大田区で始まる市場経済論理による施設使用料の値上げ

大田区民ホールのプロジェクタの使用料3万円から6万円への引き上げ

大田区立龍子記念館、大田区郷土博物館、大田区立大森海苔のふるさと館、大田区立勝海舟記念館

の利用料の上限額引き上げ

の条例改正案が出されました。

区民の多くは収入も増えていませんから、物価高騰に便乗するように値上げするのも問題ですが、民営化された施設の使用料をあげることは、将来の運営形態が変わった時に、料金の範囲内で、自由に事業者が料金設定できる恣意的な運用につながる可能性があり、問題です。

税金でつくった施設で、事業者が自由度高く利益をあげられるようになる可能性のある改正になっています。

いま、政治の現場で行われる制度改正は、順番が違うことが多く、あとから、全く違った意味の改正になってしまうことが少なくありません。

今回の場合、やらなくて良い、上限を設定して自由度を持たせてているところが、これまでにない部分で、合理的な説明が無く、違和感を感じますから、反対しました。

 

以下、討論です

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これらの条例は、施設使用料の上限を定めるための改正条例です。

物価高騰のいま、行うべき料金改定では無いと思います。

区は、新型コロナ感染症に対する規制緩和されるなか、よりおおくのみなさまに今まで以上に良質な文化芸術作品等を鑑賞いただくための機会を提供させていただきたいと考えている。と料金上限引き上げの理由を述べています。

しかし、平成17年に特別展の料金を導入した際の委員会で、

「重要文化財を寄付されたのに、入館料200円に加え、特別入館料500円を設定することは高い。」

当時「入館料200円はほかに比べかなり安い。」と答弁していますが、今回特別展の上限を引き上げれば、特別展の開催が増えれば、常設展だけ入る方は2割という龍子記念館の事例もあり、施設利用そのものを引いあげるようにすることも可能です。

 

今回、

区の物価高騰のおりなぜ上限額引き上げか、の質疑に、「今まで以上に良質な文化芸術作品等を鑑賞いただく、」と答弁しています。市場経済における利潤追求の場であれば、良しとされる説明かも知れませんが、税金で開設している施設の考え方では無いと思います。

しかも、これまで条例で500円と規定していた使用料が、上限1500円に変わります。議会を通さなくても、区が、その範囲内で、自由に料金設定できるようになるのも問題です。

しかも、指定管理者制度を採用している施設なので、将来、利用料金制を採用したり、自主事業を認めるようなれば、上限までの範囲で、指定管理者が料金設定する可能性もあります。 

公の施設の運営維持管理を民間事業者に認めるようになって20年近くが建とうとしています。今回の改正は、付加価値をつけ利用料を高くとる方向転換の改正だと思います。

区民の置かれている状況は様々で、税金を使って管理運営する施設が、経済的余裕のある方だけしか利用できないとしたら、問題だと思います。

 

第16号議案大田区民ホール条例の一部を改正する条例、

第18号議案大田区立龍至記念館条例の一部を改正する条例

第19号議案大田区郷土博物館条例の一部を改正する条例

第20号議案大田区立大森海苔のふるさと館条例の一部を改正する条例

第21号議案大田区立勝海舟記念館条例の一部を改正する条例