寄付をあてにした財政運営をはじめた大田区の問題と心配 良いこと(奨学金)なら寄付頼みで良いか
大田区が寄付をあてにした財政運営を始めました。
最初は勝海舟記念館のための基金をつくり、今回は、奨学金の基金です。
寄付を抵抗なく受け入れる土壌(クラウドファンディングなど)ができていることも影響しているかもしれませんが、行政の財源は、税収が基本で、寄付は、いただいたあと、その使途を考えたり決めたりするものです。
大田区が寄付を前提に、奨学金の資金をつくる議案を提出したときの意見です。議案は、フェアな民主主義 奈須りえ以外賛成で成立しました。
この危うさを知っていただけたら、と思います。
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第14号議案 大田区積立基金条例の一部を改正する条例につきまして反対の立場から討論いたします。
この条例は、大学進学のための奨学金の財源を寄付により基金をつくるための条例です。
本人の経済状況に関らず、高等教育を受けられる機会は誰にも等しく提供されるべきだと思います。
ところが、税金を十分に教育に投入していないため、教育にお金がかかり、本来税で負担すべき教育費の不足分を国民・区民が、私費で負担し、奨学金という借金で負担しているのが今の日本です。
教育にお金がかかるのは政治の責任です。
一方で、そうした政治を容認しながら、区民に寄付を求めて奨学金をつくるのは、政治からの問題解決方法として違うと思います。
特に、いただいた寄付を活かすのではなく、大田区が寄付を財源として基金を創出するというのは、いわば基金をあてにしているという風にも見ることができます。
ふるさと納税の問題は、私たちが身をもって(財源が流出して問題だと)感じているのに、それを使って寄付を募り始めて良いのでしょうか
特に、昨今の空気による同調圧力を思うと、そのうちに、自ら望んでとはいえ(了承している人しか氏名公表しませんが、)一部名前の公表が始まったり、それによって寄付が強要される雰囲気が始まらないかも心配です。
そこで、寄付を求めることが区民への強制にならないための方策、たとえば、
寄付の多寡に関らず匿名性を守り、金額は公表しない、などは考えていますか。
と質疑しましたが、本人が希望すれば名前を公表することも可能でした。
大田区教育委員総務部は、マスクは法的根拠がなく強制ではないと知りながら、
つけるまでお願いし続けると言います。
これを強制と言わないなら、寄付による奨学金など寄付を財源にすることに、ほぼ強制力を持たせることも可能で、心配です。
また、徴収手続きに権力的要素が強い租税負担とは異なるともご答弁いただきましたが、
課税は、所得による基準がありますから、過剰な負担になりませんが(ならないのが建前ですが)、
善意がこうした空気によりほぼ強制になれば、税外負担が大きくなり心配です。
議会の関与は、予算で(関与する)と答弁しました。
しかし、3千億円近くなった予算の一部としての関与でしかないため、寄付をあてにした基金の創出が、必ずしも財政民主主義を守れていることにはならず、疑義の残るところだと思います。
私費で行うべき分野であり、行政が関与すべきでないことも申し添え、反対といたします。