国家戦略特区で使われる「岩盤規制」という言葉。

そもそも、国家戦略特区の目的は何か
岩盤規制とは何か
既得権者とは誰か
抵抗勢力とはどういうことなのか


2017年6月19日の記者会見で安倍総理は以下の発言をしている。

半世紀ぶりの獣医学部新設についても、審議に携わった民間議員の皆さんは、プロセスに一点の曇りもないと断言されておられます。
 正に岩盤規制改革の突破口です。
 しかし、この特区制度について、この国会では民進党の皆さんから、制度自体を停止する法案が提出されました。改革を後退させようとする発想であり、誠に残念でなりません。
 岩盤規制の改革には抵抗勢力が必ず存在します
 しかし、私は絶対に屈しません。既得権と手を結ぶことも決してありません。今後とも総理大臣である私が先頭に立ち、ドリルの刃(やいば)となって、あらゆる岩盤規制を打ち破っていく。その決意であります。

 

加計学園の問題について、自身の批判に対する発言だと思うが、太字の部分は、意味する中身を知ることが大切だと思う。

投資を増やし投資家利益を増やそうとしている。よく、低成長時代というが、団塊の世代が高齢化し、かつ少子化で労働人口そのものが減っているからものを買わなくなっている。インフラもほぼ整った社会は、需要そのものがないから低成長になる。

国家略特区とは何か

こういう売り上げ増が望めない時に、投資家利益を増やすための経済政策が国家戦略特区だ。

国家戦略特区は、投資家の利益を増やすという視点で、法律や政省令など規制を変え=規制改革、利益を投資家に提供する。

【1】コストを減らす=労働関係法令を変え人件費というコストを削減
【2】法人税負担を減らす=穴埋めとして消費税増税
【3】売り上げを増やす=【民営化】公共(水・教育・医療などの営利化)で株式会社に門戸を広げる
【4】売り上げを増やす=オリンピック、都市再開発など、公共事業を増やし、売り上げを拡大する

岩盤規制とは何か

雇用の規制を緩めれば企業コストは下がるが、私たちは、賃金が減ったり首になったりする。水や教育や医療を営利化すれば、価格に利益が上乗せされ、負担は大きくなるだろう
【1】~【4】は、私たちの生きることに直結するので、変えることが難しくて岩盤だ
特区で変えようとしたり、変えてきたものは、私たちの雇用と社会保障に関る外国人労働者受け入れ、国民の食に直結する農業、都市空間に関る公園、など数多い。

【既得権者】は誰か

成長が見込めない時代に投資家利益を増やそうとすると、多くの場合影響を受けるのは私たち働いてお金を稼ぐ人たちだ。
医学部増設は、大学病院や医師の数は医療費に、医学部建設は補助金に直結する。
持続可能な保険制度のためあるときは厚生労働省がまたある時は国民が【既得権者】となってきた。

これを、【国家戦略特区】の中では、内閣総理大臣と総理が指名した大臣、任命した民間有識者で変えられるようにした。

加計学園問題にプロセスに一点の曇りもないというのは、国家戦略特区法で特区のメニューや事業を決める権限を与えられていると言ことなのだろう。

抵抗勢力

ところが、東大話法というか(安倍さんは東大ではないけど)巧妙な表現の虚飾で、あたかも極悪な既得権者が、日本をよくしようとすることに抵抗しているかのような論調だ。
これまで、既得権者が現れただろうか。
岩盤規制、既得権者、抵抗勢力、、、言葉は勇ましいが、国民は、既得権者を未だに見ることができずにいる。

なぜなら、自分で自分を見ることはできないのだから。


国家戦略特区のワーキンググループの議事録はぜひ、ご覧いただきたい。
以下にいくつか、ピックアップするので、国家戦略特区の隠された本音を知ってほしい。

国家戦略特区ワーキンググループ議事録より

ホワイトカラー


例えば大企業のホワイトカラーなどというのは、大金持ちではないけれども、雇用慣行という既得権によって守られている。これは新規参入もあるし、大金持ちになるわけでもないという洗練された既得権である。
(略)
このように、日本の既得権の体系というのは、大きくてかたくて崩しにくいのではない。細かいから崩しにくい。別に誰かが考えてそうしたのではないと思うが、何となく日本人の国民性にずっと合っているのではないだろうか。だから、崩れない、崩せない。それは、既得権者はみんな悪党ではなく、ごくごく善良な市民だからである。

どういうようにこの種の既得権に御遠慮願っていけばいいのか、・・・

平成25年7月5日国家戦略特区ワーキンググループ 有識者ヒアリング
安念 潤司 中央大学大学院法務研究科教授 発言

(2ページ10行目)私は、率直に言うと農業はどうでもいいと思っている。どうでもいいということの意味は、成長戦略と関係ないからである。農業は全体の出荷額は8兆円しかなくて、大きな企業1社分である。・・・たいしたことはとはないと思っている。

*国家戦略特区ワーキンググループ有識者等からの「集中ヒアリング」議事録概要(P5・P9)より

(P5~P6)「日本の既得権は全てせこい。すごくせこいので崩しにくい・・」「都市の有効利用とか都市居住の促進となれば、私が今言った既得権集団を迂回しなければならない。もちろん法制審議会とかに言ったら絶対潰れる。私は保証する。だって、国会議員が立法すると非民主主義的だと言っている人たちなのだから、そんなものは潰れる。だから、それは無視してやるしかないと思う。」

(P10)「平時であれば絶対に法制審をスキップすることはできない。なぜできたかといったら、火事場だったからである。つまり、今も火事場だという認識をつくる必要がある。だから、平常のルーチンはスキップさせてもらいますと、これはとても重要だと思う。」

   
こうした国民の「既得権」をなくしたあと公平な社会が訪れるだろうか。
ひとりひとりの持つ人権という「既得権」が投資家の手にわたり、大きな「既得権」につながる可能性は否めない。