公の施設運営の民営化=指定管理者制度の問題点 大田区休養村とうぶ

指定管理者制度は、公の施設の管理運営を民営化する手法です。大田区では、573(公共施設白書より)の公共施設のうち142の施設で指定管理者制度を採用しています。大田区は、指定管理者制度について、「施設の運営に民間の保有する多様な人材やノウハウを活用することで、区民サービスの向上と効率的な運営を図ることを目的としています。」としています。大田区の指定管理者精度を採用している施設は、大田区が効果といっている「人材やサービスやノウハウや効率性」が向上しているでしょうか。「休養村とうぶ」の指定管理者の指定議案の審議に際して奈須りえはこう考えました。


第102号議案「大田区休養村とうぶの指定管理者の指定について」

について反対の立場から討論いたします

 

指定管理者制度は公の施設の民営化です。

私たちは、民営化について、考え直さなければならない時期に来ています。

市場原理でコストは下がらずサービスもよくならず、効率化されるのは働く人の賃金ばかりです。そのうえ、事業内容は不透明になります。

国会で水道法の審議が行われましたが、世界は再公営化の流れになっています。

民営化がコストが高くてサービスが悪くなったからです。

水道を再公営化したときのパリ市の元副市長アンルストラ元副市長は、経営内容が不透明になること、水道料金で事業者の利益を負担することになることを指摘しています。

パリ市では、再公営化してみて行政に報告されていた利益率より、実際の利益率が高かったことが判明したそうですが、公金の使われ方が不透明でみえにくいのは問題です。

当初指定管理者制度が始まった時期には、大田区はプロポーザル資料を一部を除き公開していました。少なくとも委員会に報告する事業者選定の理由ももって詳しく知らされていましたが、今は、提案内容が事業目的に最も合致する、など、抽象的な当たり前のことが選定理由に書かれているだけです。。

私たちの財産である公の施設の管理運営状況を、私たちが知ることができない方法で、営利事業者に管理運営させているなら、それだけで問題があり反対です。

利用料金を採用している場合、売り上げやコスト負担の把握は重要ですが、多くの指定管理者制度において区は、そこのを明らかにしていません。しかも、大田区の指定管理者の指定の場合、売り上げとコストという視点からの評価が十分ではありません。

そのため、収入がいくら、コストがいくら、事業者の利益がいくらといった報告もありませんし、利益率も出しませんから、過剰な利益なのか、指定管理料が安すぎるのか議会は判断することもできません。

そもそも、多くの公の施設は利用料金だけで運営することは困難です。

政策目的があって運営しているからです。

休養村とうぶは、地元自治体に施設を利用していただいています。

大田区が大田区民以外の住民のために施設を提供しているのです。

そのうえ、指定管理者も株式会社ですが、自治体が作った事業者です。

そのため、施設を管理運営する事業者である株式会社東御市振興公社、東御市振興公社を作っている東御市、施設を利用している区外利用者である地元東御市民、市民が施設を利用することで恩恵を受けている東御市、などの役割を整理して考えなければなりません。

休養村とうぶのには、こうした視点からの検証が必要です。

・受託事業者に求める役割と指定管理料はどうあるべきか

・住民に使用させて恩恵を受ける自治体とうみ市としての役割と負担をどう考えるか

・区外利用している地元住民の負担の考え方をどう考えるか

は明確にすべきですが、あいまいで反対です。