最終補正で施設整備基金に積み立て、福祉・教育に使える30億円が建設にしか使えない予算に

大田区が、議決日3月5日、平成29年度も終わろうとしているこの時期に、最終補正予算で施設整備基金を30億円も積み立てる議案を出してきました。
奈須りえは、使い残したお金に色をつけ、施設建設費にしか使えないようにするのは、優先順位が違うと反対しました。 
区民のみなさんは、どう思われますか。

以下、補正予算に対する奈須りえの討論です。
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補正予算は不要不急のやむを得ない状況の変化に対応するというのが基本ですが、この時期に行われる補正予算は、年度末に使い残した、あるいは、不足が見込まれる最終的な増減を調整する予算がほとんどです。
こうした中、最終補正予算には、総務費の公共施設整備積立基金積立金の積み立て額増額30億9011万9千円が計上されています。
 
福祉・教育に使える30億円が、建設にしか使えない予算に

仮に、公共施設整備基金をこのまま積み立てずに残せば、1/2の約15憶円は平成30年度に繰り越さ、残りの15億円が財政基金繰り入れられます。
最終補正であえて、施設整備基金に積み立てるということは、答弁からもわかる通り、使用目的を定めていない何にでも使える区民のお金30憶9011万9千円に色を付け、施設建設費に限定して使うようにするということです。
 
大田区の社会保障需要は増、予算割合は減

当初所得格差は、広がっています。
しかも、増税はなくても、毎年医療保険料介護保険料など保険料や保育園利用料などが上がっているので、区民の可処分所得は減り続けています。
それなのに、施設整備基金で30憶も確保してしまって大丈夫でしょうか。
平成30年度予算案をみると、扶助費は平成29年度の31.6%から31.3%へとマイナス0.3%。
同じく、福祉保健費で59.4%から57.7%とマイナス1.7%。
優先順位の低い施設整備基金への積み立ては、高齢化、少子化、不安定雇用、低賃金で大きくなっている夜会保障需要に対応できない予算にもつながる問題で、反対です。
 
基金積立で、要らない借金が残る

しかも、全額施設整備基金に積み立てなければ、補正後の特別区債の発行残高2憶3200万円を発行しなくてすみます。
確かに利率は低いため、区債の活用が必要なことがあるのは理解しますが、利率が低くてもただではありません。予算書で区債の支払利息4億1せんまん対前年度比2000万円増は少なくない金額です。
借りるということは利息を付けて返すということで、不労所得を招き、格差を拡大する要因にもなるということを、自覚し、発行は極力避けるべきです。
 
繰越明許や債務負担行為の増が意味すること

一方で、このところの大田区の補正予算には、繰越明許費や債務負担行為の計上が目立つようになりました。
単年度会計の自治体予算において、期間の出入りを適正に記録することは、行政の責務ですが、一方で、繰越明許や債務負担行為は、
大田区財政の補助金依存体質?
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国の補助金をあてにしていたが、下りなかったといった補助金頼みの事業が増えた
事業規模の増大、気になる区内産業への影響
⚫︎複数年にまたがる事業規模が大きい事業が増えた
ということにもつながります。
⚫︎事業規模が大きくなれば、事業者規模も大きくなり、元請け事業者の規模が大きくなりますので、中小規模の区内産業への影響も心配です。
 
事業者との約束先行、行政主導が心配な債務負担行為

特に、債務負担行為は、将来への負担である借金と同じ意味合いを持つ行為です。事業者と大田区の約束が先行し、その結果報告として債務負担行為を予算承認するとなると、区政は行政主導で独裁色を濃くすることになります。
漫然と繰越明許費、債務負担行為を計上することは、補助金頼みの財政、大規模事業者への移行、行政と事業者主導の意思決定、
が危惧されますが、大田区の問題意識も薄く、反対です。