊かな経済を支えている私たちの消費、私たちの労働力

私たちが暮らす、東京の豊かな経済は、私たちが働き消費することで支えています。地縁血縁の薄い都市部こそ、社会保障需要が大きく、都市部の豊かな経済を安定的に支えるためには、しっかりと子育て、介護、障害、医療、教育といった、誰もが生き働くうえで欠かせないサービスで、住民生活を支えることが重要だという認識に欠けていると思います。

いま、大田区に足りないのは、区長会の指摘する、人口動向による財政需要や災害リスクリスクに備える財政需要や公共施設やインフラの更新による財政需要だけなく、

まず、生きていくための子育てや介護や障害や医療や教育の財源です。

そこがなければ、私たちは安心して生活を維持し、お金を稼いでいきていくことができないからです。

 大田区は、税金をバランスよく使っている場合か

この間、フェアな民主主義奈須りえは、区民の暮らしを支えるための社会保障や医療や教育のために優先的に財源を使うべきだと主張してきましたが、大田区は、バランスよく税金を使うと繰り返し答弁しています。

バランスよく、優先順位の低い事業に税金が使う大田区

バランスよく税金を使うことは、優先順位の低い事業に税金を使うということです。

優先順位の低い事業に財源を使うことは、優先課題である子育てや介護や障害や医療や教育の財源をひっ迫させるだけでなく、国に、23区の財源に余裕があると付け入られることになります。

国の無策と、大田区の優先順位亡き税金の使い方から区民生活を守るのが大田区議会の役目

いま、私たち大田区議会は、区民のために一丸となって、区民の福祉のための財源を守らなければなりません。

批判すべきは、交付金が足りなくなるようなグローバル化による産業の空洞化と統治機構を作ってきた国の無策であり、その無策のために大田区民の生活を犠牲にしてはなりません。

批判すべきは、住民福祉や教育財源を圧迫する無計画で高コストの大田区の公共施設の整備です。

無計画で莫大な財政負担をまねき、区民の財産を私物化している公共施設整備を改め、地縁や血縁が薄く、土地が高いなど都市部特有の高齢化ふくめた社会構造の変化に伴う福祉や教育や医療に十分な財源を確保し、憲法の補償する健康で文化的な区民の暮らしを守るため、足りない行政需要を満たすことを求め、反対討論といたします。